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魔法の森の王女さま! ~魔女っ子お姫様と五人の悪役令嬢達~  作者: A.Bell
第1.5章 街外れの孤児院の聖女様
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第59話 聖女様と前世 Ver.1.00

小休止。

少しの間、視点が変わります。

#1

 !?

 目を覚ますと周りは薄暗い。目を凝らせばそう大きくない部屋で“小さな”子供達が寄り添って寝ている。

 なにこれ? 意味が分からない。

 …………いや。“知っている”。

 私の隣で寝ていた子供が目を開ける。


「……ステラ?」


 ……“ミーシャ”。


「ミーシャ。ごめん。目が覚めちゃった?」

「うんうん。」


 “ミーシャ”はすぐに目を瞑って寝息を立てる。

 ……はぁ。

 ……目を閉じて、一体何が起きたか考えてみる。

 私は日本で大学生をしている。……いや、してい“た”か?

 最後の記憶は……分からない。

 …………はぁ。

 私は死んだの?

 いや。“私”は生きている。

 “ステラ”は生きている。

 昨日、ミーシャと一緒に森の中に入ってシスターの先生に怒られた事も覚えている。

 昨日の晩御飯がいつもと違って、お肉が沢山入っていてみんなで騒いだ事も覚えている。

 ……たぶん、私の前世なんだろうな。この記憶。

 断片的だし、“私”が前世の私になってしまった感じもしない。

 すこしだけ、“大人”に近い考え方をする様になったけど。

 ……ただ、問題が幾つかある。

 まず、私達の年齢だと男の子も女の子も一緒くたにされるのでお風呂も寝る場所も全部一緒。

 ……すこし恥ずかしい。

 後、ミーシャと明日からどう接するべきか。

 いつも一緒に居たから流石に変化に気付きそう。

 ……ただ、一番困った事は。


「……地球じゃないよね。ここ。」


窓の外に目を向けると銀色の大きな月の前に金色の小さな月が重なり合っていた。


#2

 ゴーン。ゴーン。ゴーン。


 孤児院がある教会の鐘が鳴り響き、目が覚める。

 地球外転生をしてしまったらしい私は色々と考えたかったのだけど、凄まじい眠気に襲われてあの後すぐに寝てしまった。

 ……大学生の頃は平気で徹夜出来ていたのに。

 ただ、あの頃とは違い体全体に力が漲り、寝起きの爽快感も尋常じゃない。

 ……子供が意味なく走り回る理由が分かるよ。

 と言うより、昨日は私も走り回っていた。

 そして、ミーシャと一緒にミミズみたいな虫を土の中から引っ張り出して遊んでいた。

 ……あれはミミズさんが可哀想だった。今日は他の遊びにしよう。

 ただ、不思議と虫に対する嫌悪感が沸かない。……今なら、例の黒い虫も手掴み出来るかも知れない。やらないけど。

 さて、体を起こしてそんな事を考えていると隣の毛布が身じろぐ。


「……ステラ。おはよう。」

「うん。ミーシャ。おはよう。」


 私はミーシャに挨拶を返すとそのまま立ち上がる。


「? どうしたの?」

「……先生に挨拶しようと思って。」

「……ちょっと待って。私も行く。」


 ミーシャはそう言うと寝ぼけまなこを擦りながら毛布を跳ね除けると立ち上がる。

 ……まぁ。いいか。

 本当は一人になりたくて吐いた嘘だけど。こういうのも良いかも知れない。

 他の子供達が体を起こし始めているのを横目にミーシャを連れて部屋を出る。


 ……部屋を出て暫く外廊下を歩いているとシスターのお姉さんとすれ違う。


「……あら? ステラにミーシャ、どうしたの?」

「先生に挨拶しに行くの!!」


 私が何かを言う前にミーシャが答えてしまう。

 シスターのお姉さんは訳知り顔で頷くと廊下の先を指さす。


「……なるほどね。司祭様は礼拝堂にいらっしゃるわ。行ってきなさい。」

「はい。シスター。」

「ありがとう! シスター!」


 私は静かに礼を言ったのだけど、ミーシャはぴょんぴょんと跳ねながら手を振る。

 ……はぁ。

 小さく手を振り返してるシスターを後に、ミーシャを引きずっていく。


「……なんか、ステラ変わったね?」

「何が?」

「いつもは、ステラが変な事をするの。」


 声を掛けてきたミーシャから目を逸らす。

 ……いや。確かにそうだけど。いつもじゃ無いでしょ?

