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婚約破棄しましたが、前世の記憶を思い出したのは男の方だった!  作者: 夢之埼ベル
美少女の男になりて暁に死す
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プロローグ①(ヒロイン側):エディプス・コンプレックス

 ソフィアは齢14となる少女である。


 容姿は端麗。父エディプス・コンプレックスのイケメンの顔立ちと、母ソフィーの美肌を掛け合わせた少女はすなわち最強――、年齢に合った身長と慎ましやかな胸も人によっては最強属性といって憚らないであろう。


 父母からは美しいその身体以外にも強大な魔力をも受け継いでいる。

 父エディプスは長年色欲を司る魔王であり、母ソフィーは紫式の魔女、魔砲の討ち手など様々な称号を持つ英傑だ。

 それよりさらに強い力をソフィアは有している。

 2人すら凌駕するのだ。

 つまり、ソフィアは彼らより強い。

 その力はおよそ79兆ほどもある。


 それは最強といえる。

 三国志でいうなれば呂布の役割を果たすに違いないほどの最強である。


 そんな最強は、2人に溺愛されたソフィアは蝶よ花よと育てられており、2人があまり学問に熱心でなかったことに伴って、教育育成方針としてその――筋脳方向に極端に触れられていた。

 そしてソフィアはドラゴンなども余裕で(ほふ)れるほどの才覚を持ち、自重を知らない親は次々に無理難題を貸すのに拍車をかけていった。


 そんなソフィアの住む家は魔界の一角である樹海の中だ。


 人の住む世界の隣にある魔界は瘴気にあふれ魔人にとっては住みやすい環境となっている。

 大きく世界は人の住む西側の世界と、魔界が存在する東側の世界とに分かれているのだ。


 そんな魔界の森林に覆われた場所の丘に突如として現れる洋館がソフィア家族の屋敷である。


 食糧調達も魔術で生成できる彼らは近所付き合いというものは存在しない。

 ただそこに君臨するのみである。

 その点はモンスターを手足のように使う他の魔王との違いともいえる。


 わずかな交流といえば、樹海でエディプスと同格である暴食を司る魔王ベルがたまに来て母ソフィーとお茶会を開く時や、部下であるダークエルフたちが統治の状況を報告に来るくらいだろうか。

 ましてソフィアは同年代の少年少女とは接触すらしていない。

 ソフィアが人と接するのは今までは大人だけだ。


 そんな状況だからだろうか。

 ソフィアは猛烈なお父さん娘となっていた。


「お父さん! 僕はぁお母さんを殺してお父さんのお嫁さんになりたいのぉ」


 そんなソフィーがお父さんのお嫁さんになりたい発言をするのはある種当然のことだろう。フロイトが証明している。


 父エディプスも当然自分の娘は可愛い。

 お父さんのお嫁さん発言は嬉しい。

 だが、お母さんを殺してまでお父さんのお嫁さん発言には正直なところ想定している発言ではなかった。

 可愛いのだが、ドン引きだった。

 とても魔人らしいとは思うのだが、やはりドン引きだった。


 将来はお父さんのお嫁さんになるのぉ、くらいならばまだ許せた。いや許す。

 だが、お母さんを殺してどうするのだ。

 さすがに魔界の流儀に染まりすぎではないだろうか。

 もっと人との交流を図るべきだろうとエディプスは思う。


「うーん。でもお父さんはお母さんの方が好きなのでね。そんなこと言ってないでソフィアは男でも連れて来たらどうだい」


 エディプスの何気ない一言であったが、ソフィアは自分が一番だと思っていたためにショックを受けた。

 ソフィーは電流の魔法を受けたかのように身体を硬直させ、顔を青ざめさせる。


「そっかー。お父さんはお母さんが好きなのね――」


 そんな娘の表情にエディプスは何かフォローしなければと焦った。

 ソフィアを引き寄せ、ソフィアの頭をなでなでして甘やかす。


「でもソフィーのこともお父さん大好きだからねぇ――」

「私もお父さんのこと、好きぃ――」


 ソフィアは父を抱きしめる。

 大好きな父の前であるから満面の笑顔を見せる。

 ――が、自分が一番でないことは心に杭となって残った。

 やはりお母さんは殺すべきだろうか?


 それに――



 父のご下命とあらば如何にても果たすべきだろう。

 ソフィアの思考は素直で魔人的で、そして筋脳だった。


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