二話 推しキャラは俺の彼女
「キーンコーンカーン」
授業終了のチァイムが鳴る。
「起立!」
室長が言う。
みんなは立ち上がる。
「礼!」
俺も礼をする。
先生が扉を開けて去っていく。
昼食か。
俺は屋上に弁当を持って向かう。
俺はボッチではない、ただ友達がいないだけだ。
俺の前髪は目が見えない程伸びているから、
みんな近寄らないのかな?
「ごめん、昼食一人で食いたいの」
「ああ、いいよ」
教室から会話が聞こえた。
気にせずに屋上へ向かう。
まだ6月なので屋上は涼しい。
屋上の戸を閉めたはずなのに開く。
「一緒に食おう?」
「もちろん」
屋上のフェンスを背中にして座る。
俺の彼女の夜乃も座ってくる。
「今日の弁当はこれですよ」
空色の綺麗な髪が揺らぎながら弁当を開いて見せるようにして言ってくる。
黒目が輝いて見える。
かわいい、大好き!
「美味しいそうだな」
ほんとに美味しそうにみえている。これは幸せから来るものかもしれないが本当に美味しそうだ。
「はい、じぁ、あーん」
箸を使い、あーんをしてくれる。
俺は口を開け入れてもらう。
推しキャラはとても幸せにする天使なのだ。
夜乃とは中3から彼女だ。でも俺は中学校はボッチだった。
なぜ彼女ができたか。
それはな金だ。
誤解が生まれそうなので説明しておこう。
夜乃の親は社長だ。しかし会社は傾きかけていた。
ゲームでは夜乃ルートに入ると会社は六億円借金をしていて、最後は夜逃げになる。
けれど俺は俺の父と一緒に宝くじを引くと七億円当たったのだ。
家族で話し合い、何故か俺の父が夜乃の会社に六億四千万寄付したのだ。
会社は右肩上がりになり、復帰していった。
夜乃の親から感謝として何かありますかというと俺の親は夜乃を彼女にしたいと言った。
多分俺の親は友達でも彼女でもいいから俺に知り合いをほしいと思ったんだろう。
そこから付き合っていたのだが、今となってはバカップルに見られるだろうな。
けど教室ではボッチでいさしてくれと頼んだ。
必死に頼んだので了承してくれた。
そんな回想をしていると弁当を食べ終わる。
「また、帰るとき」
「わかったわ」
推しはかわいいのだ。
俺は夜乃に近づきほっぺに
「チュ」
キスをする。
夜乃は顔を真っ赤にしている。
しかし夜乃も負けじと、俺のほっぺに、
「チュ」
俺も顔が真っ赤になる。
「もう行く!」
俺は逃げるように教室へ向かった。
これじゃ、バカップルじゃないかぁ!!