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最強エルフとスキルを失った冒険者  作者: 霧野夜星


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第二十五話 邪神ベル復活

「未踏破エリアの宝箱か。結構でかいな」


 京也達が見つけた宝箱は、普通の宝箱より大きかった。地下十階より上の階には空の宝箱がいくつもあったが、それらより確実に大きかった。


「これは普通の宝箱の大きさではないです。ミミックかもしれません」

「いや、ミミックなら普通の大きさの宝箱に擬態するだろ」

「その逆を突いた作戦かもしれないでしょ」

「むむむ」


 ミミックとは宝箱の姿をしたモンスターで、冒険者がフタを開けようとした瞬間、襲ってくる罠型のモンスターある。


「俺なら色々無効化できるから俺が開けよう。まあ、大丈夫だろう」


 京也はミカエルのロザリオで状態異常を無効化できて、霧の鎧で物理攻撃を無効化できる。さらに魔力は二千を超えているので、普通の魔法ではたいしたダメージにはならなかった。(魔力=魔法防御力)


「よし、開けるぞ」


 京也は宝箱に近づいてフタを開ける。その宝箱にはカギがかかっていなかったので、簡単に開けることができた。


「おお、これは!」

「鎧ニャ! 鎧が入ってるニャ!」

「凄い鎧ね。防御力がかなり高そう」


 巨大な宝箱には豪華な鎧が入っていた。その鎧の背中には赤いマントがついていて、フルフェイス型の兜も付属している全身を守る鎧だった。


(こういう時、鑑定のスキルがあれば便利なんだがな。まあ俺にはメニューシステムがあるが)


 京也はアイテム画面を開いて宝箱に入っていた鎧を収納して、鎧の詳細を表示する。


 戦神の鎧

 物理攻撃に高い耐性を持つ鎧

 HP自動回復 自動修復 自動装着


「なるほど、HP自動回復機能付きか。だが俺の装備してる精霊神の守りは、HPとMPの両方が自動回復するから、あまり意味がないな。それに霧の鎧は物理攻撃を無効できるから、これを装備することはないだろう」

「その銀色の鎧って凄い能力よね。体を霧に変えて物理攻撃を無効するなんて。そんな凄いの、どこで手に入れたの?」


 アンナは気になったことを京也に聞く。


「ええと……」

(まさかレジェンドワールドのレアドロップ品とは言えないよな)

「何か秘密がありそうね」

「これを手に入れるのにかなり苦労したからな。簡単には教えられないぞ」

「ふーん。まあ、いいわ。今はその鎧より邪神討伐が最優先だから、先に進みましょ」


 京也はなんとか誤魔化してこの場を切り抜けて地下迷宮を進み、地下十二階に到着する。


「むっ、強い魔力を感じます」

「ニャオウも感じるニャ」

「この先からだな」


 京也達は地下十二階の大きな部屋に到着する。そこに一体の骸骨のモンスターが、侵入者を待ち構えるように堂々と立っていた。


「スケルトンのようです」

「カッコイイ剣と鎧を身に着けているニャ」

「あれは普通のスケルトンではないな。スケルトンの上位個体だ」


 スケルトンは、死んだ人の骨が闇の魔力によって動きだしたアンデッド系のモンスターである。スケルトンは生前の強さを引き継いでいる個体も存在し、その特徴にあわせてスケルトンナイト、スケルトンキングなどと呼ばれていた。

 京也達の前に現れたのは、漆黒の鎧を装備し、闇の魔剣を装備したスケルトンジェネラルだった。


「カタカタカタカタ!」


 スケルトンジェネラルが闇の魔剣を構えながら京也達に向かって突撃する。


「速いニャ!」


 普通のスケルトンは動きが遅いのだが、スケルトンジェネラルは高速の動きで京也達に迫ってくる。


「まかせろ!」


 京也もスケルトンジェネラルに向かって突撃し、ラグナヴァリスの剣身に光をまとわせ斬撃を放つ。


「ガハッ!」


 京也の光の斬撃がスケルトンジェネラルの漆黒の鎧ごと骨を斬り裂く。斬られたスケルトンジェネラルは、骨がバラバラになって地面に散らばった。


「ふふ、ラグナヴァリスはアンデッドに効果絶大だな」

「さすがキョウヤニャ!」

「あんな強そうなのを一撃とか凄い!」


 京也はアイテム画面を開いてスケルトンジェネラルを回収する。


 スケルトンジェネラルの魔石×1

 闇の魔剣×1

 壊れた漆黒の鎧×1


「スキルはどうだ?」


 黒炎剣

 黒い炎のような闇を剣にまとわせて放つ闇属性の剣技

 消費MP 25


「おお、新しい剣技を手に入れたぞ。これで戦いのバリエーションが増えた」

「えっ、今のでスキルを手に入れたの?」


 スキルドロップシステムを知らないアンナが、いきなり新たなスキルを習得した京也に驚いている。


「あっ、ええと……」

(スキルドロップシステムのことも、あまり他人に知られたくなかったんだけど……失敗したか)


 京也はなんとか誤魔化そうとする。


「たまたま、新しいスキルを習得できたようだ。いやー。珍しいこともあるもんだ」

「ふーん」

(やっぱ、何か隠してるわね)


 京也が焦っているのでアンナは怪しんでいる。


「まあいいわ。そういうことにしといてあげる」

(私は邪神を倒してくれるなら、キョウヤが何者でも構わないし)



 京也達はさらに進み、地下十三階に到着する。すると階段を降りた通路の先にかなり広い部屋があった。天井も高く、とても地下迷宮内とは思えないほど広い空間が広がっていた。


「ここは……普通の部屋じゃないな」

「そう、ここが最下層の邪神が封印されてる部屋よ」

「ここが……」


 京也達は部屋を隅々まで見渡して警戒する。その部屋の一番奥に二メートル以上ある石碑のようなものがあり、何かの文字が彫られている。京也達はその石碑の前に移動する。


「この石碑よ。これを壊せば邪神が復活するよ」

「何だ、それだけか。それなら、わざわざアンナがここに来る必要なかったんじゃないか?」

「まあ、そうなんだけど、邪神とあなたの戦いに興味あったからね」

「まあいい、みんなは下がっててくれ。俺が破壊する」


 京也は封印の石碑の前に立ち、ラグナヴァリスで石碑を斜めに切り裂いた。すると斬られた石碑の上部分がずり落ちて床に落下する。


「むっ! この魔力は!」


 この場にいる全員が斬られた石碑から異様な魔力を感知する。京也は後方にステップして石碑から距離を取り、ラグナヴァリスを構えて警戒する。


「フシューーッ!」


 封印の石碑から闇の魔力が発生し、それが空中で集まって人のような姿に変化する。


「クックックッ、お前が封印を解いてくれたのか?」

「こいつが邪神ベルか!」


 邪神ベルは闇で作られた黒い体に、豪華な闇のマントを羽織って空中に浮いている。眼は赤く、頭には悪魔の角が二本生えていた。


「俺の配下……ではないな。光の剣を持っているということは勇者か? 勇者が俺の封印を解いたのか?」

「だから俺は勇者じゃない! ただの冒険者だ!」

「ふむ、まあいい。俺は今、気分がいい。この邪神ベルの封印を解いた褒美に、ひとつだけ願いをかなえてやろう」



 次回 邪神ベル VS 銀の竜殺し に続く

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