第1話 連続失踪事件の犯人の正体 前編
ある夜、いちかは夢をみた。これまでに見たことのない魔物が人々を襲い、いちか自身も襲われるかしれなかった。夢の中のいちかはこんなことを言った。
「何あれ?…私…知らない…」
一体何が起きているというのだろうか、理解が追いつかないいちかだったが、どこからか声が聞こえてきた。
「あなたは僕が見えていますか?」
その声が聞こえたかと思ったら周りの人々の動きが止まり、さっきまでの阿鼻叫喚が嘘のように静かになった。そしていちかの前に青年が現れた。いきなり青年が目の前に現れたことでさらに理解が追いつかなくなったいちかは恐怖を感じていた。
「ひっ…ひいっ…誰?…」
見知らぬ青年が現れたことにいちかは怯えていた。幼児体型・低身長・貧乳・童顔の4拍子が揃って、中学二年生であるにもかかわらず今でも小学生と間違われるためいちかにとってはコンプレックスであり、世の中物騒になったこのご時世ではその見た目から誰かに誘拐されかねないこともあるからだった。
「怖がらなくてもいいのです。あなたは妖魔を退治してもらわなければなりません」
青年はいちかに対して妖怪退治を依頼したのだった。顔も名前も知らない青年から妖怪退治を依頼されたいちかは当然断ることにした。
「何の取り柄もない私が妖怪退治だなんて…無理だよ…出来っこない…」
青年は困惑しながらもいちかの回答を汲んだが、その答えを選んだいちかの先の未来を教えた。
「そうですか、それは仕方ないですね。しかし今ここで見たように、いずれあなた自身もこのような運命になるのです」
そのことを聞いたいちかは自分自身が妖魔によって死ぬことを悟った。退魔師になって人々を守るために戦わなければ生き残ることは出来ず、かといって何もしなければいつかは妖魔に襲われて死ぬことになる。どちらにしてもいちかに命がかけられていることに変わりはないのだ。
「とにかく…何の取り柄もない私に出来っこないよ…」
いちかは青年にこう言ってから逃げるようにその場を離れた。そして現実のいちかは目を覚ました。
時刻は朝の7時。いつも通りに起きる時間だった。
「あれってもしかして…夢だったの…?」
目を覚ましたいちかは母親に呼ばれ、1階のリビングに降りて朝食を食べた。そして支度をして学校に行った。
「行ってきまーす」
そう言って元気よく学校に出かけた少女の名は宮原いちか、どこにでもいる平凡な中学二年生である。今日も元気よく登校していた。そして待ち合わせ場所である交差点で友達と合流した。
「おはよう!ともかちゃん、まさこちゃん!」
いちかの挨拶に若松まさこが挨拶で返す。
「あっ、いちかちゃん!おはよう!」
まさこの挨拶のあとに東郷ともかがとある話題を振ってきた。
「ねえ、いちかちゃん、まさこちゃん、最近ひとみちゃんが行方不明になってるんだけど何か知らない?」
ともかが言った『ひとみちゃん』という少女は、数日前に行方不明になった京塚ひとみのことである。既に捜索願が出されており、警察も探していたが未だに見つかっていない。誘拐されたとしたら、七十二時間以上過ぎると生存率が低くなってしまう。いちかが通う中学校でもひとみは男子からかなりの人気があったため、安否を心配する男子生徒も絶えなかった。京塚ひとみの見た目は美人でグラマーであり男子から注目を集めていたが、彼女にはとある秘密があった。可愛い女の子が好きという変態淑女であり、BL・GL・NLなんでもござれの分野が広いほどの腐女子でもあるのだ。当然その対象にいちかも入っていたのだが、いちか自身はひとみの美貌に憧れていたのは言うまでもない。
「私は知らないわ」
「私も知らない」
当然何も知らないいちかとともかはこう返した。
「もしかしたら…都市伝説の通りに…」
まさこは意味深なことを言った。
「都市伝説って…」
いちかは昨日兄から言われたことを思い出した。しかしそれが原因だとは思わないようにした。
