聖戦学院 36話 吸血鬼《ドラクリヤ》
激昂の少年。
嘲笑の少女。
船上は戦場へ。
二人の刃が衝突し、観測者は何を見る。
船の旅は、波乱という名の乱入者に荒らされる。
刃が、交差する。
殺意と殺意が交わり、透き通るはずの金属音を、ノイズが走るように歪める。
ザギ、ザギザギ、ザギッ
それは怪物と狂人、悪鬼と羅刹、悪魔と魔剣士の衝突とでも言うべきか。
ともあれ、この場において戦いを始めたのは。
天道寺ルクスと、クレア・ツェペシュ・バートリーだ。
「アハハハハッ!どうしましたの?そんなに昂ぶって!!そんなに私を抱きたいのですか?」
「ああ抱いてやる!!黄泉比良坂を超えて、お前を地獄の底に引きずり込むには、それも一つの手だろうさ!!」
嘲笑と憎悪。
赤の紅の緋の朱の、刃と槍と鞭と螺旋が。
光と陽と煌と輝の、怒りと憎悪と恩讐と憤怒に遮られる。
もはや誰も少年を止められない。
もはや誰も、二人の世界を壊すことはできない。
「避難しろ!ここは危険だ!」
鯨井の一声で、辺りの状況に僅かに気を向けた少年が、まだ足場として機能しそうな船隊を見やり、飛び去った。
それは狂乱の少年が、捨て去ることのなかった、かけらほどの良心だったのかもしれない。
クレアもまた少年を追う。
それは彼の意を汲み取ってのことではない。
ただ、面白いものを見たいがため。
周りの人間が、呆然と去りゆく二人を見つめる中、天野美月だけがその後を追った。
鯨井は彼女に何かを言って引き戻そうとしたが、紫月がゆっくりと首を横に振ってそれを止める。
邪魔者のいない、観測者だけが立ち会う南の船団。
情けも容赦も捨て去った二人が、互いの得物を軽く振り。
少女がその黒翼をはためかせ、一直線に少年の元へと飛来するのを理解したのか、しないままか。
ドス黒い太陽のような光を纏った少年は、自らの思いのままに剣を振るう。
殺す。
剣を、振る。
殺す。
弾か、れる。
殺ーーす。
構わず、振るう。
殺すーーー。
止めら、れる。
僕は、ただ目の前の「敵」を殺すべく、剣を振る。
「アアアアアアッ!!!」
声が違う。獣のような、吠えるような声は、僕のものじゃないはずなのに。
だが、その音は僕の口から出ている。
その認識だけ脳にあればいい。
「なんっ、この、力・・・この動きっ!?」
遠くで美月が驚嘆の声を漏らすが、そこに意識を向ける暇はない。
今は、こいつを、殺す。
「なんだよ・・・お前ェ、面白ェなァ!!!」
先ほどまでとは違う荒々しい声が、僕の耳を不快に撫でる。
そのノイズを消すために、左手に光を纏い軽く薙ぎ払う。
「っ!」
クレアもまた血の波を立ててそれを防ぎ、攻勢を崩さぬよう槍を構える。
「遅い」
そう、遅いのだ。
何故ならもう、僕は彼女の足を斬りつけ終えているのだから。
「なーーーー」
漏れたのは悲鳴か、苦悶か。
噴き出した血をただ眺めながら、僕は口を開かず剣を握りしめる。
「こ、こいつーーーッ!?」
力を抜いたかのようにだらりと腕を垂らし、しかし込める殺気は緩ませない。
踏み込む。
「ちいッ!!」
彼女の顔から笑みが消える。
「やっと、僕を敵と認識したか」
自然と口から出た言葉には、皮肉がこもっていた。
「仮にも死神を名乗っておいてこの程度とはな。あの子に何度詫びさせても足りない」
「ふ、ざ、ける、なアアアアアアッ!!」
絶叫とともに迫る刺突を、軽く身を逸らして流す。
追撃の血槍も全て予測済み。
捌き、捌き、斬り捌く。
「くっ・・・」
「もういいだろう?力の差が分からないほど愚かじゃないはずだ」
これは。
これは、「僕」の言葉なのか?
「せめて苦しまないように殺してやる、なんてありきたりなセリフはいいかな。どうせ苦しんでるかそうでないかなんて、僕には分からないんだから」
「お、のれ、えええええええええッ!!」
激昂を受けても、なお僕は口を開いていた。
いや、それだけではない。
笑っている。
笑って、笑って、笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑ってーーーーーーーーーーー
「あは、あはははっ!!あっははははははははははははっ!!!」
「くは、くははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
笑う。
楽しい。
愉しい。
楽しくて、愉しくて、たのしいけど。
「どうした、どうした!?もう終わりか?もっとくだらない槍の舞を見せてくれよ!」
違う。
これは、僕の言葉ではーーーー
嗚呼、でも、口が動く。動いてしまう。
ノイズが走る。
耳にではなく、眼に。
それは、光景。
地獄だった。
怪物の群れに囲まれた、三人の子どもが親を睨む、光景。
「どうしてーーーを、ーーーるの!?」
「それは、違う。この子はーーーーーに、なーーーーよ」
「ねーーーん、まだーーは終わーーーー」
「さあ、契約を結びなさい、ーーーーーー。」
「駄目!やめて!ーーーーん!!」
「許さない」
「許さない」
ーーーー許さない。
許さない。
「 殺してやる 」
なんだ、これは!?
