第33話 キツネの王子とネックレス
小さなふわふわの生き物オッティの星へ来た七海たちは、オッティのご主人様の部屋へと案内されました。
「初めてお会いになる方もいらっしゃいますので、お茶でも飲みながら少し雑談されるのはいかがですかな?オッティ皆さんにお茶の用意をしてくれないか」とオッティのご主人様、つまりふわさんが言いました。
「かしこまりました、ご主人様。すぐにお持ちします」と言うと、何匹かの白いふわふわの生き物たちと飲み物を運んできました。カップに山盛りのふわふわのクリームはアカシアの蜂蜜の上品な香りがします。それぞれが自己紹介をしたりしています。七海の隣の席はキツネのお妃様でした。お妃様は七海の素直な話し方を微笑んで聞いています。七海もお妃様に楽しそうに話しをする様子は何年も前からの良い友達のようでした。年齢の差を感じることなく誰とでも話しができるのは七海の不思議なところです。
「さて、そろそろ皆さんに集まってもらった理由をバード教授から話してもらえませんか?」とふわさんが口を開きました。
バード教授は椅子から立ち上がると、太陽の光の性質が変化してきたこと、ショージ博士が実験によって紫色だけがどんどん大きくなってきていること、このままでは地球が色のない白黒の世界になってしまうことを皆に伝えました。すると、時計台の番人であるネズミが「バード教授、紫色と言われましたか?時計台でキツネの王子のネックレスの鍵が紫色に輝いたのをふと思い浮かべましたが」と言いました。「そうなんだよ、ネズミくん。それでキツネの王様とお妃様に会わせてほしいとオッティに頼んだというわけなのだが」とバード教授はキツネの王様とお妃様のほうを見て「キツネの王様、王子のネックレスのことをお話しいただけませんでしょうか?」と尋ねました。
キツネの王様は「王子の事では私も少々手をやいておりまして。ふわさんにも何度か相談にのっていただいておりました。ネックレスのことなら、あの子が産まれた時の事からお話ししないといけないのですが」と言いかけた時です。「あなた、この先は私の口からお話しさせていただいてよろしいですか?」と目に涙をいっぱいにためたお妃様が言うと「お前、いいのかい?」と王様が驚いたように言いました。「よろしいのですよ、あなた。王子が私たちのもとを離れてから何年にもなりますし、このままでは良くないと思っていましたから」お妃様は唇をぐっと噛みしめると話し始めました。
どうやらキツネの王子の出生には深い事情があるようですね。お妃様の話しはどのようなものなのでしょうか。




