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第34話 キツネの王子の出生の秘密

目に涙をいっぱいにためて話すお妃様の話しはこのようなものでした。

王様とお妃様は結婚して何年か過ぎましたが、子供が授かりませんでした。キツネの星では結婚してすぐに子供が産まれるのが普通ですし、ましてや王様の後継者である子供が産まれないことを王様もお妃様も悩んでいました。お妃様は夜になると毎晩バルコニーに出て涙を流しながら、子供を授けて下さいとお祈りをしていました。そんなある夜のこと、いつものようにバルコニーに出て、お祈りをしているお妃様の耳に赤ん坊の小さな泣き声が聞こえました。お妃様は王様を呼んで言いました。

「赤ちゃんの声が聞こえるのですが、あなたも聞こえますか?」二人は外へ出て泣き声のする方へ歩いて行きました。庭の隅のスミレが咲いている草の上に木の枝で編まれた篭の中で泣いている赤ん坊がいるではありませんか。お妃様はそっと赤ん坊を抱き上げました。回りを見回しましたが誰もいません。お妃様は赤ん坊を抱き、王様は赤ん坊が入っていた篭を持ってお城へ連れて行きました。

「あなた何か篭の中に入っていませんか?捨てられたのならば手紙のようなものが入っていませんか?」とお妃様に言われ、王様は篭の中を探しました。篭の中に入っているのは鍵のついたネックレスだけでした。王様は信頼できる門番を呼ぶと「誰か庭に入ってきたか?」と尋ねました。門番は東西南北の門番に聞きに行き、戻ってくると「いいえ王様、誰も入ってきたのを見た者はおりません。ですが、北の門番が空から星のような光るものが庭に落ちて来るのを見たとは申しております。その他に変わったことは何もありません」と報告しました。「そうかわかった。何か変わったことがあれば報告するように。任務に戻ってくれ、ありがとう」と王様は門番を去らせました。

何日か過ぎましたが、誰があかん坊を置いたのか全くわかりませんでした。お妃様は「この子を私たちの息子として育てたいのですが」と王様に言いました。王様は考えこみましたが、お妃様がうれしそうに赤ん坊をあやしている姿を見て決心して言いました。「お前がそれを望んでいるのであれば、この子を私たちの子供として迎えよう」


なんとキツネの王子は王様とお妃様の実の子供ではなかったのです。頬につたう涙を拭うこともせず話し終えたお妃様の肩を七海は自分の方へそっと抱き寄せました。

しかし、なぜキツネの王子は親のもとを離れて暮らすようになったのでしょうか?そしてキツネの王子のネックレスの謎は解けるのでしょうか?

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