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モンスターの巻

「エルフさぁぁぁん!」


 再開を喜び、駆け寄ろうとする俺に、


「ふん!薄汚いオークめ。私をそこらの同族(エルフ)と一緒にするなよ。簡単に手篭めに出

来ると思ったら大間違いだ。貴様など一瞬で焼き尽くしてくれるわ」


 なんか物騒なことを言い始めたぞ。て言うか、やっぱ普通に言葉通じるじゃねえ

か!

 あの神様(やろう)、何が『世界に広げよう(わらって)○もだちの輪(いいとも)』だ!


 そしてエルフが呪文を唱え始めると、空中にサッカーボールほどの火球が浮かび

上がる。


「先ほどはスライム越しの上に、人だと思って手加減したからな。だが今回は貴様

の再生能力でも追いつかんほどのものを食らわせてやろう」


 いや、この人本気だよ。知り合いに対して何してくれてんの!?


 と思ったが、冷静に考えれば今の自分はオークだ。確かにエルフにしてみれば気

付くわけもないし、下手すりゃ『くっ殺』されかねない相手なんだから全力で来る

よな。


 とりあえず、あの火球がブッ放される前に、なんとか誤解を解かねばならない。


「待ってください!俺、俺です!ほら、以前にここで助けてもらった……」

「何だ貴様は?ずいぶんと流暢に人の言葉を話すのだな。どこで知恵をつけたか知

らんが、油断させようとしても無駄だ。おおかた今までも、そうやって油断させて

女を襲ってきたのだろう。だが私には通用せん!」

「ち、違うんです。ほら、異世界から来た俺ですって!前に助けてもらったじゃな

いですか!」

「何!?」


 ふぅ。どうやらわかってくれたようだ。ホッと胸をなでおろしかけたが、 


「ふっ……。なるほどな。アレを見ていたわけか。なかなか利口な奴だが、所詮は

オークの浅知恵だな。あれは人間だったぞ。お前とは根本的に違う」


 ダメだった……。


 これ以上は無駄な会話だと言わんばかりに、エルフの生み出した火球は輝きを増

していく。

 マズい。早く何とかせねば、俺の未来はチャーシューまっしぐらだ。

『上手に焼けました~!』的な何かになってしまう。


 しかし、自宅で飲んだくれていた前回と違って、今回は風○店へ向かっていた俺

は軍資金も身なりもフル装備だ。


「待ってください。これ、これを見てください!」


 俺はパツンパツンになったズボンのポケットから財布を取り出し、手当たり次第

にお札や硬貨を地面に並べた。

 ついでと思い、これまたベルトが千切れそうに引っ張られている腕時計も外して

並べる。

 スマホは……、この世界では役に立ちそうにないし、とりあえずはいいか。


「むっ!それは……!?」


 さすがにエルフは視力がいいようだ。10m以上は離れているだろうに、俺の出

したものが、この世界ではただならぬものであることに気付いたらしい。


「……。その場から少し下がれ」

「わかりました」


 俺がその場から後退するのに合わせ、エルフは近付いてくる。そしてお札や硬貨

を念入りに調べる。


「この彫金技術に絵画技法……なんと!この絵画は日にかざすと、普段は見えぬ人

の顔が写し出されるではないか。それになんだコレは?日時計のようなものが小さ

な円の器に収められ、自動で動いている。魔力がこめられているのか?貴様、まさ

か本当に……?」

「だから言ってるじゃないですか。ほら、前回は助けてもらったお礼にネックレス

をあげたでしょ?」

「いや、しかし貴様はオークだぞ。あいつは確かに豚のようななりはしていたが、

確かに人間だった……」


 さらっと酷いことを言われたが、まあ今は聞き流しておこう。


 俺は必死でBBQにされる前にと、エルフと別れてからここに転生するまでの事

を説明をした。




「信じられん……。だが、あの時の出来事と辻褄は合っている。何よりこの工芸品

や絵画の技術は、明らかにこちらの世界のものではない……」


しばらく後、俺の必死の説明により、何とか理解はしてもらえたようだ。


 とはいえ、俺の帝国を築く夢への実現に、これから先どうして行けばいいのかが

さっぱりわからない。

 ましてやイレギュラーではあるようだが、水棲スライムにも負けるオークの実力

は、どの程度のものなのか。


 とりあえずはいくつかの硬貨と紙幣を渡し、さりげなく情報を聞き出すことにし

た。


 どうやらこの世界のオークは、


『腕力が強い』ただし、トロールやオーガのような、さらに巨大な人型モンスター

には敵わない。よって、森で拾う棍棒や、人間から奪った武器、防具などで武装し

て戦闘力を上げることが多い。


『知能は低い』せいぜい人間の6歳児程度の知能であり、俺のように流暢に話が出

来るものは、まずいない。そのせいで、飛び道具や複雑な仕組みを持つ武器などは

使用できない。


『回復力が早い』少しの怪我程度なら、人間の数十倍の速さで回復する。

そういえば、さっきの火傷も皮膚が溶けてるのも、いつの間にか回復してるぞ。


 ん?ということは、知能の問題を解決すれば、結構強いんじゃね?


