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神域の元英雄と終焉戦争  作者: 暁 虎鉄
金色の聖女
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世界の在り方

『まず、主殿は魔法についてどれ程知っておるのじゃ?』

「わざわざそんな事を確認する必要があるのか?」

『あるから言っておる。よいから魔法について説明せい』

「はあ、分かったよ」


何故わざわざ常識を知っている相手に常識を説明しないといけないのか分からず、面倒臭そうにしながら勇士は説明を始めた。


「まず、魔法は魔力を使うことで様々な現象を引き起こすものだ。この魔力というのはあらゆる生物の体内に存在する力だが、それを操り利用することが出来るのは人と魔物のみで、他の生物は魔力を持っていても魔法は使えない。これで良いか?」

『駄目じゃ。というか、儂が説明して欲しかった所はそこではない』

「じゃあ、どこを説明すれば良いんだよ……」


シャワーの音とお湯が少し鬱陶しくなってきたので、シャワーを止め、勇士は少し苛立ちを感じて常夜に伝わらないように調節する。だが、少し失敗して伝わってしまったようで勇士に僅かな怯えの感情が伝わってきた。


『う、うむ、すまぬ。儂の言い方が悪かったようじゃの。魔法という現象のメカニズムついて詳しく説明してくれ』

「ああ、成る程な。了解した」


勇士は頭をタオルで拭きながらどう説明するのか、考えを巡らす。昔、友人に魔法の原理と世界に与える影響を長々と語られたことがあり、その内容を思い出して必要な部分だけ抜粋していく。……そうでもしなければ、その友人のように半日ほどの時間をかけないといけなくなる。


「……魔法は魔力を使って一時的に世界の法則を捻じ曲げる、または書き換えて現象を引きを起こすものだ。また、世界による法則の修正があるため、ほとんどの魔法には効果時間が存在する。確か、こんなところだったか?」

『うむ、大体わかっているようじゃの』


勇士が説明に必要な基礎的なことしっかりと理解しているのは常夜にとってありがたいことだった。

最悪、基礎的なことから説明することを覚悟していたのだから、間違いなく朗報だろう。


「それで?」

『うむ、説明しよう。まず、儂は神秘に属する、言うならば魔法と同じく世界の法則を捻じ曲げることでこの世界に存在している』

「まあ、お前の()を考えれば当然か。それに生物じゃないのに魂が宿ってるしな」

『つまり、儂にも世界による法則の修正の対象になっているのじゃ』

「何?」


予想外なことが聞こえ、思わず聞き返した勇士は顔をわずかにしかめて怪訝そうな表情を浮かべていた。

常夜の話が本当ならば、前世からの長い付き合いの中で何かしらの不調があってもおかしくない。だが、勇士は一度もそういったことを相談されたことはない。つまり、長年の相棒だとを持っている相手に頼られなかったことになる。少なくとも良い気分はしないだろう。


『何か勘違いしているようじゃから言っておくが、儂にはほとんど……いや、全く影響はないぞ。少なくとも箱庭とこの世界ではな』

「……そうか」


常夜の言葉に勇士はわずかに安堵した。しかし今度は、影響を受けていないのならどうしてそのはなしをしたのか、という疑問が出てくる。


『さて、何故儂に影響がないにもかかわらず法則の修正力の話をしたかというとじゃな、簡潔に言ってしまえば法則の修正力が強く、魔法をはじめとする神秘に属するものが存在しない、存在できない世界があるからじゃ』

「魔法がない世界?」


勇士の心を読んだかのよう………いや、心を読み、質問に先回りして答えた常夜に文句を言おうとしたが、話が進まないと思いとどまり、新しい質問をする。ここでそんな世界あるのか?と言わないのは常夜への信頼の表れだろう。


『うむ、そういった世界では魔法がない代わりにこの世界にもある科学が発展しているらしいぞ』

「なるほど、この世界では魔法で補っていることを全て科学でやってるのか。大変そうだな」

『まあ、魔物なども存在できないらしいからの。一長一短じゃろうな』

(魔法がなく魔物もいない世界か……どんな世界なのか、見当もつかないな)

「……なあ、俺がその世界に行くとどうなる?」


魔物がいない世界というのは勇士ににとって魅力的に聞こえたのだろう、少し考え込んでから常夜に半ば興味本位ではあるが、自分がその世界に行った場合どうなるのか聞いてみることにした。


『ふむ、そうじゃのう……主殿の場合は色々と特殊というか規格外じゃからの。完全に人を辞めて神の域に至ってはいたても、一応、神秘には属していないから行くこと自体は出来るはずじゃ。魔法は流石に使えんじゃろうから、その世界の人々からみて人外じみた身体能力があるぐらいかの』

「その程度なのか、いざという時に危ないかもしれないな」


常夜と勇士はいたって真面目に話しているのだが、そもそも常夜が言っている人外じみた身体能力とは、常人では瞬間移動にしか見えない速度で移動する、海の上を走る、軽く50mを超える高さまで跳躍したりと、正しく化け物のようなものを指している。

………これほどの身体能力を持っていて危ないとは、いったいどのような事態を想定しているのだろうか。


「ああ、そうだ。着替え終わったからもう見てもいいぞ」

『着替え終わったか、この後はいつも通りの鍛錬なのじゃろうな』

「そうだが、どうした?」

『つまらん、いつもと違ったことをしようとは思はないのか?』


話している間に体を拭き終わり洗面所にいつも置いてある黒いジャージに着替え終わった勇士がそのことを常夜に伝えると、すぐに彼女の視線を感じるようになった。すると、勇士の恰好を見た常夜から呆れたような視線を感じながらいつも通りだと頷く。

つまらないと言われ、洗面所を出て玄関に向かいつつ勇士は溜め息をついてから、常夜に言い返す。


「つまらないって言われてもな。お前だって基礎的な鍛錬の大切さはわかってるだろうに………」

『それはわかっているが、この世界は箱庭に比べれば平和じゃ、平和。2度目の人生なんじゃ、鍛錬に精を出すぐらいなら友人を増やすなり、趣味をするなりして人生を謳歌せよ。儂は主殿が心配じゃ』

「お前は俺の親か。大きなお世話だし、それにあえて言えば鍛錬が趣味だな」

『………はぁ……』


もし常夜に人間と同じく体があったのなら、鍛錬を趣味と言う勇士を前に処置なし、といった風に首を横に振っていただろう。


『あ、ときに主殿よ、今日からしばらくは鍛錬を早めに切り上げるのだぞ。儂も今思い出したのじゃが、今日から主殿の父君と母君は仕事でいない。つまり、家には主殿一人きりじゃ。鍛錬が遅くなれば、朝食も遅くなるぞ』

「あー、そうだったな。姉さんは元々旅行でいないもんな。わかったよ。じゃあ、行ってきます」


半年前ぐらいに世直しの旅に行ってくると言って、今は世界中を旅しているだろう姉の姿を思い出しつつ、勇士は誰もいない家に挨拶をしてから玄関の扉を開けた。




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