表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/52

第44話 暗い森の中にいたネズミ

地下室の広い道はどこへつながっているのでしょうか。

ふわふわの星の生き物でも太刀打ちできない事とはいったい何でしょうか?


地下室の道から「やれやれ、いったい何だっていうんだ。森の中にいたはずなのにここはどこだ」と一匹のネズミが広い道から出てきました。

そして時計台の番人のネズミを見て目を丸くして逃げるように地下室の隅で頭を抱えて座り込み震えています。

すると時計台の番人のネズミは「スカラー何故ここへ戻ってきたのだ!」と怒鳴りました。「私にだってわかりませんよ」と小さくした体をますます小さくしてブルブル震えています。

ふわさんが時計台のネズミの番人に「このネズミはスカラーという名前なのだね。どういうことか説明してくれないか。このネズミは何者なのかな?」と聞きました。そして時計台の番人であるネズミが話した事はこのようなものでした。


ネズミのスカラーは時計台で働いていたのですが、ある日許されない罪を犯しました。交代で時計を管理していた深夜の事です。どこから入ってきたのか一匹の蝶のようなキラキラ光る飛ぶ生き物がスカラーに近づき「すみませんが時計の針を止めていただけませんか?私の大切なものを忘れてきてしまったのです。時計の針を止めて下さるならあなたに高価なチーズを差し上げましょう」と大きなチーズを出して言いました。スカラーは今まで食べたことのないような何とも良い香りのするチーズを見ると欲しくてたまりませんでしたが、時計の針を止めるのは時計台の番人であるネズミに聞かなければ出来ないと断りました。するとキラキラ光る生き物は「それは残念ですわ。ではその時計台の番人さんに聞いておいて下さいね。私はまた来ますので」と言うと消えてしまいました。


翌日スカラーは昨夜あった事を時計台の番人の長であるネズミに話しました。すると「私が生まれる前だが、時計の見張りをしていたネズミに君が話すことと同じ事があったことは聞いて知っている。お前が見たというキラキラの生き物は当時も深夜管理を任されたネズミの前に現れたそうだ。しかし2度目に現れた時に時計の針を止めるのを断わると、キラキラ光る蝶のような生き物は世にも恐ろしい姿になった後に叫び声を上げて粉々になって消えてしまった。それから後は二度と姿を現さなかった。だからスカラー、君もその誘惑にのってはいけない。奴は悪の化身なのだ」と時計台の番人は固くスカラーに申し渡しました。

しかし、スカラーは深夜時計台の管理をしていた夜にキラキラ光る生き物の誘惑に負けてしまい時計の針を止めると約束のチーズを受け取ったのです。キラキラ光る生き物は高笑いをしながら飛び回り「やはり私は勝ったのよ」と叫びながらスカラーの手をつかむと、スカラーと共にどこかに消えてしまいました。

スカラーと交代しようとしたネズミは時計の針が止まっていることに気がつき、スカラーの名前を呼びましたがスカラーを見つける事は出来ませんでした。直ぐに時計台の番人の長を呼び、この事を話しました。

すべてのネズミが呼ばれて時計の針を正確な時間に進める事はできましたが、それ以来スカラーは時計台から姿を消したまま帰って来ることはありませんでした。


時計台の番人のネズミが話し終えると、スカラーは「どうかお許し下さい。もう二度とあの森へは戻りたくないのです」と懇願しました。 

そのスカラーを見た七海は「あなたは森の中でお会いしたネズミさんではありませんか?」と言いました。

「なんだって!スカラーに会ったことがあるのですか?」と時計台の番人のネズミが驚いて七海の顔を見ました。スカラーも「あなたがなぜここに?」と七海を見て言いました。

七海はスカラーと会った時のことを話しました。

ある日アパートを出ていつものようにバス停へ走っていたら景色がどんどん七海を追い越して行き、気がついたら森の入口に立っていたこと、森の入口を入って真暗な道を歩いていると自分のわからない言葉で話し声が聞こえたこと、そしてその森の中でスカラーに出会ったことや、暗い道を抜けると草原の中に金色に輝くキツネの王子が見えたので走って行きキツネの穴に飛び込んだことなどです。

それを聞いたふわさんが「これは大変だ。もうすぐ時空の壁が大きく破れようとしている。早く地下室から出て扉を閉めるんだ」と大きな声で叫ぶと皆を地下室から出して扉を閉めました。


時空の壁が破れると、どんなことになるのでしょうか。ますます事態は悪化しているようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