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最強エルフとスキルを失った冒険者  作者: 霧野夜星


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第二十四話 神速の腕輪

「無事に対邪神用の魔法を習得できたみたいね。じゃあ行きましょう」

「ん? 俺達についてくるのか?」

「そうよ。あなた達は最下層の邪神の封印の解き方、知らないでしょ」

「ああ、確かにな」

「だから私も一緒に行くよ」


 フェアリーのアンナが、京也達に同行することになった。彼女は京也を値踏みするように観察している。


「それにしてもあなた、普通じゃないよね」

「何がだ?」

「だってレベルは150超えてるし、凄そうな武器と鎧を持ってるし、しゃべる猫とエアリアルユニコーンを仲間にしてるし」

「まあ、色々事情があるからな」


 京也は自分が別の世界から来たということは、誰にも言ってなかった。


(そういえばニャオウとハクレイに俺の素性を話してなかったな。今はアンナがいるから後で話すか)


 京也は自分が別の世界から来たということは、他人には知られないほうがいいと考えていた。だが仲間となったニャオウとハクレイには話してもいいだろうと考えていた。


「どうしたのニャ? キョウヤ」

「何でもない。さあ、先に進もう」


 京也達はさらに地下迷宮を進み、地下十階に到着する。


「うおっ!」


 地下十階の通路を京也が先頭で歩いていると、突然床が抜けて、彼は落とし穴に落下する。だが京也はすぐ跳躍のスキルを使って戻ってくる。


「また落ちたのニャ」

「ふん。俺には落とし穴は効かないぜ」


 落とし穴の底には無数の鉄の針が配置されていたが、京也の霧の鎧の効果で体が霧状になり物理ダメージを無効化した。そして跳躍のスキルで戻ってきたのである。


「でも落とし穴の底が硫酸とかだったらヤバイかもしれない」


 落とし穴対策なら、ハクレイに乗って空中を走っていけばいいのだが、空中疾走のスキルは一定以上のスピードがないと空中を走り続けられないので、地下迷宮内では使いづらいスキルだった。


「気を取り直して先に進むぞ」


 京也が先に進もうとすると、遠くから複数の人の声が聞こえてきた。これは彼の持つ聴覚強化スキルおかげである。


「ん? 誰かいるな。それも複数」

「冒険者かニャ?」

「たぶん何かと戦ってるような感じだ。行ってみよう」


 京也達は警戒しながら地下十階の通路を進む。すると通路の先に大きな部屋があり、そこで四人の冒険者パーティと巨大なゴーレムのようなモンスターが戦っていた。


「くっ! 駄目だ! 魔法も効かない!」

「あのミスリル製の体には、物理攻撃も魔法も効かないわ」

「こんな奴、どう倒すんだよ」

「グハッ! なんて馬鹿力だ!」


 冒険者パーティが戦っていたのはミスリルゴーレムだった。ミスリルゴーレムは身長が五メートル以上あり、魔法に耐性があるミスリルという金属で作られたゴーレムである。ミスリルゴーレムはアイアンゴーレムと同じく、動きが遅いが攻撃力と防御力が高いタイプのゴーレムだった。


「助けるのかニャ?」

「ああ、冒険者達が劣勢のようだ」

(物理攻撃も魔法も効かないミスリルゴーレムなら、さっき習得したディメンションカッターを使えば倒せるだろう。だが最強クラスの魔法を、人前ではなるべく使いたくない)


 ディメンションカッターは相手の耐性を無視してダメージを与える魔法なので、ミスリルゴーレムでも確実に倒せる魔法である。同じく魔法防御力を無視して攻撃できる雷系最上級魔法サンダーブレイズも、ミスリルゴーレムには有効だった。


(強力な奥の手を使わなくても、二千を超える攻撃力を持つ俺なら力押しでも行けるような気がする)


