プロローグ
深い深い森の中、助けなんて来る方がおかしい。
まだ夕日が指す頃、森での野宿をしまいと足を早めた結果、魔獣の縄張りに入ってしまったらしく、ひたすらに追いかけられていた。
どんなに走っても走っても追いかけてくる魔獣。
呼吸も荒くなり、知らぬうちに所々怪我をしていた。我夢者羅に走っていたから枝やら小石やらに躓いたのだろう。もちろん記憶なんて飛んでる。
「くそ!しつこい!!」
思わず出た本音、時々地面に向かって魔法を放ち落とし穴を作っていたが体力も魔力も限界。足を早めることしか考えられなくなっていた。
そして走れば走るほど、森の奥深く、縄張りから抜けてもまた別の魔獣が追いかけていることに男は気づいていない。
「うわっ!!」
暗がりで見えなかったため、ツタに足を引っ掛けて転んでしまった。
「はぁ…はぁ………」
指を動かす体力もない、寝転んだまま男は周りを伺う。
暗がりで光る眼光もあるがそれ以上に鋭い気配だけ男を囲んでいることがわかる。このまま魔物が諦めて去ることはないだろう。
男は天を見上げ、視界に入った月に願う。
(今度はもう少しマシな人生にしてくれ)
ゾロゾロ……
男に近づいてくる魔物の足音、ゆっくり近づいている。しかしその足音の他に早い足音が聞こえる。
音の方へ顔を傾ける、だんだん近づいてくる音。
(人間の足音じゃない、魔物か……本気でこの人生終わった)
諦めた様子で目を閉じる、急に来た眠気。
抗うことはなくそのまま眠りについた。
____ぴっちょん、ぴっちょん
変わった小鳥の声、思いまぶたを開けた。
(あれ、生きてる……)
ムクっと起き上がると男の近くにいた大量の小鳥が一斉に飛び上がった。嫌でも眠気が飛んでしまう。
周りを伺うと温かくて気持ちいい陽の光、周りは木々、そして大量の魔物の死骸………、サァーーっと血の気が引いていくのがわかる。
人間本気で驚くと声が出ないというが声というかヒュッと息を呑んだ。
「う、うそだろ……」
起き上がらうと立ち上がるも足にツタが絡みついて起き上がれなかった、腰からナイフを取り出してツタを切る。
おかしい、先程のの小鳥で眠気なんて飛んでいるこれは夢じゃない。
起きたばかりの頭で整理をしよう。
(えっと、魔物に追われて眠気に襲われて……、だめだ考えてもわからない)
結果的に男の頭では整理なんてできなかった。
(俺が魔物に襲われなかったのは人間の死体に見えたのか?それともまずそうだったとか?)
いや、考えても結果分からないものは分からない。
とりあえずやることは一つ、魔物の死体から魔石を取り出す作業だ。
この時間からやれば太陽が登り切る前には終わるだろう、手に持っていたナイフを持ち直して大量の魔物を解体していった。