 そんな事を思ったのだけど。はっきり言って、私が変な事をするのを止めるのがミーシャだった。

 さっきなら、シスターに何かいたずらをしたかも知れない。

 ……もう、絶対にする気はないけど。

 そんなことを考えながら礼拝堂の前まで来るとゆっくりと扉を開ける。

 中ではシスターの先生、司祭様が長椅子がずらっと並んだ先のステンドグラスの下で祈りを捧げている。



「とりあえず、座る?」

「うん。」


 私はミーシャを連れて扉に一番近い長椅子に腰かける。

 ……本当に、地球にあった教会に似てると思う。実際に言った事はないけど。

 ちなみに、ステンドグラスには女神様が女性に杖を授ける姿が描かれている。

 この世界での創造神で、他に居る12柱の神々とのちに追放された魔王と協力してこの世界を創ったらしい。

 ……あまり、信じてないけどね。

 別に日本の記憶があるからとかじゃない。もともと。

 私は両親を助けてくれなかった神様を信じていない。

 先生は毎週、この礼拝堂で私達にお話をしてくれるのだけど、真面目に聞いた事はなかった。

 ……流石に女神様と12柱の神々、そして世界の敵の魔王は覚えているけど。

 ただ、何となく引っかかる所がある。何だろう?

 首を捻っていると、ミーシャが私の腕を突いてくる。


「どうしたの?」

「……あのステンドグラスが気になって。」


そう言いながら指さすとミーシャは深く頷く。


「ステラって、いつも真面目に聞いてなかったもんね。」

「……だって。」


 私がつい、少し頬を膨らますとミーシャはクスクスと笑い出す。


「……ふぅ。いいよ。私が教えてあげる。……

『それは今から遠い昔、人々が神様たちの偉業を忘れ去ってしまった頃。

 ある場所に一人の少女がおりました。

 その少女は神様たちに愛され星の運行を読み取ることが出来ます。

 さて、女神様も少女の事を愛していたので一度会ってみる事にしました。

 少女が湖で水浴びをしてる中、女神様は現れました。


「……女神様!」


 驚いた少女は一糸まとわぬ姿であった事を構わずにその場に伏せ、女神様の姿を目に入れないようにします。

 女神様は少女に静かに問いかけます。


「顔を上げなさい。」

「なりません。」


 女神様は厳かな声を掛けます。


「顔を上げなさい。」

「なりません。」


 すると、女神様は柔らかい声で少女の顔に触れました。


「私の娘よ。私は愛しきお前の顔を見たいのです。顔を上げなさい。」

「……なりません。」


 少女は上げそうになった顔を止めます。

 女神様は全てを見ているはずです。

 しばらく少女がじっとしていると突然、肩に何かが触れます。


「お前にはこれを授けましょう。」


 ふと、女神様が居なくなった事に気付いた少女は顔を上げます。

 すると、そこには……。』

あっ!」


 ミーシャの語りが突然止まってしまう。

 目線を辿ってみると先生が私達の方に歩いてきている。


『……すると、そこには女神様の杖が宙に浮いています。

 女神様の神託を受け取った少女は皆にこの事を伝える事にしたのです。


 女神様の神託を受け取った湖は聖域と呼ばれ、今なお大切に守られています。』

……“始まりの聖女”のお話しですね。ミーシャ。ステラ。」


 シスターの先生は言葉を止めると私達に目を向ける。


「はい! おはようございます。シスターの先生! ステラが聞かせて欲しいって。」


 ミーシャそんな事を言うものだから、先生は目を丸くしてしまう。


「……なんと、ステラが神々のお話に興味を持ったのですね。良い事です。さて、二人はどうしてここに来たのですか?」

「先生に挨拶に来ました。おはようございます。司祭様。」


 私は立ち上がると軽く頭を下げる。

 いつも、適当だったのでちゃんとしないと。

 でも、司祭様と言われると先生は少し悲しそうな顔をする。

 ?

 不思議に思っていると隣から声が聞こえてくる。


「……ステラ。やっぱりおかしいよ。先生の事、“クソ婆”とか言ってたのに。」


 先生が別の意味で目を丸くして、私を見てきたので首を激しく横に振る。


「! 言ってないよ! そんな事! 先生も本当に言ってないよ!」


 ……本当だから。“そこまで”酷い事は言ってない。ババア、やクソとか言った記憶はあるけど合わせて言った事はない……はず。

 激しく、首を振る私を見てクスクスと笑い出した先生は私達に声を掛ける。


「……私にはどちらが正しいか判断が付きません。神様方に聞いてみる事にしましょう。ステラ、ミーシャ。付いてきなさい。」


 先生はそう言うと私達をさっきお祈りしていた場所に連れてくる。


「……さぁ。神様方にお祈りをいたしましょう。」


 先生はそう言うと跪いて目を閉じる。

 私はミーシャと目を合わせると先生の後ろに跪くと手を握って目を閉じる。

 ……結局、ミーシャの話を聞いてももやもやは晴れなかった。

 何だったんだ?


 お祈りをしている間に自分がクソガキだったと自覚した私はこの事を後回しにする事にする。

 そして、お祈りが終わると先生にお礼を言ってミーシャを連れ、外に飛び出した。

5月中は週刊が基本になると思います。

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