第40話 青く美しい星 地球
オッティと仲間たちは傘を広げ、気球を全力で地球へと運んでいます。
やがて宇宙に浮かぶ青い星、そうです地球が見えてきました。
「すべての宇宙飛行士も言うように、地球は美しいな」とバード教授が呟きました。
「確かに地球は宝石のように美しい星ですよ。私たちは地球を守るために様々な務めを任されてきました。地球が造られた時からね」とふわさんが言いました。
「オッティがドングリの木を管理しているのもそうだったの?」とルビーがふわさんに聞きました。
「オッティはドングリの木を管理しているし、他の者たちも様々なものを管理しているのです」ふわさんは青く輝く地球をじっと見つめて言いました。
「しかし君たちのような生き物を見たという話しを伝え聞いたことがないというのは不思議なことですね」と言うショージ博士に「見ることを許可された人間にしか私たちの姿は見えないのですよ。たくさん飛んでいるのにね」とふわさんは微笑みました。
「読んだことがあるけど天使は中天を飛んでいると書いてあったわ。オッティたちは天使なの?」と七海がそろそろ大気圏を抜け地球の山々が見えてきた頃に言いました。
「めっそうもない。私たちは天使と比べれば力も強さも蟻より小さな生き物ですよ。でもね蟻だって集まれば自分の体よりも大きなビスケットも運べるでしょ?そんな感じです」とふわさんは声高らかに笑いました。
さて気球は地球のどこへ向かっているのでしょうか?
赤い屋根が見えてきました。皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか。
「時計台だ!七海に話したことがある時計台の街だよ」とルビーが叫びました。七海は眼下に見える赤い屋根を見ながら、何だか懐かしい風景のように感じました。
ショージ博士は「ここはテツわかるよな」と言うとテツはうれしそうに尻尾を振りましたが、すぐに「くう~ん」と悲しげに鳴きました。実は時計台の街はショージ博士が若い妻と幼い娘と暮らしたところだったのです。
やがて時計台の裏に気球は降り立ちました。
すると、ちょうど12時を知らせる時計台の鐘が鳴りました。「くう~ん」とまたテツが悲しそうな声で鳴きました。ショージ博士は「テツどうしたんだ?何故そんな悲しい声で鳴くんだ」と言いました。七海は時計台の鐘の音を聞くと幼い頃に誰かの膝に抱かれて笑っていた記憶がうっすらと頭をよぎりました。
その時「さあ皆さん降りて下さい。時計台のネズミさん協力ありがとうございました。バード教授の研究室に着いた時の日時に戻りました。今からは地球時間で時は進みます。ネズミさんに頼んで遅らせていただいた時間まであと一日しか残っていません。早く太陽の光を何とかしないときけません。キツネの王子に時計台に来るように言ってありますので間もなく来ることでしょう」とオッティ言いました。
キツネの王子がきます。これからどんな事が明らかになるのでしょうか。




