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第10話

いらっしゃい。

「…来ない」

あれから数百年近く経ったと思う。

なぜ来ない。

下界と天界の時間の進み具合の差が有るのか又は魔王様が忘れてるか。

魔力密閉は多分完璧だ。

これ以上の進歩は望めない(実感がない)為、維持にする事に専念する。

いつの間にか無意識に出来るようになったので魔力の新しい活用法を模索した結果、足場に固めて空中移動の練習に行き着いた。

気配遮断ばかりしてると感情が乏しくなっていたので感傷に浸ったり涙脆くならないように放心したりと感情のコントロールも同時にこなしたりしてる。

最近じゃ定期的に感傷に浸るか放心しないと気が狂いそうになる。

なんせ何も無い空間で1人空間に満た魔力を支配したり逆に魔力を消滅させたりと意味の見出しずらい事をしては時間を潰して魔王様にバレたらと考えて恐れる日々、むしろ怒られる事すら望んでたりする。

なんやかんや暇なので考えうる事は何でもした。

神様に頼んで自分と互角以上の武人と戦いたいと悲願したら秒速で殺しに来る人影に負け続ける羽目に…。

数年掛けてやっとの事で倒したら手加減してくれなくなって逃げに徹する日々。

なんとか追い詰めて懇親の一撃を決める瞬間逃げる様に消えて後に残ったのは虚しさと恥ずかしさ。

あれから久しぶりに全速力で走ってみれば肉体が追い付かずに転けるという醜態を晒したり。

それから自主的に走り込んだり筋トレしたり無茶な動きをしてみたりと昔の魔王様のスパルタを再現してみたり。それにすら飽きて魔力の足場を創って空中戦を夢見て努力中。

魔王様消失事件から数百年、様々な苦難を乗り越えて遂に二歩目の足場を創り出すことに成功する。

3歩目で足は空を切る。

3歩目が歩めずに諦めて早数ヶ月。

新しい体に取り替えた時、錆び付いた危機感知が全力で逃げろと訴えてくる。

久しぶりに感じた複数の恐怖と圧倒的な敗北感。

全力で逃げに徹すると次の瞬間、腹に違和感を感じ全力で避ける。

「うぐっ……」普通ならショック死する程の激痛と久しぶりに見る生血。

「魔王様…この人族は何者です?」

聞き覚えのない声を意識の薄れる中耳にする。

「…おはようございます」

見れば子供サイズの魔族が居た。

内に秘めた膨大な魔力と全てを見透かしたかのような銀色の瞳が冷たく突き刺さる。

「お前は魔王様のなんだ?」

目眩と吐き気に苛まれながら何故か素直に答えることに全力を尽くしていた。

「…魔王様に稽古を付けて貰ってる者です」

ほぼ無意識的に首筋を守るように凝固と魔力障壁を同時発動させ、ついでに両手で守る。

刹那、土手っ腹に風穴が空いた。

目線と殺気のフェイントに釣られてしまった。

事実、接触する瞬間まで奴の手は首筋を目掛けて放たれていた。

狙いは元から腹か……。


「………おはようございます」

「我が名はファンバー、魔王様の直族279位だ。

お前を殺しに来たのだが…不死身なようだな跡形もなく消し去っても復活するとは妙な奴だ」

「ファンバーお主、こやつを一撃で殺せぬとは何事か!」え?俺殺される役割なの?え?生存本能すら生き残りを諦めるレベルよ?

理性だけが死への恐怖を感じ必死に退路を確保する為にファンバーが魔王様に話し掛けるタイミングで後退する。そのまま空間の端に逃げ込む。

毎日魔力障壁の魔力溜りをコツコツ作り上げたのだ。使わない手はない……!

本来は囮にするつもりだったが仕方ない。

「「魔王様……?」」

完璧なタイミングで動いた瞬間、魔王様に首根っこを捕まれた。「お主の魔力制御は合格だ、奴の一撃で死ななかったのだからな…それから次の試練の内容を教える。奴に一撃を与えよ期間は…3日、不合格ならば、これから先、勇者に勝るとは到底思えない…魔力の制御は一応直族299番目に劣らぬが身体の制御が以前より荒い!もし、合格したのならその時また次の稽古を教えよう」

それだけ言うと魔王様はファンバーを残して空間から消えた。

「…ぅぅうううぅぅぅぅ……。」

ダランとファンバーが両腕を垂らすと背後に殺気と微かな風圧を感じた瞬間、死んだ。

「…おはっ!」

しゃがんで見え透いた攻撃を避けて取り敢えず一撃を与える為に魔法を放つフェイントを入れてただ殴ると腕が消し飛んだ。

「…あぁぁ……、…おはようございます。」

どうやらこれは長い3日感になりそうだ。

「…すぅー…」

ファンバーの一撃を空中を蹴って避けるとそのまま2発目の爆風も空中で避けると…訳も分からず死んだ。

「…?おはようございます」

指1本動かした瞬間に死合再開の合図だと知ったのは数え切れないほどの死を体験してからだった…。

……。

…………。

…………………。

「……おはようございます」

「お前の動きが悪すぎる!なんだあの見え透いた移動は!逆に誘ってるのかと警戒するレベルだ…!」

何度か追撃が止んだのはそれが原因か。

「…お前、全力で走ってみろ」

「…はい」

逆らうと拷問されるのは経験済みだ。

死より恐ろしい…。

「…問題は無いな…?それじゃ問題は敵のフェイントに負ける弱さか」

「…どういう事ですか?」

「お前はフェイントに乗るまいと動きに一定のリズムが出来るから分かりやすい。」

なるほど……リズムを崩さない事でフェイントに耐える方法を取ってたのか。

「…理解したみたいだな、不規則な動きを加えるのが1番早いが慣れない間はただの迷いの種だ。だから最初はフェイントをフェイントだと確信を持つ事から始めろ、いいか?お前は攻撃を与える事を目的とするのではなくフェイントに乗らない事を目的にする。問題点を潰せたら対等と見なして倒してやろう。」…嫌だと言いたい。

フェイントだと確信した瞬間に何故か何時もフェイントじゃなくて本当の攻撃になるんだもん。

お疲れ様です

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