「ゴゴゴゴゴ!」

「くっ! も、もう駄目だ!」


 冒険者の一人が転倒し、ミスリルゴーレムに襲われそうになる。そこへ京也が現れ、その冒険者の前に壁状に物理障壁を展開した。


「ゴガッ」


 京也が展開した物理障壁がミスリルゴーレムの拳を弾く。その隙に転倒した冒険者はその場から逃げ出す。


「なっ!」

「お前は……」


 突然、この場に現れた京也、ニャオウ、ハクレイ、アンナを見て、冒険者パーティが驚いている。


「すまんが、あのミスリルゴーレム。俺が倒していいか?」

「何っ?」

「その銀の鎧は……銀の竜殺しか!」

「ああ、皆からはそう呼ばれている。それで俺が奴を倒していいか。一応確認しとかないと、横取りするみたいだからな」


 冒険者パーティ全員が目を合わせる。


「俺達の力では奴を倒せない。俺達は手を引く」

「了解した」


 京也はミスリルゴーレムに向かって堂々と歩いていく。


「いくら貴方でも無理よ! 剣も魔法も効かないのよ!」

「いや、たぶんいける。まかせてくれ」

「ゴゴゴゴゴ!」


 京也はラグナヴァリスの剣身に魔力をまとわせる。


「オーラブレード!」


 京也は走ってミスリルゴーレムに接近し、ラグナヴァリスで斬撃を放つ。それに対しミスリルゴーレムは両手を前に持ってきて防御の姿勢をとる。だが京也の斬撃はミスリルゴーレムの両手を斬り落とし、さらに彼は目にも止まらぬスピードで二度目の斬撃を放ち、ミスリルゴーレムの体を一刀両断した。

 

「ガゴガガガ……」

 

 京也に斬られたミスリルゴーレムは地面に倒れ動かなくなった。


「なっ!」

「何だ? 今の攻撃は!」

「ぶ、分身したの?」


 冒険者達には、京也が分身して二人の京也が二つの斬撃を放ったように見えた。これは京也が持つ神速の腕輪の効果だった。


 神速の腕輪

 物理攻撃の後 同じ物理攻撃で再攻撃が可能になる

 魔法や物を消費する物理スキルは再攻撃できない


(神速の腕輪はレジェンドワールドでは、一ターンに二回攻撃できるという効果だったが、ここでは一瞬で二回行動できる効果のようだ。これもチート級の装飾品だな)


 戦いが終わり、京也は倒れたミスリルゴーレムを収納して解体する。


 ミスリルゴーレムの魔石

 ミスリルのインゴット×327


「ミスリルは魔法耐性を持つレアな金属だ。高く売れるし錬金術で何かを作ってもいいな」


 さらに京也はスキル画面を確認する。


 スキルステータスブロック

 他人が自分のスキルや能力値を操作できないようにするスキル

 パーティメンバーの能力上昇系スキルは効果あり

 常時発動スキル オンオフ設定可能


「これは当たりスキルだ! これで俺は敵に能力値を下げられないで済む。スキルを操作できないってのは、奪われたり封印されたりコピーできなくなるってことかな。これもいいな」


 京也が新スキルを入手して喜んでいると、冒険者パーティが歩いて近づいてくる。


「すまない。助かった」

「いや、俺も色々手に入ったし気にすることはない」

「ミスリルゴーレムをひとりで倒すなんて凄いわ。さすが銀の竜殺しね」

「今まで地下十階の門番を倒した者はいないらしい。この地下迷宮に挑んだ冒険者は、皆ここで挫折して撤退してると聞いている」

「ならこの先は誰も行ったことがないってことか」

「ああ、ここから先が未踏破エリアということになるな」


 この部屋の奥には大きな扉があり、ミスリルゴーレムが倒された時、扉の封印が解けていた。


「俺達はここで撤退する。おそらくこの先はミスリルゴーレムよりさらに強いモンスターがいるはずだ。俺達では先に進めないからな」

「ミスリルゴーレムを瞬殺できる銀の竜殺しなら、最下層までいけるだろう」

「健闘を祈るわ」


 そう言って冒険者パーティは地上へ戻って行った。


「しかし、思ってた以上に強いね。彼」

「私のご主人ですから当然です!」


 ハクレイは自慢げにアンナにそう話す。


「よし、俺達は、さらに先に進むぞ」


 京也達は扉を開けて地下十一階に進む階段を発見し、階段を降りて通路を進んで行く。地下十一階にはアイアンゴーレム、ミスリルゴーレム、マンティコアなどが複数出現したが、京也は問題なく倒し、先に進んでいく。すると、


「ニャ! 宝箱ニャ! 宝箱があるニャ!」


 京也達は地下十一階の広い部屋で宝箱を発見した。



 次回 邪神ベル復活 に続く

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