天の巻
「いやー、やっぱオーク×姫騎士とか、触手×女戦士は最高だね!やっぱ醤油にワ
サビというか、ウナギに山椒というか、ポテチにコーラみたいなもんだよな。相性
バツグンって感じだよ」
あの日から、1ヶ月ほど経とうとしていた。
一度死んで異世界へ飛ばされたものの、あまりの無能っぷりに異世界を追い出さ
れ、現実世界に生き返った俺は、一人楽しくエッチ画像の鑑賞会をしていた。
ちなみに晩飯は、仕事帰りに弊店間際のスーパーで購入した、タイムセールで
100円引きになったトンカツ弁当&から揚げ弁当の一気食いである。
現実世界に戻って来てからの俺の生活は、いや、ホントあの賢者モードはいった
いなんだったんだろう?ってくらいの堕落っぷりである。
だってしょうがないじゃん。興奮するモンは興奮するんだし、豚さんのお肉はお
いしいんだから。『くっ殺』をあみだした奴は、ホント天才だよ。
あれほど親切にしてくれた、ハーフオークの『オークランドさん』こと『オッさ
ん』や、ハーフゴブリンの『ゴブガリさん』こと『ゴブりん』さんには悪いと思う
が、やっぱ生き物にはそれぞれ役割があるんだよ。
うん、やっぱ人は見た目が9割なんだよ。俺みたいな社畜にも会社での役割があ
るように、モンスターはモンスターとしての役割があるんだよ。
例えるなら、エッチビデオの汁○優みたいな。
「お、もう空か。やれやれ、2階にも冷蔵庫を置くべきかね」
何本目かの食後の缶ビールを飲み干し、ご機嫌な俺は、次の1本を取りに階段を
下りる。
まあ、展開から行けば、ここでまたしても足を踏み外し……、とういうところだ
ろうが、さすがに俺も学習する。
二度も階段から落ちて死ぬわけにはいかない。
ふらつく足取りではあるが、何事もなくビール片手に自室に戻る。
「あ~、明日はどうすっかなぁ」
明日は休みだが、さすがに家の中で、延々とエッチ画像を眺めているわけにもい
かない。
ちょっくら遊び場でも検索するかとネットを眺めているうちに、とある広告に目
が留まる。
『新人多数在籍!!紳士の社交場。あなたを夢の世界へ』
みたいなヤツだ。大きなお友だちなら当然わかると思うが、いわゆる風○店の広
告である。
「うん、久々に3次ですっきりするのも悪くないな。とすると……」
そして俺はウキウキ気分で、明日向かう店を決めようと検索を始めた。
「いらっしゃいませ。ご指名でしたか?」
「あ、いえ。違います」
「それでは入場料を……。では、こちらのカタログから女の子をお選びください」
俺より少しばかり年下だろか。黒服の丁寧な接客で店内に案内された俺は、借り
てきた猫のようにおとなしく、ソファに腰を沈める……。
ネットで店を決めた翌日、俺は1時間分ばかり電車に揺られて、県内有数の繁華
街に来ていた。
ちょっと遠くて手間だが、女の子のレベルを考えれば仕方がない。
家からさほど遠くない田舎の風○店では、どんなモンスターに遭遇するか知れた
ものではないからだ。
ちなみに、一番の悲劇は、20歳の頃に近くの店に行ったとき、どうみても40
代のババアが出てきたことだ。
しかも、あの時は運が悪かったのだと気を取り直し、半年後に再び同じ店に行っ
たときも、まったく同じババアが出てきた……。
いや、頑張って出すものは出したんだけどね。
それ以来、その事件!?がトラウマとなった俺は、風○に行くときは少しばかり
苦労しても、繁華街まで出向くことにしている。
それはさておき、カタログを見る限りでは、なかなかのレベルの娘たちが揃って
いる。
もちろん写真と実物の違いはあるだろうが、そんなに酷いことにはならないだろ
う。
少しばかり冒険をして、普段の自分とは絶対に接点の無さそうな、金髪ロングの
ちょい悪系の女の子を指名する。いや、めっちゃ楽しみだよ。
ほどなく女の子が現れ、個室に通される。
うん、写真とそんなに違わないし、いいじゃない!
まあ、相手はこんなブサイクなおっさんの相手は慣れているのだろう。当たり障
りの無い会話をしながら、淡々と準備を進めていく。
「じゃあ、服脱いでくださ~い」
「あ、はい。わかりました」
見た目の割りに、柔らかい喋り方だ。なかなか好感度が高いぞ。これはプレイも
期待が持てるかも。
俺は言われるがまま、いそいそと服を脱ぎ全裸となる。
すでに期待で暴れん棒は元気になっているため、少々恥ずかしいのだが、この場
は女の子も、そんなことは気にもしていないだろう。
「じゃあ、用意できたから、シャワールームへどうぞ~」
「は、は~い」
腰掛けていたベッドから立ち上がり、ウキウキ気分でシャワールームへ向かおう
としたときだった。
「なっ、何だ!?」
突如としてけたたましい音と共に、ベルの音が鳴り響く。これってあれだ、火災
警報とかのベルじゃねえのか?
女の子も何事かとシャワールームから飛び出してくる。
とにかく、様子を見ようとドアを開けようとしたとき……。
「家事だぁぁぁぁぁぁっー!!」
ベルの音に混じり、叫び声が聞こえる。
ヤバい!!
女の子と顔を見合わせた俺は、取るものもとりあえず、慌ててドアを開けて部屋
から出ようとする。
「うわっ!!」
しかし、ドアを開けた瞬間に入り込んできたのは、熱風と大量の煙だった。
「う、ウソ、なにコレ……。ねぇ、どうしよう、ねぇ、どうしたらいいの?」
女の子は、すでに涙目でパニックになっている。
慌ててドアを閉めるが、とても脱出できる状況ではない。
そうこうしているうちに、隙間からも大量の煙が流れ込んでくる。
すでに室内は煙に満たされ、呼吸すらできない。
薄れゆく意識の中で、俺はこんなことを思っていた。
ああ、せっかく生き返ったのに、風○店で丸出しのまんま焼け死ぬなんて、明日
のトップニュース間違い無しだろうなぁ。
こんな死に方じゃ、きっと会社の皆も悲しむどころか、大笑いだろう。
せめて服を着た状態で死にたかったよ……。
そして俺の意識は、人生何度目かのブラックアウトをしていった。