「そんなことないと思うよ、都市伝説ってだけだし…」
その頃ひとみはというと、紫色の空が覆い、よく分からない光球が漂う禍々しい空間に連れてこられていた。目を覚ましたひとみは意識が混濁しながらも起き上がり、辺りをキョロキョロ見回した。
「ここは…どこ…?家に帰ってお父さんやお母さんと一緒にご飯食べるはずだったのに…」
ひとみはこの空間に連れてこられる前のことを思い出していた。しかしいくら思い返しても思い当たる節はなかった。
「よお、小娘。目が覚めたか?」
黒ずくめの男がひとみの背後から声をかけた。男から小娘と呼ばれたひとみは怒りながら言い返した。
「あなた誰?初対面なのに小娘なんてひどいじゃない!」
その様子を見た男は嘲笑った。そしてひとみを蔑むようにしながら自己紹介した。
「小娘に小娘と言って何が悪いんだ?俺は黒崎克己、復讐のために生きる男さ」
復讐のためと聞いて克己の発言にただならぬ予感がしたひとみは逃げの体制に入った。しかし、誘拐される前に持っていたカバンがなくなっていたことに気づき慌て始めた。
「あれ?…私のカバンがない…どこ?…」
克己は慌てているひとみの様子を楽しんでいた。完全に見つからないことに泣きそうになったひとみに追い討ちをかけるようにこう言った。
「お前のカバンはあそこにあるぞ」
ひとみのカバンは克己が生成した闇の球体に封印されていた。それを見たひとみは人目も憚らず慌てて取りに行こうとダッシュした。それを見た克己は背後に回り、腕を掴んで逃げられないようにした。
「せっかくの獲物を逃すわけにはいかねえなあ。この世界に連れてこられた以上俺に協力してもらうぞ」
克己はそう言いながら濡れ女子の力を内包した物体を見せた。それを見たひとみは怯えた表情を見せた。
「いや…やめて…」
その様子を見ても問答無用で克己は濡れ女子の力を内包した謎の物体をひとみの体内に埋め込んだ。
「いやあああああああああああっ!」
それを埋め込まれたひとみは普段の声質から想像出来ないほどの断末魔のような悲鳴を上げながら濡れ女子に変貌してしまった。そして克己は最初の命令を濡れ女子に変貌したひとみに下した。
「俺の憎悪の対象を排除してこい」
謎の物体を埋め込まれたひとみは虚ろな目になり、反抗することもなく命令に従った。実際は反抗しようにも謎の物体によって反抗するどころか考えるのをやめて服従してしまうほどの効果を受けてしまうのだが。
「はい…ご主人様…」
そしてそのまま克己の言う憎悪の対象を排除しようと動いたのだった。
その頃、いちか達は授業が終わり、部活をして帰路についていたのだった。
「はあ、すっかり遅くなっちゃった。早く帰らないとみんなが心配するわ」
急いで家路につくいちか。しかし、早く帰りたかったのか近道をしようと暗い道を進んでいった。それが間違いだったのは言うまでもない。あれから数分後、どこまで歩いても出口が見えないことにいちかは不安を覚えた。
「あれ、何で?道に迷ったかな?」
道に迷ったと思い携帯を見るとなんと圏外になっていた。それと同時に、いちかの兄から聞いたとある噂を思い出していた。
(噂では失踪ではなく神隠しと言われていて、その神隠しに遭うときは誰とも連絡が取れなくなってしまうんだとか。ウソかホントかなんて本人にしか分からないけどな)
それと同時に夢の中で出会った青年から言われたことを思い出した。
(そうですか、それは仕方ないですね。しかし今ここで見たように、いずれあなた自身もこのような運命になるのです)
兄から聞いた噂を思い出したいちかは恐怖に怯えた。そして家族に連絡しようと電話をかけたが圏外のため当然繋がらなかった。
「まっ、まさか…そんなことあるわけ…ないよね…?今日が命日なんて嫌…誰か…」
恐怖の中でそういいながら助けを待っているいちかに、何かが近づいていた。その気配に気づいたいちかは恐怖で完全に動けなくなってしまった。
(何…誰かいるの…?)
