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第18話 火星の王さまに会う

バード教授とルビーは火星の王さまに会える事になりました。火星の王さまはどんな人なのでしょうか?


王さまがいる所まで連れて行ってくれるという王子の後ろを歩きながら、ルビーは不思議に思いました。この星には、木が一本もなく、灰色の地面が広がっているだけです。そして人影らしきものは、まったく見えません。ルビーは「この星には王さまと王子の二人だけしかいないの?誰か他にいるの?」と前を歩く王子に話しかけました。

「いや、いるよ。地下の街で生活しているんだ。この星では地下でしか生活できないのさ。地上には何もないからね」と言うとまた黙って歩き出しました。


やがて、灰色の大きな石が積み上げられている場所に来ました。「ここが私の城です」と言うと石と石の間を入って行きます。地面から地下に降りる階段があります。階段を降りると、灰色の地上とはまったくの別世界です。大理石の床に流れる透き通った水の小川、緑の木々、たくさんの実をつけた果実があります。


王子は大きな扉の前に来ると「父上、地球からのお客様を連れてきました。入ってもよろしいでしょうか?」と少し大きな声で言いました。

「そうか、どうぞ中へお連れしなさい」という声が聞こえました。扉を開けて広い部屋の中に入りました。


「はじめまして、私たちは地球からきたバードとルビーと申します。お目にかかって、ぜひ王さまにお願いしたいことがあって参りました」と、バード教授が言いました。

「ああ、だいたいの見当はつく。夕陽が赤いことに意義をとなえて時間を逆に回していることについてであろう?」

「はい、おっしゃるとおりです」と言う教授に王さまは『初めて火星に近づいてきた宇宙船に乗っていた人間が「青い夕陽は確かに神秘的だが、地球の赤い夕陽がやはり美しい」と言っているのを聞いて腹がたった。そして何よりも、夕陽は赤くて当たり前だと思っている人間に当たり前ではないということを知らせたかったのだ』と言いました。

教授はすかさず、「そういう訳だったのですか。よくわかりました。大半の人は夕陽が赤いのは当たり前だと思っています。ですから、赤い夕陽しか知らない人々が青い夕陽を見てみるのも良いとは思うのですが。しかし青い夕陽が見える時まで戻れば、人間が存在しない時代になってしまう事でしょう」と言いました。「なんということだ。そこまで気がつかなかった。ではどうすれば地球の人間に赤い夕陽が当たり前ではないと思わせることができるのか」と、王さまは困惑して言いました。


「それは大丈夫だと私は考えています。宇宙船が撮った写真を見て、青い夕陽があることや青い夕陽の神秘的な美しさに心をうたれている人も少なからずいるのです」

王さまはバード教授の話しを聞くと「そうだな。わしも少しやりすぎたと思っていたところだ。では、時間をもどす方法を教えよう」と言って、ルビーのほうを見ました。

「こんにちは、ネコの王女。君ともう一人、地球に落ちたキツネの王子がいるはずだ。そのキツネの王子と時計台に行き、もう一つの鍵穴を開けて滑車を回さなければならない。キツネの王子が鍵を持っているはずた」


バード教授は「もう一つ、隠れた鍵穴があったのか。教えてくださり、感謝いたします。では、私たちは地球にもどりますが、なるべくなら、この先このようなことがないようにお願いいたします」と火星の王さまに言いました。

王さまは「当たり前のことが当たり前ではないことを、地球に住む人達がわかってくれるなら、もうこのようなことはしないと約束しよう」と言いました。


「またいつお会いできるかわかりませんが、この星のことや僕のことを忘れないで下さい」とセスナ機に乗り込もうとしているバード教授とルビーに、火星の王子がさみしそうに言いました。

セスナ機は火星から地球へと飛び立ちました。

キツネの王子をつれて時計台に行くことができるでしょうか。

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