第48話 キツネの王子とルビーの闘い
キツネの王子のネックレスが紫色の輝きを放ったのを見て「やめて!キツネさん」と七海が叫びました。紫色の光が七海に向って一直線に突き刺しました。七海は衝撃をうけてバッタリと倒れてしまいました。
「よくも僕に命令したな」と言うキツネの王子の顔は恐ろしい表情に変貌していました。ルビーとショージ博士とバード教授は、倒れて動かない七海に駆け寄りました。「七海さんはだいじょうぶだ。脈もしっかりしている。とにかく横にならせよう」とバード教授が七海を抱えあげました。
時計台の番人のネズミが「布を集めて早くベットを作るんだ」とネズミたちに言いました。時計台のネズミたちは大騒ぎで布を集めてベットを作りました。時計台の番人のネズミの脳裏に20年前にずぶ濡れで時計台に逃げて来た女性の赤ん坊のベットを大騒ぎで作っていた様子がはっきりと浮かびました。あの時の赤ん坊は今ベットに横になっている七海さんかもしれない、いや確かにそうだと確信のようなものを感じていました。
「七海に何をするんだ!許せない」とルビーがキツネの王子に叫びました。するとルビーのネックレスが七色の光を放ちました。キツネの王子の紫色の光とルビーの七色の光がぶつかり合います。どちらも全く互角でせめぎ合っています。
「二人ともやめて。闘いは良くないわ」と七海はもうろうとする頭を持ち上げて言いました。その瞬間ルビーの光が弱くなりました。
それを見ていたキツネの王様は「ヤンベルトやめるんだ!たとえお前が火星の王様の子供だとしても、私達の息子だ」と言うと今度はキツネの王子の光が弱くなりました。しかし「何だよ、面倒だな。どちらも親なんかじゃない!」とキツネの王子が叫ぶと紫色の光はまた力を取り戻しました。
放たれた光はルビーの七色の光を呑み込みながらルビーに刺さりました。ルビーは七海の横に倒れ込みました。七海は横に倒れたルビーに手を伸ばし「ごめんなさいルビー。私のせいだわ。大好きなルビー愛してるわ」七海の涙が頬を伝いルビーのティアラに落ちました。
すると何ということでしょう。ルビーのティアラからキラキラ輝く無数の雪の結晶が軽やかな鈴の音と共に舞い上がりました。七海は降ってくる雪の結晶を見ながら「ルビー、とてもきれいよ。目を覚まして一緒に見よう、いつだって一緒に見たいのだから」あふれる涙を拭うこともせずにルビーの小さな手を触りました。
雪の結晶はあっという間に降り積もり、辺り一面まっ白になりました。その時、キツネの王子が「なんだって王冠が頭に食い込んでくるんだ!頭が締め付けられて死にそうだ」と雪の結晶が積もった床の上をもんどりうって転がりました。
いったいキツネの王子に何が起こったのでしょうか?そしてルビーは目覚めるのでしょうか?