そして、その気配はどんどん近づき、いちかから後数十メートルまで接近していた。いちかの恐怖は最大となり、兄から聞いていた噂も相まっていちかの表情も恐怖に染まり、身体も震え始めていた。そして、接近していたモノもついに唸り声を上げた。
「フッフッフッフッ…」
いちかは声のした方向に目を向けた。そこには妖怪が立っていた。
「あうう…私…今日が命日になるんだわ…」
いちかは妖怪に完全に怯えていた。そして妖怪はいちかに襲いかかってきた。身体がもたつきながらもいちかは逃げようとしたが、足首に何かが絡みつき転ばされてしまった。妖怪は転ばせたいちかを、絡ませたもので手繰り寄せる。いちかもそれに負けじと抵抗するが力の差は歴然で敵うはずもなくどんどん引っ張られ、妖怪まであと僅かのところまで引っ張られていた。
「まさか…私を食べるの?…美味しくないよ!」
完全に恐怖に囚われたいちかはなんとか逃げようとしたが、妖怪は聞く耳を持たず、いちかの首に絡ませてきた。
「え?…首に…まさか、私を殺す気⁉︎…いっ、いやあああ」
いちかは絞め殺されないように絡ませてきたものに手をかけて外そうとするも簡単に外せるものではない。それどころか寧ろどんどんキツくなる一方だった。
「なっ、何これ…濡れてる⁉︎…」
いちかは絡ませてきたものが濡れていることに気づいた。そしてその絡ませてきたものを触ってみると、濡れた女性の髪だった。その時、この妖怪の正体が濡れ女子であることに気づいたのだった。
「まさか…妖怪…濡れ女子…⁉︎」
妖怪濡れ女子のことは中学校の図書館にある怪談小説で既に読んでいたが、まさか現実で会うことになるとは想像もしていなかった。
「あら、勘のいい子ね。でも、食べると言ってもまずは血を吸うのよ」
濡れ女子は一般的に血を吸うと云われているが、地域によっては人に取り憑いて中から水分を奪って死に至らしめることもあるという伝承がある。
「私の…血…?」
いきなりのことに思考が追い付かず、いちかは混乱していた。それでも濡れ女子はいちかに対してこう答えた。
「若い子の血って美味しいからねぇ。でもいきなり血を吸うのもアレだし…せっかく久しぶりのかわいこちゃんなんだから、ちょっとイイコトしない?」
濡れ女子はとんでもないことを言い出した。しかし、怪談小説を読んでいるいちかはこの発言を不審に思った。これは濡れ女子本人じゃない、濡れ女子が誰かに取り憑いているのだと。
「えっ、イイコト…?」
(一体何するの?…)
濡れ女子に何をされるのか分からないいちかは混乱していた。絶体絶命の状況にあるいちかが恐怖に染まっていくのを濡れ女子は楽しんでいるかのような表情をしていた。
「どうやら恐怖で緊張しているようだから、緊張がほぐれるように全身をマッサージするわね」
濡れ女子はいちかが答える暇も与えないまま、自分の髪を使ってマッサージを始めた。いちかは身体の緊張がほぐれる感覚を味わい、恐怖と綯交ぜになって自分がどうなっているのか理解出来ていなかったが、濡れ女子に殺されていないことだけは感覚的に分かっていた。しかし、殺されるのも時間の問題だった。濡れ女子はいつ殺しにかかるか分からない。したがっていちかにとってはいつ殺されるか分からない恐怖も同時に味わっていたのだった。そんな中で受ける濡れ女子の全身マッサージは、身体の緊張状態はほぐれても心の緊張状態はほぐれるどころか余計強くなっていった。それどころか濡れ女子は女の子の身体を知り尽くしているかのようにいちかの全身を気持ちよくほぐしていた。それから数分経った後、濡れ女子はこう言った。
「さて、十分楽しませてもらったから、あとは食べるだけね」
「まさか…本当に私を食べるつもりなの…?」