僕は、何を、見ている・・・!?
この燃えている家は!?
あの少女は誰なんだ!?
その隣の男の子は!?
そして、そして、そしてーーーーー
あの二人はーーーーーーーー
「私を・・・本気にさせたなアアアアアアッ!!」
ノイズが途切れる。
元より意識が向けられていたところへ、再度感覚が認識のスイッチを入れる。
「なんだ、本気じゃ無かったのか?ということは・・・遊びか?」
またもや口が動き、望まぬ言葉がこぼれ落ちる。
それを聞いたクレアは、返答ではなく高らかにある言葉を叫んだ。
「『ドラクリヤァ!』」
吸血鬼伯爵の名を呼ぶように叫び、その声に呼応して真紅の流動がクレアの元へと収束する。
彼女の前に作られた血の池は微動だにせず、まるで臣下が跪いてるようにも感じられる。
「見せてやるよ・・・血族の力を」
「伝承の中で育まれた、恐怖を振りまく超越者を!」
「思い知らせてやるよ、地獄よりも恐ろしい死の饗宴を!!」
「そのために!血を、血を!私に、あたしに!アタシにモット血ヲ寄越せえええええええっ!」
血の池が、動く。
まるでそこだけ水平ではないように、紅の水が滑るように彼女の元へ。
そして血の池からその姿を覗かせたのは、記憶に存在をちらつかせる、拷問器具。
その姿に差異こそあれど、形式はただ一つの中世の黒歴史。
現れたのは、三つの巨大な花弁のような形状の、漆黒と藍色を混ぜたような色をした棺。
中には満遍なく針が仕込まれており、その棺が閉じれば数多の痛みが中の者を襲うという仕組みだ。
その拷問器具の名は、鉄の処女。
アイアンメイデンという。
「!?」
美月の驚嘆の気配を感じ取りながら、「僕」はじっとクレアを凝視していた。
「そんなに見てても裸にゃなんねェよ」
「裸になってくれたら斬りやすいから助かるのだけれど」
扇情的に言うクレアの言を斬り捨てる。
それを皮切りにするかのように、クレアがその身をアイアンメイデンの中へと投げた。
「なっ!?じ、自殺する気!?」
「違う」
初めて、美月へ意識が向いた。
「っ!?あ、貴方、あたしのこと見えてたの?」
「・・・幽霊か何かと話している気は無いんだけど?」
けど口から出たのは、自分でも嫌悪感がするほどの憎まれ口。
むっ、とした美月が言い返そうとして、何かに思い至ったのか、ぴたりと固まる。
「まさか・・・」
震える声が彼女の口から漏れ、それを呼び水と言うようにさらに言葉を発そうとした刹那。
「捧げよ!貢げ!それは全てあたしの新たなる姿の糧となる!!」
彼女の身を包む気品溢れる黒白のドレスは、血と肉を喰らう魔の皮へと変わる。
アイアンメイデンの扉が軋むような音を立て、クレアの身体を飲み込んでいく。
「夜の王たる存在を我が身に移し、我が人としての尊厳を全て喰らうがいい!!」
バタン。
扉が閉じる音が、空気を冷たく震わせる。
中の者を確実に殺すかのように、至天から一本の槍が突き刺さる。
それは、クレアが持っていた、短い鉄製の槍。
美月が、「僕」が、その光景を何も言わずに、あるいは言えずに、見届けた。
棺の隙間から大量の血が流れ、中の少女の悲惨な姿を否が応でも思い浮かばせる。
「なん・・・なのよ・・・」
今にも泣き出しそうな栗毛の少女に、しかし冷酷に「僕」が呼びかける。
「構えたほうがいいよ?そろそろ現れる頃合いだ」
「なっ、か、構えろって!どういう意味!?」
何かが口から出る前に、それは起きた。
棺から溢れる深紅の液体が、音を立てて、歪な軌跡を残して、アイアンメイデンの中へと帰って行くではないか。
「血が・・・」
カタカタと槍がその身を震わせ、まるで悪魔の復活のような禍々しさを醸し出す。
違う。
蘇るのだ、悪魔が。
「夜は、訪れる」
聞こえるのは、死人の声。
それはある意味事実であり虚構だ。
「さア、開幕と行こうじゃありませんか」
恐怖を練り上げて作ったかのような声が、船の周りに歪な世界を作り上げる。
「私と、貴方方の、素敵で、最低な、グランギニョールの」
少女は謳う。
異端の誉れを高らかに。
少女は告げる。
異端の降臨を高らかに。
「改めまして。私の名は、「吸血鬼」、クレア・ツェペシュ・バートリー」
「またの名を、『ドラクリヤ・ブラッドレイン』。『ダインスレイヴ・ブラッドレイン』の妹ですわ」
「おい!まだか!まだこの結界とやらは解けぬのか!」
「今やっている!くそっ、なんなのだこれは!どうすればいいのだ!」