「確かに、私たちでも、オークと戦う時は基本的に遠距離から魔法で仕留めるから

な。魔法が未熟な者などは、接近されて終わりだ。もしお前のような知恵を持つも

のが人間のような技術を持ち、完璧に魔法の対策をしたり、トロールなどにも遠距

離から攻撃できる武器を持てば、かなりやっかいな相手にはなるだろう」


 ふむ、これはいいことを聞いたぞ。それに固有のモンスターの特徴を知っておけ

ば、さっきのようにスライムに負けることもないだろう。

 ちょっとRPGみたいで面白いかも。


「それにもう一つ。これが私たち女からすれば、一番やっかいなものだがな」


『無限の性欲』無限と言うのは大げさだが、それが誇張でないと思わせるほどの精

力と繁殖力を持つ。人間種は当然として、時には獣種も襲い孕ませることもある。

 当然、人間達からは忌み嫌われ、見かければ討伐隊が組まれる。


 ああ、その辺は俺も今ひしひしと感じている。なぜなら、お礼に何を貰おうかと

物色をしているエルフの胸元や、スリットから覗く太ももやプリプリ動く尻に、俺

の暴れん棒は天を向き爆発寸前だからである。


 これは、行くべきなんじゃね?


 オークとして転生した以上、俺にはもうハーレムの道は残されていない。ていう

か、まっとうに生きてたら人間の女の子とHなんかできるわけが無い。

 それに、先ほど誓ったではないか。俺の巨大戦艦の前に、女どもをひれ伏せさせ

ると。


 手始めに、このエルフだ。さすがに罪悪感を感じるが、意を決した俺はエルフの

背後にそっと回りこむ。


「ごめんなさいー!」


 背後からエルフの腰を両腕で抱きかかえる。


「なっ!貴様、何を……」


 接近戦でこの体格差だ。エルフはジタバタとするだけで何も出来ない。


「フンッ!」


 俺はエルフを地面から思いっきりぶっこ抜き、ジャーマンスープレックスを決め

る。


「「ぐげっ!!」」


 地面にぶつかる鈍い音と共に、上がったのは二人分の悲鳴。


 当然だ。見よう見まねで、素人が綺麗にブリッジを決められるわけが無い。


 エルフと共にしたたかに後頭部を打った俺は、後頭部を押さえながら、クラクラ

する頭でエルフを見る。

 柔らかい草むらの上に落ちたとはいえ、どうやらジャーマンスープレックスが効

いて気絶しているようだ。


 とはいえ、こちらも後頭部の激痛にそれどころではない。


 しかし、程なくすると痛みが消えていく。なるほど、これが回復力の強さか。


 痛みの回復に伴い、俺の暴れん棒も回復していく。


「お、俺はやれる。やるしかない!」


 罪悪感と緊張感から葛藤する自分を奮い立たせ、エルフの服を剥ぎ取りにかかっ

たときだった。


「うおぉぉぉぉぉ!?」


 エルフの服の上に何やら見つけた俺は、慌てて後ずさる。


 なんと、服の上に体長30cmはあろうかという、元の世界からすれば、巨大な

ムカデが這っていたのだ。

 

 「ちょ、何だよ。勘弁してくれよ」


 棒切れを探し、何とか払いのけようとするがなかなかうまく行かない、それどこ

ろか、こちらに向けて威嚇行動らしいものをしてくる。

 もちろん、今の俺にとっては取るに足らない虫けらだし、噛まれたところですぐ

に回復するだろう。


 しかしながら、現代日本で培われた生理的嫌悪感は、簡単に拭い去れるものでは

ない。

 それに、よくよく見れば周りの草むらにも、多種多様な虫どもがいる


 え?こんな虫だらけのとこで青○すんの!?


 ヤリたいが、虫だらけの環境は嫌だ。俺が葛藤していると、


「……う……、うぅ」


 ヤバい。エルフが気がついた!


「き、貴様……よくも……!」


 怒りに燃えた目で俺を見つめると、何やら聞いたことの無い言葉でつぶやき始め

た。

 そして、その言葉に合わせて周りの空間がゆがんでいく。


「なっ!」


 そしてその空間から、全身が炎に包まれた何かがゆっくりと姿を現し始めた。


 これ、もしかして召還魔法とかじゃね!?つか、こいつ普通にファイヤーボール

してくるけど、エルフって火とか嫌う種族じゃなかったっけ?

 まあ、このエルフが特別なだけかもしれないが。

 

 そういえば、こいつ結構金にもうるさかったな……。


 いや、今はのんきにそんなことを考えている場合じゃない!


「そ、そのお金は助けてもらったお礼です!じゃ、じゃあ俺は用があるのでこのへ

んで失礼します!」


 俺は召還された何かが全身を現す直前に、取る物も取りあえず、脱兎のごとく逃

げ出したのだった。

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