「まずは血を吸ってからじゃないとね。」
「血を吸うってまさか…」
(ダメ…死んじゃう…これ以上されたら私…私…もう…)
いちかの意識は時間を追うごとに遠くなる一方だった。同時に助かる確率も時間を追うごとに低くなっていく。このまま誰も助けが来ないといちかは絞め殺されて妖怪に食べられることになる。同時に吸血もされているため、意識が遠退くのもその分早い。
「このまま私は死んじゃうのね…パパ…ママ…お兄…ちゃん……お…姉…ちゃ…ん…ゴメン……ね……」
いちかが死期を悟った時、とある男性が助けに入った。見た目はいちかよりも年上に見える。
「誰も死なせやしない!」
その男性はいちかの首に絡みついている濡れ女子の髪を持っていた刀で切り、いちかの気道を確保して窒息死させられる状況から救出した。そして同時に濡れ女子に殴りかかった。殴られた濡れ女子は痛がり、その痛みと衝撃でいちかをの全身を拘束していた髪が全て外れ、いちかは死なずに済んだほか、絡みついていたものは全てなくなった。しかし、いちかはあまりの恐怖と吸血と締め付けで既に気絶していた。
「濡れ女子、覚悟っ!」
そう言うと男性は濡れ女子の拘束から解放されたいちかを救出し、すぐに安全な場所に横たわらせた。男性に邪魔をされた濡れ女子は名前を聞いてきた。
「あなたは何者!?」
男性は自己紹介しながら端末にカードを装填した。
「俺は東屋黒羽、退魔師さ」
自己紹介の直後に問答無用で濡れ女子は髪を伸ばして攻撃したが、黒羽はそれを軽い身のこなしで躱した。
「八咫烏、俺に力を…貸してくれ」
生身の人間では倒せない妖魔に対抗するため黒羽は戦闘服の姿に変身した。
「私の邪魔をしないで!」
攻撃を受けた濡女子は武器の黒髪で黒羽に攻撃を仕掛けた。しかし黒羽はそれを躱し、カウンターを決めた。濡女子はバランスを崩して地面に倒れた。さらに黒羽は追撃で刀による斬撃を繰り出した。
「これ以上人の悲しむ顔なんて見たくないんだよ!」
バランスを崩しながらなおも立ち上がろうとする濡れ女子に、さらに豪快な蹴りを入れ大きく後退させた。戦闘の疲れから濡れ女子は立ち上がることすら出来なくなり、封印のチャンスが回ってきた。その様子を見た黒羽は封印用のカードを取り出し、濡れ女子に向けて投げた。カードは濡れ女子の反撃の隙を与えずに封印し、黒羽の手元に戻ってきた。同時に謎の物体もひとみの体内から排出され地面に落ちて粉々になり、出口がない空間が晴れて夜空が現れ、いちかが近道をする前の場所に戻った。
濡れ女子の呪縛から解放されたひとみは意識不明のまま倒れそうになったが、黒羽はひとみが頭を打たないよう支えてゆっくりと横たえた。その後いちかは意識を取り戻した。
「…っ…はあ…はあ…私、生きてる…」
意識を取り戻したいちかは起き上がるも、いちかにとって見知らぬ男性である黒羽が近くにいてビックリした。
「ひっ…ひいっ…あなた、誰?…私を…誘拐したいの?…」
いちかは見知らぬ男性に誘拐されると警戒した。いちかが警戒していると感じた男性は自己紹介をした。
「誰が誘拐するんだよ!自己紹介がまだだったな、俺は東谷黒羽。君と同じ学校に転校してきた中学二年生さ。お前は?」
同い年と聞いて安心したのか、いちかも自己紹介した。
「私は宮原いちか、あなたと同じ中学二年生よ…」
黒羽はイチカの自己紹介のあと、いちかの身に起こったことを話した。
「お前は濡れ女子に殺されかけていたんだよ」
髪から血液を吸うものや憑依して水分を奪うものなど様々なものがいる濡れ女子に殺されかけていたと聞かされていちかは衝撃を受けていた
「えっ、まさか濡れ女子に…?」
黒羽は今回の濡れ女子の特徴を伝えながら、いちかを殺害しようとしていた事件の真相を伝えた。
