第4話 ネコが七海のもとへやってきた
帰宅すると七海はいつものように窓を開けて空を見上げました。今夜は月も星も見えません。ため息をつき、窓を閉めようとした時「にゃーん」と小さな鳴き声が聞こえました。「朝のネコかしら」と七海は外に出ました。
アパートの裏へきた時、小さな鳴き声が聞こえましたが、暗くて姿が見えません。夜の風は肌寒く自分の部屋へ戻ろうと歩き出した時「にゃーん」と鳴き声が聞こえました。後ろをついてくるネコに気がついた七海は立ち止まり、「お家はどこなの?お家へお帰りなさい」とやさしく言いました。ネコは首をかしげて七海をじっと見つめると、走って闇の中に消えて行きました。
どこのネコさんかわからないけどお家に帰れたかしらと思いながら布団に入りました。うとうとと眠りかけていた時です。「にゃんにゃん」と今度ははっきりと鳴き声が聞こえます。眠い目をこすりながら窓の外を覗くと、先ほどのネコがベランダで座っています。戸を開けるとそろそろと部屋の中に入ってきました。ネコは布団の上に座りました。「仕方ないわ、今夜はここに泊まっていくといいわ」と七海は布団に入ると、疲れていたのかすぐに眠りにおちていきました。
その日からネコは七海が帰ってくる時間にアパートのベランダにやって来るようになりました。誰も待っている人のいないアパートに帰ることはなくなりました。今日も帰ればネコが待っていてくれる!と思うとうれしくて仕事が終わると走ってバスに飛び乗ります。そんな日々が続き、七海とネコはどんどん仲良くなっていきました。
毎日来てくれるネコに名前をつけなくてはと、七海は思いました。「どんな名前がいいかしら?ルビー、そうルビーがいいわ」とネコの顔を見ながら言いました。なぜルビーにしたのかわかりませんでしたが、とっさに思いついたのがルビーでした。「ルビー」と呼ぶたびに何だかなつかしい響きに思える七海でした。
ある日の休日のことです。仕事がとても忙しかったためか、七海は部屋の掃除を終わると、うとうと眠りにおちていきました。
さあ、ここからがルビーと七海の不思議な世界へのスタートです!どんな不思議な世界が七海を待っているのでしょうか?