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プロローグ



見渡す限り美しい新緑の木々が群生していた場所は、今は見るも無惨な状態であちこちから火の手が上がり、その代わり広がっていたのは、多数の動かぬ骸達。


その中にあって、自らの足で立っている者が二人。


「そろそろ諦めよ。これ以上やっても無駄だと、何故分からぬ」


「そっちこそ、俺が諦めるのを諦めろ」


この二人の人物こそ、前者があらゆる魔族の頂点に君臨している魔王・グスタフである。

後者が、異世界から召喚された後に色々な経験をし、世界最強の魔法師になった主人公・大園武尊である。


「この人間達は、お主を裏切ったのであろう?その様な奴らを命懸けで守る理由が我には分からぬぞ」

魔王の顔には心底理解不能だ、とでも言いたげな色が浮かんでいる。


それに対して武尊はこう反論した。


「俺が裏切られたのは国王や宰相達国の上層部にだ。この人達は国が俺を切り捨てた後も、俺を慕って付いて来てくれたんだ。決して裏切り者では無い」


武尊の声には後ろで横たわる仲間達への信頼、そして守れなかった悔しさが滲む。


「この者達、人間にしてはかなり手強かった。これもお主の鍛練の賜物か」

「ああ、俺の厳しい修業にも耐え抜き、アルメロ王国の最精鋭となった何処に出しても恥ずかしくない自慢の仲間だ。」

「そうか」


魔王のその一言で会話が途切れる。お互いにボロボロの体ながら、真っ直ぐに相手を見据える。

無言のにらみ合いが続くこと数十秒、先に言葉を発したのは武尊だった。


「お互い、魔力も体力も限界だ。そろそろ決着を付けようか、魔王」

「ああ、それがよかろう」


二人が同時に魔力を練り上げ、現時点で放てるそれぞれの最強の魔法を準備していく。

そして魔力が練り上がり、同時に魔法を発動した。


「「フレイム・エクスプロージョン!!」」

「「ダークネス・カタストロフ!!」」


二人が同時に放った炎属性・闇属性の超級魔法がぶつかり、凄まじい風が起こり周囲のあらゆる物を吹き飛ばすが、武尊の後ろにいる仲間には事前に結界を張った為無事である。


しばらくして煙が晴れると、最初は二人とも立っていたが、先に膝を付いたのはグスタフの方であった。

「ハァ,ハァ, ....やはりお主は強いな、武尊よ」


「お前もな、グスタフ」


今まで命のやり取りをしていたのに、急に気楽な雰囲気を醸し出す二人だが、実は以前お互いの正体が判明する前に出会っており、少しの間一緒に冒険をしていたのだ。


「我がこの世に生を受けてから数百年、最後にお主の様な強者と戦えて、我は満足だし悔いは何一つ無い。ただ心残りがあるとすれば、お主とは違う出会い方をして友達になってみたかった」


「グスタフ、、、お前、、」


グスタフのその言葉に武尊は複雑な表情を浮かべる。


と、その時、グスタフの体が光始め粒子となっていく。


「おっと話が過ぎた様だ、そろそろ我は行くとしよう。さらばだ武尊」


その言葉を最後にグスタフは粒子となり消えた。


それを見届けた武尊は地面に座り込み、一つ大きく息を吐いた。

「ふぅ、、長く辛い戦いもようやく終わったか」


そう呟く武尊の表情は、戦いが終わった安心感と、最後は敵同士だったが、お互い分かりあえたグスタフをこの手で討った事で複雑な表情とが入り交じったものだった。


そんな物思いに更ける武尊の後ろから、複数の足音が走って向かって来るのが聞こえてきた。


「マスター!!」

「武尊様!!」

「主!!」

「武尊!!」


声の主達は、武尊がこの世界に来てから契約した従魔達で、全員心配そうに武尊の状態を確認する。


龍王:サラ

精霊王:アマリ

天界王:ニア

獣王:カリオン


それぞれが各種族を纏める王達なのだか、その表情からは王の威厳は一切感じられない。


武尊はそんな従魔達の表情に苦笑しつつ、立ち上がって声をかける。


「あぁ、多少怪我はしてるが大丈夫だ。心配かけたな、皆」


その言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろす従魔達。

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