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第1話 プロローグ〜王様と森の魔女〜

 昔々、ある所に若く勇気に溢れた王様が住んでいました。

 王様は見目も良く。多くの貴族の娘や他の国の姫君が王様の気を引こうと着飾って舞踏会に集まります。

 しかし、王様は下心を持つ人ばかりと接してきたので素直に人を信じられません。

 それに、王様には弟がおりましたので弟の子供に王位を継がせれば良いと思っていました。


 さて、そんなある日。王様の弟が、お城の近くの森で大きな狼の魔物を見かけました。


「王様。城の近くの森で狼の魔物に襲われました。私は無事でしたが、私と一緒に居た者の何人かが怪我をしました。」

「弟よ。それは本当か。」


 王様はその狼の魔物を退治しようと騎士達を率いて森に入りました。


 森の中では魔物達との戦いで多くの騎士が命を落とし王様も片腕を失ってしまいます。

 そして、狼の魔物も片目を失い後脚の片方も力がはいりません。

 王様と狼の魔物が睨み合う中、突然声が割り込みます。


「お前達。何をやっている。」


 王様は声が聞こえた方を見ると黒いローブを着たとても美しい銀色の髪をした女の人がおりました。

 女の人は王様に目を向けます。

 しかし、すぐに目を離すと狼の魔物に近付きます。

 そして、女の人はローブより魔法の杖を取り出すと狼の魔物の頭を杖で押さえつけます。


「お前は何故、私を呼び出さなかった。お前のせいで多くの命がこの地で散った。何故だ。」


 女の人はひどく冷たい声で狼の魔物に問います。


「……我が主人よ。貴女様の手を煩わすことは無いと思ったのです。」

「お前は愚か者だ。」


 女の人はそう言うと狼の魔物を杖で打ちました。狼の魔物は鳴き声をあげると動かなくなりました。

 女の人は動かなくなった狼の魔物から顔を上げ王様の方を向きます。


「愚かな王よ。なぜ私の森を侵した。」


 王様は女の人に問われ素直に答えます。


「そこの狼の魔物が私の弟を襲ったからだ。」


 女の人は王様の答えを聞くと冷笑を浮かべました。


「……お前もこの狼の魔物と同じだな。」


 女の人は手に持っていた杖を持ち上げ宙でそれを振ります。


 気付けば、王様は森に入る前に時間が巻き戻っています。

 立ち尽くしている王様を周りの騎士達は不思議そうな目で見ます。


「王様。如何なさいましたか。」

「……狼の魔物の討伐は取りやめにする。」


 王様は踵を返し城へ帰ります。

 騎士達は王様の様子を少しおかしく感じましたが素直に従いました。


 これが王様と森の魔女の初めての出会いでした。


「……アルフェ。今日はここまで。」

「……お母さん。」

「何?」

「この魔女さんと王様ってちゃんと仲良くなるの?」

「ええそうよ。続きはまた明日。」

「うーん、気になる。」

「ダメよ。もう灯りは消します。」

「あっ。お母さんの意地悪。」

「明日も朝は早いのよ。早く寝なさい。」

「……うーん、おやすみなさい。お母さん。」

「おやすみ。アルフェ。」


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