坊主憎くて鬼と果てた者
俺には嫌いな奴がいる。そいつは俺の書いた小説を「こどもの落書き」と言った。それから俺はそいつのすることの全てが許せなくなっていく。
例えばブスに「可愛い」と嘘をついたり、不味いラーメン屋で「美味しかったです」と会計の時にお世辞を言ったりなどだ。あと楽しくもないのにいつもニコニコして歩いてやがる。挙げ句の果てにはヨロヨロ歩くジジババに恩着せがましく声をかけて自己満足していたり。そんな奴がどんどん醜く見えて俺はその反対をした。
ブスにはブスと言い現実をわからせてやろう。不味いラーメンを作る奴には腕をあげてもらうために厳しめの評価をしてやろう。楽しくないのなら笑顔なんて要らない。作り笑いは一切しなくなった。ノロノロ歩くジジババは足で蹴っ飛ばしてやれ。
気がつけば俺は近所から孤立して「鬼のような人」と呼ばれ、アイツの周りには人が沢山いた。そんな奴が俺はもっともっと嫌いになっていった。
最終的に人間そのものが嫌いになった俺がとった行動は……