第6話 空に現れたセスナ機
風の吹く草原で穴に飛び込んだ七海がキツネと話している頃、ルビーにも不思議な事が起きていました。(ルビーはどこかしら?)
ルビーのいるところへ一緒にいきましょう。
空き地を走っていたルビーは七海がいないことに気がついて、空き地を見回しました。その時です。ゴーっという音と共に強い風がルビーを包み込みました。驚いて空き地の木の根元にしゃがんで吹き飛ばされないようにするルビー。風とごう音がなくなった時、顔をあげると1台のセスナ機が止まっていました。すると、セスナ機のドアが開き、背の高いおじさんがセスナ機から降りてきました。
ルビーの方へ歩いてきます。ルビーはこわくなって木のかげに隠れました。おじさんは「ルビーどこへ行っていたんだい?ずいぶん探したんだよ」と言いました。ルビーにとっては初めて見る人です。そして「お願いだから僕の話しを聞いておくれ、隠れていてもいいからね。すっかり忘れてしまったらしいが、君は僕と暮らしていたんだよ」ルビーは初めて会う人が自分の名前を知っていたので、このおじさんの言っていることは本当かもしれないと思いました。そして、木のかげから少し顔を出しました。
「僕と一緒に帰ろう」とおじさんは言いました。ルビーの頭に七海の温かな手と笑い顔が浮かんできました。「一緒に帰ろうってどこへ?七海といたいんだ!」とルビーは大声で叫びました。(何ていうことでしょう。ルビーが人間の言葉で話しましたよ)
おじさんはため息をもらすと「ルビー私と会って以前の力を取り戻したようだね。君は今人間の言葉を話しているよ」その言葉にルビーは驚きました。そして今度は悲しそうに「おじさんとは本当に一緒にいたのかもしれない。でも思い出せないし、七海をひとりにできない」と言いました。
いいんだいいんだと言うようにおじさんがうなずきながら「ルビーは七海という人がどうやら好きになったらしいね。今は一人で帰るよ。でも七海さん以外の人の前では人間の言葉で話してはいけないよ」と言うと、おじさんはセスナ機に乗りこみ空へ飛び立っていきました。ルビーはセスナ機が空のかなたに小さくなっていくのを見ていました。
さて、七海とルビーはこれからどうなっていくのでしょうか?少し太陽が傾き、外は薄暗くなってきました。太陽が沈む前にお話しを続けないといけません。そろそろ私も七海の元気な声が聞きたくなってきました。皆さんもそうでしょう?