第39話 ルビーとティアラ
1本のバラの花によって力が強くなったルビーのネックレスは、果たして光の変化を食い止めることは出来るのでしょうか?
お城の外から賑やかな音楽が聞こえてきました。
どうやら王女が帰ってきたことを知って街ではお祝いのパレードが始まったようです。
先ほどルビーを迎えに来ていた執事が「ルビー様はこちらへ。皆さんはバルコニーにご案内致しますので」というとルビーは若い猫の侍女に付いて行きました。「王様お妃様そして皆さんもバルコニーへと移動なさって下さい」と執事に言われるまま付いて行きました。
バルコニーに出ると、お城の回りでは手に手に楽器を持つ者や花かごを持つ猫たちが王女が帰ってきた喜びにあふれて集まっています。
王様とお妃様が、バルコニーに立ち手を振ると歓声が上がりました。「国民の皆さん、王女が帰って来ました。どうもありがとう」と王様が集まった群衆に言いました。
その時、後方の扉から輝くティアラをつけたルビーがバルコニーに姿を現すと、ひときわ喜びの歓声がわき起こりました。
街の人々への挨拶が終わるとお城の中へ戻りました。テーブルにはお茶が用意されています。
七海は複雑な気持ちでした。ルビーがネコの国へ戻ったということは、ルビーとの別れを意味していたからです。
お茶を飲みながらショージ博士が「ふわさんは、この星が地球とは違う銀河系にあると言っていましたよね。それでは、この星の太陽は地球の太陽と違うのではありませんか?そうなると…」と言ったところで「ルビーは地球へもう一度戻る必要がある」とバード教授とショージ博士が同時に言いました。
ふわさんは「そうなのです。ネコの国の王様や街の人たちには申し訳ないのですが、ルビー王女にはもう少しやるべき務めが残っておるのです」と言いました。
ネコの王様は「そうでしたね。私はすべてのものを造られた方にお約束したのです。ルビーを役立たせて下さいと」ときっぱり言いました。なんて愛と親切と忠実さにあふれた王様なのでしょう。
「この星は地球の何倍も遅く時間が進んでいるとはいえ、急いで地球に戻らなければいけませんな。では、ネコの国の王様もう暫くルビー王女をお借りしますよ」と言ってふわさんは王様と固い握手を交わしました。
さて、地球へと帰る時がやってきました。
気球に乗り込むとルビーは王様にティアラを返そうと頭に手をやりました。王様は「ルビーや、それはつけておきなさい。きっと役に立つ時がくるはずだ」と言いました。「はい、お父様がおっしゃるとおりにしますわ。街の皆さんにもよろしくお伝え下さいね。爺や、また留守にしますがくれぐれもお体に気をつけて下さい」とルビーが言うと執事の爺やは「はい、ルビー様。ルビー様の留守はこの爺がしっかり守っておりますゆえご安心下さい」と目を潤ませました。
気球は七海とルビー、バード教授、ショージ博士と愛犬テツ、キツネの王様とお妃様、時計台のネズミ、ふわさんが乗り込むとゆっくり空に上がっていきます。カラフルな屋根が並ぶネコの国の街がどんどん小さくなっていきました。




