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第26話 色がなくなる?

部屋へ入ると七海は、今日キツネに会ったことをルビーに話しました。「キツネさんはこう言ったの。春まで会えないし、懐中時計で話しをすることも難しくなると言ってたわ」ルビーは七海にとっては良かったと思いながらも、さみしそうな顔をしている七海を見ると「七海さんが自分で気がつくしかないのです」というオッティの言葉を思い出してため息をつきました。


翌日の夕方の事です。七海がいつものように仕事を終え、アパートに帰る途中でセスナ機が頭上を飛んでいました。七海はまたルビーがいなくなるのではと思い、急いでアパートへと走りました。「ルビーいる?」と玄関の扉を開けました。「お帰り七海。どうしたの?」とルビーが聞いたときベランダをノックする音が聞こえました。七海とルビーが驚いてベランダの窓を見ると、バード教授の姿が見えます。

「急にすまないが、大変なことが起こったんだ。ちょっと聞いてくれないか」とバード教授はかなり急いでいるようでした。バード教授の話しはこのようなものでした。


光の研究をしていた教授はある異変に気づきました。光の性質が急に変化したのです。人間が様々な色が見えるのは光、つまり太陽の光があるからこそなのです。物にはもともと色などないのです。物に光が反射して人間は色を見ることができます。

ここで七海とルビーは「光がないと色がないんだ。物そのものには色がないなんて!」と驚いてバード教授に言いました。

「だがね」とバード教授の話しは続きます。その光の性質が変化を始めたというのです。このままでは人間は色のない世界に住むことになってしまう。そうなる前に何とかしなければいけないが、自分の知識だけでは解決できそうもない。オッティと時計台の番人であるネズミに相談すると、確かテツという犬をつれた人が光の研究の先駆者だというので探しに来たというのです。


七海は「テツ、テツと言いましたか?」とバード教授に尋ねました。「知っているのかい?テツという犬をつれている人を」と言うバード教授に「テツという名前の犬をつれているおじさんに会ったことがあるわ。いつも会社に行くときにアパートの前を犬と散歩していますけど」と七海が答えました。

「ありがとう。では明日の朝またここに来ることにしよう。会えると良いのだが」


さて、色がなくなった世界を想像できますか?これは大変なことが起ころうとしていますね。そしてバード教授は光の研究の先駆者であるテツという名前の犬をつれた人に会うことになるのですが、この続きは明日の朝にまたお話しすることにいたします。

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