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素晴らしいこの世界の片隅で。

雨があがったら

作者: ニチニチ
掲載日:2021/09/26

ざあざあ。

ざあざあざあ。


雨は降り続いている。

僕は、ひとり雨宿りをしている。

 

 

 


懐かしい匂いがした。

 

 


 

僕は、懐かしさの欠片に触れたくて、あたりを見回す。

 

 


昔、小さかったとき。

傘を持っていきなさいと言われても、面倒で持っていかなかった。

結局、雨が降ってしまって、よく適当に雨宿りをしていた気がする。

 


昔は不便だった。

今のようにコンビニもなくて、都合よく傘は売っていなかった。

 

昔は不便だった。

今のようにケータイもなくて、都合よく迎えに来てもらえなかった。

 

 

時折、昔の不便さをいとおしく感じる時がある。

でも、きっとそんな日々は二度と来ないだろうことも知っている。

 

 

 

土。

草。

濡れたコンクリート。


ワックスがけをした、教室の床。

音楽室。

体育館。

 

美術室。

図書室。

少しいいなって思っていた女の子。

 

 


 

やっぱり、どこからか湿った懐かしい匂いがする。

 

 


 

僕はどうしてもその欠片に触れたくて、雨の中、傘もささずに歩き出した。

大人になってしまった僕は、昔みたいに探し物が得意じゃなくなった。

 

 



それでも、懐かしさの正体を確かめたくて、探し歩く。

 

 

 

しばらく探してみたけれど。

やっぱり僕には、それが何なのかは分からなかった。

はっと気付いたとき、憂いで膨らんだスーツが身体にまとわり付いていた。

 

 


 

雨があがったら。

きっと、またその欠片は遠くにいってしまいそうな気がする。

 



 

そして。


 



またいつもの日常に。

何事もなかったかのように、ただただ戻っていく。

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