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猫耳少女は森でスローライフを送りたい【WEB版】  作者: yocco
第一章 猫耳獣人に転生した私と森の仲間達
8/50

07 ケットシー

「あなたは、ケットシー?」

「そうだにゃん! お前はそれで何を作るんだにゃん! しかも、スライムや小鳥達と仲良くしていて怪しいにゃん!」

 どうも、私と小鳥のやりとりを見て、気になってやってきたらしい。

 ケットシーが好奇心の強い妖精だというのは、本当みたいね。

 我慢ができなくなって、姿を表したのだろう。


 ……ふふ。お客様、一名追加ね。


 ケットシーは、後ろ足二本で立っていても、私の腰ほどまでしか背丈がない。

 白黒のハチワレ(額が八の字に色分けされていること、顔は白い)はバランスが良く、美猫さんと言えるだろう。


 ……可愛い! ぜひ仲良くなりたいわ!


 だから、私はしゃがんで互いの目と目を合わせる。

「あのね。これからパンケーキを焼いて、バターとこのベリーを軽く焼いたものを載せるのよ」


 丁寧に説明をすると、ぼんやりと夢想しているケットシーの口が緩み、つーっと一筋涎が垂れた。


「はっ! 紳士たる僕としたことがっ!」

 前脚でゴシゴシと口元を拭った。


「素敵なお客様? よかったら、ブランチをご一緒しませんか?」

「ブランチ?」

 初めて聞いたのだろうか、ケットシーが首を傾げる。


 私は空にいるお日様を指さす。

「朝食というには遅すぎて、と言っても、お昼にはまだ早いでしょう?」

「うにゃ!」

 ケットシーは、好奇心で、目がまんまるになっている。白い髭も前のめりになっていて、これは猫さんの『楽しい、嬉しい』の証だわ!


「そう言うときに、朝食と昼食を一度に食べる、ちょっと贅沢な食事をブランチって言うのよ」

 そう説明し切ると、どうですか? とばかりに私はケットシーに手を差し出す。

「楽しそうにゃん! 僕はお呼ばれするにゃん!」

 私の手の中に、ちょこんとクリームパン型の前脚が載せられた。

 猫の前足って、クリームパンみたいと思うのは、私だけじゃないよね!


 私は、ケットシーをエスコートして我が家へ招き入れる。

 帽子は玄関で脱いで、帽子掛けにかけてあげた。

 あとは、案内したテーブルに座って待ってもらった。

「湯ざましでごめんなさいね、あとでハーブティーを入れましょう」

 そう言って、喉が渇いているかもしれないケットシーに、まずはコップに入れたお水を提供する。

「気が利いてるのにゃ」

 ケットシーはご機嫌。だって、お髭が、ずーっと前を向いたままだもの!


 ではでは。

 今日はお客様をお招きしてのブランチといきましょう。

「エプロン、エプロン……」

 厨房の壁につけたれたフックから、背伸びしてそこにぶら下がっているエプロンを取る。そして、今着ているワンピースの上から身につけた。


 まず最初に、小鳥たちが集めてきてくれた新鮮なベリーたちを、バターとお砂糖で軽く焼こう。

「サラちゃん、竈門お願い! 最初は弱めでね」

「任せて!」

 竈門の中に現れたサラちゃんが、お返事をすると、その体からごうっと火が生まれる。


「うん、火加減もちょうどいいわ、ありがとう!」

 私はサラちゃんにお礼を言ってから、小さめのフライパンの上にカットしたバターを乗せて、焦がさないように溶かす。そして、洗って水分を切ったベリーを種類を選ばず放り込む。

 上から、パラパラとお砂糖をまぶす。


 調理しながら、これって、バナナでやるとめちゃくちゃ美味しいんだよなぁ、と思い出した。

 でも、この世界にバナナってあるのかしら?

 人里を見つけたら、聞いてみようかな。


 そんなことを考えながら、軽く熱を加えたベリーを皿に移す。


 フライパンの油分を布巾で拭いて……。

 前の世界のテフロンのフライパンなら、さっと洗っちゃうところ。

 けれど、このフライパンはどうみても鉄製。

 水で洗うのは最後の最後に極力避けたいのだ。

 というわけで、拭いたフライパンは、あとで再利用すべく、置いておく。


 卵は、黄身と白身に分ける。

 私が作ろうとしているのは、メレンゲのふわふわの力を借りて、ふわしゅわにさせるからね!


 次に、ボウルに小麦粉と砂糖を入れてスプーンでグルクル混ぜる。

 そして、牛乳と卵黄を加えて粉っぽさがなくなるまで混ぜる。


 別のボールに分けておいた卵白を、泡立て器で頑張ってメレンゲにする。

 うーん、ハンドミキサーが欲しいよう。

 

 メレンゲができたら、三回くらいに分けて、他の材料を混ぜた物を加えていく。

 底からすくい上げるように優しく混ぜてね。

 これで、タネは完成よ!


 そうしたら、フライパンにバターを溶かして、タネを掬って弱火でじっくり焼いていく。

「サラちゃん、じわじわ、弱火でお願いね」

「任せてよ!」

 竈門のなかを覗き込んで、サラちゃんにお願いした。

 そうして、まとめ焼きしながら次々にパンケーキを焼き切った。


 ……うん、ふわふわに仕上がったわ!


 あとは飲み物用のお湯を沸かして。

 泉で積んできたハーブのうち、ミントをポットに入れて、お湯を注ぐ。

 

 さ、あとはみんなで食べるだけね!

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