五話 登校
次の朝……
「ふぁ〜、行ってきます」
カバンを持ち俺しかいない家に言い、家を出る。
「一緒に行こう?」
夜乃が家の前で待ってくれていた。
かわいい、推しは天使。
しかも朝からで待ってくれていたんだなんてさらに天使。
いやー、これが本当の天使よ。
「もちろん」
断れるわけないやろ。推しであり彼女だぞ?モジモジしており可愛さ倍増している。
では鍵を閉めて確認すると、一緒に歩く。
「鉄冶」
「なに?」
登校している途中に言われる。
「今日、遊べる?」
「大丈夫だよ、バイトしてないし」
「そうだったね、学校終わったらそのままシッピングモールに行こう?」
「わかったよ」
推しとのデートなんて久しぶりだし、毎回転生する前から夢にも思わなかった推しとのデートということで幸せであり、楽しみだ。
「鉄冶機嫌良いね」
「だって久しぶりじゃないか」
「そうだったね、私以上に楽しみにしているんだね」
「もちろん」
会話をしていると下駄箱に着くので髪を下ろす。
「ここで別れますか」
「うん、また昼食で」
「ああ」
夜乃には先に行ってもらう。
俺はのんびりいくことにした。
俺は夜乃程金持ちではないがバイトせずに遊べるだけの金はある。
そういや、夜乃の会社最近右肩上がりだったよね。
別に夜乃に払わそうとはしてないけど困った時は助けてもらおう。
そうしているとクラスに着く。
俺は席に着き、荷物を片付けていく。
片付けが終わると、机にうつ伏せる。
そしていつもどおり、研信達の会話を聞く。
「夜乃」
「どうしたの?恵未」
「今日の朝、男と歩いてたんだよね」
「なんのこと?」
「とぼけないで」
「夜乃さん彼氏がいたんですか?」
佐々崎が六道と夜乃の会話に入ってくる。
今日はどうやら夜乃、六道、佐々崎と研信。
椎葉、走、恋の二つに分けて会話をしているね。
「ご想像にお任せします」
夜乃は無表情冷静に淡々と言う。ポーカーフェイス夜乃だ!ゲームの時にも見たが本物は本当に冷たいように感じる。
「恵未さん」
「なんですか、綾?」
「夜乃さんは誰と歩いてたんですか?」
「えーと、男以外わかってないね」
よかった、俺とバレてないわ。バレていたらクラス内でも夜乃の評価が下がるような気もするし、俺がボッチではないと気づかれてしまう。
「もしかしたら、会社同士で決めた婚約者かもしれませんね」
俺は笑い出しそうになる。
我慢した。掠っているのだから。勘がいいな。
「綾、私は会社が決めた婚約者がいたら殺してでも嫌ですよ」
さすが夜乃、ゲームの中で感情を押し殺す演技がうまいからリアルでもうまいな。ほんとは嘘だ。夜乃は本当のことは言いたいが…あとでいいか。
思ったんだけど俺がゲームの世界に転生しているのか?そんな普段考えている逆の考えが出てくる。でもいつかは分かるだろうからいいだろう。
「そうなのか、ならば普通に彼氏かな?」
「ご想像にお任せします」
硬くわに言わない夜乃。
夜乃が言わない理由は俺のせい、俺はボッチでありたいと夜乃は気付いてるから言わない。
「キーンコーンカーンコーン」
油断していた学校中になり響くチャイム。
「また、休み時間で」
綾など他のクラスに人達は戻っていく。
クラスにいる人も自分の席に座っていく。
そして主担任が入ってきて、一日の学校が始まる。