「今回のは血を吸う奴だったが、どうやら誰かに取り憑いていたようだな」
いちかは黒羽が指を指した方向を見ると、そこには美少女が倒れていた。しかし、いちかはとあることに気づいていた、その倒れていた美少女のことを。
「もしかしてひとみちゃん?」
なんと倒れていたのは行方不明になっていた京塚ひとみだった。ひとみが無事だったことを確認したいちかは声をかけた。
「ひとみちゃん!目を覚まして!」
ひとみは目を覚ますと周りを見回した。いちかは安心したのか嬉し泣きしながらひとみに抱きついた。
「ひとみちゃああああん!生きててよかったああああ!」
いきなりのことにひとみは困惑していたが、いちかの尋常ではない様子から心配されていたことに気づき、いちかに謝った。
「いきなり居なくなってごめんね、いちかちゃん」
ひとみはそう言ってから気づかれないようにいちかの身体を触った。
「やっぱりいちかちゃんの身体は柔らかいのね。」
それでも触られたことはいちかにバレてしまった。
「くすぐったいよ、ひとみちゃん」
濡れ女子を封印した黒羽は正気に戻ったはずのひとみの性格がおかしいことに気づいた。
「こいつ…これがデフォルトなのか?」
黒羽はひとみの性格に困惑していたが、自身が封印した濡れ女子のカードを見て一つ引っかかることを思い出した。
「おかしいな、今回と同様に連続で誘拐されて一部では死者もいるというのにこの濡れ女子は何かが違う…」
その様子を物陰から黒ずくめの格好をした克己がいちか達から見えない位置で見ていた。
「クソッ、結局濡れ女子では潰せなかったか」
克己は妖魔の力から解放されたひとみの様子を見てバツが悪そうにしながら拠点へ撤退した。黒羽は黒ずくめの男の影を見逃さなかった。
「ん?なんだあの影は?」
別の方向を見る黒羽を見ていちかは疑問に思い、こう聞いた。
「どうしたの黒羽?」
黒羽はいちかに余計な恐怖と心配をかけさせたくなくてこう返した。
「いや、何でもない」
いちかと黒羽は行方不明となっていたひとみを保護し、警察に引き渡した。そしてひとみは家族のもとへ帰った。
その頃、黒ずくめの男は数名ほどの人たちと一緒に人間を培養する機械の前に立っていた。そしてとあることを話していた。
「チーフ、京塚ひとみを利用した対象の排除に失敗しました」
チーフと呼ばれた男は黒ずくめの男を責めることなくこう言った。
「失敗したか…。まあいい、最初はそんなもんやろ。妖怪の力を封印した機械の研究はこれからだな」
そう言うチーフに対し、黒ずくめの男は予想外のことが起きたことを伝えた。
「対象の排除の途中、退魔師なる謎の人間に邪魔をされてしまいましてね」
黒ずくめの男の発言に今まで口を開かなかった男女二人がほぼ同時に発言した。
「退魔師!?」「退魔師…だと!?」
退魔師はゲームの中だけの話と思われていたが、現実に存在することを聞かされ驚いたのだった。しかし、チーフと呼ばれた男は研究対象を見つけたのか、喜びを隠しきれず大笑いした。
「ほう、退魔師か…。これから研究も必要になるな!ハーッハッハッハッハー!」
これから研究が始まるが、これがきっかけで世界の崩壊は加速したと言っても過言ではない。何故なら、元々既に妖魔によって人間の生活は脅かされていたからだった。退魔師が市民を守る為に妖魔と戦っているのだが、妨害する連中が現れたとなれば妖魔の退治だけでは済まなくなるからだ。黒羽をはじめとした退魔師の今後に期待したい。
プロローグから半年以上かけてようやく完成。長らくお待たせして申し訳ございませんでした。
本当に魂を込めて満足のいくものを書こうとした結果このような形になりました。
今後少しずつ明かされていくと思いますのでいちか達の応援をお願い致します。