「分からないなら貸してください!ってなんですこれ!?ポケットの中で絡まったイヤホンよりも難しいじゃないですか!」
とある船室に閉じ込められた、三体の精霊が、各々の焦りを含んだ声を上げる。
彼女達が取り組んでいるのは、部屋に張り巡らされた「結界」の解除である。
細胞壁のように部屋を包むそれは、要はパスコードのかかった見えない牢屋のようなものだ。
もっともこの三体は、既にその存在を「視覚」に捉えているのだが。
「結界といっても、所詮結び目のきついしめ縄みたいなものじゃろ!どけい!妾が断ち切ってくれる」
そう言って刀を召喚するツクヨミを、バルトアンデルスが慌てて抑える。
「だからそう無理やりにやったらここが爆発するのだ!ただの人間ならともかく、死神の精霊によって仕掛けられたのだぞ!?下手をしたら我々も死にかねない!」
その言葉に、ウンディーネが抗議の声を上げる。
「い〜や〜!!まだキスもしたことないのに〜!!」
「お主そのなりでキスすら未経験なのか!?」
そもそも精霊に性の概念があるのか不明だが、この場にそぐわぬ二人の会話に、苦言を呈すべくバルトアンデルスが口を開きかけたその時。
「!?結界が・・・切れた!」
「なんじゃと!?」
「本当ですか!!」
喜びに満ちた表情でフォークダンスを踊り始めた二人の女精霊に、結界を破った張本人がゆらりとその身を露わにする。
「ここにいたのですか、ツクヨミ殿、バルトアンデルス殿」
聞き覚えのある声だ。そう判断したのは彼に呼ばれた二人。
「その声・・・まさかあの時の!?」
「なんと・・・助かった。お主の剣が無ければ、妾達はここで立ち往生するしかなかった」
感謝を込めて一礼し、そして各々の役目を果たすために部屋の外へと駆け出す二人。
「礼は後で尽くす!この船から出るでないぞ!」
「我も感謝の意を込めて礼がしたい!どうか船に残っていてくれ!」
あっという間に姿を消し、残ったのは彼を除けばウンディーネのみだ。
「あの〜」
水精が声をかけると、騎士然とした男の精霊は、かしゃりと鎧の音を立てて振り向く。
「助けてくださって感謝しますが・・・貴方は何者なんですか〜?どうしてこの船に・・・」
「すみません、今は全てを語ることは出来ない」
ですが、と置いて、彼は自らの名を述べる。
「とりあえず今は、リチャードと。それが私の名前です」
「リヴァイアサン、おるか」
艦長室から少年と少女の激突を見守る老人が、虚空に向けて自らに付く精霊の名を呼ぶ。
(ああ・・・間違いない。あれはブラッドレインだ)
問いを先読みして答えを述べる海龍に、求める答えで無かったのか鯨井がかぶりを振る。
「そうではない。俺が聞きたいのはあやつの方だ」
(・・・天道寺ルクスか)
無言の頷きが肯定の意を伝える。
「あれは何だ?何故あそこまでの力が出せる?俺の見立てではあえなく返り討ちにあうはずが、見ろ!ああも渡り合っているではないか」
それに対して海龍が返したのもまた、無言だった。
「どうした?まさか何も分からない訳ではあるまい」
返答の気配はしばらく途絶え、鯨井がさらに詰問しようとしたところで、重い口を開けた。
(分からない)
「何だと?」
そんなまさか、冗談はよせ。
そう言いたげな鯨井の目線を、リヴァイアサンは知ってか知らずか言葉を続ける。
(分からないんだ。あのような人間は見たことがない)
戸惑いを隠せないのはリヴァイアサンも同じだった。
既視の存在、既知の事象ならまだしも、あれは精霊すらも知らない何かが関わっている。
リヴァイアサンはそれを言葉にしようとして、やめた。
「では・・・あれは何なのだ。俺が友として迎え入れたものは、実は悪魔だったとでも言うのか」
「それは無いわね。あの子は紛れもなく善人よ」
突如船内に、いるはずのないものの声が響く。
雪の結晶のような清廉さを感じさせる、ソプラノの音色の主は、いつのまにか艦長室の扉の前に立っていた。
白い髪を揺らし、赤い眼を輝かせながら、声の主たる女は誰に聞かせるでもなく、一人で歌うように告げる。
「やっぱりその未来は避けられないのかしら。それともあたしがあの時打った一手を、間違いだと証明するための準備かしら?どちらにせよ芽生えてしまった以上、あたしも静観は出来ないわね」
「何を、言っている」
侵入者に水刀を突きつけて、鯨井がさらに問い詰める。
「貴様は知っているのか。あいつが何者か」
「ええ、知っているわ」
目を丸くする鯨井に肩をすくめて答える。
「ただのお人好しの、物好きな男の子よ」
デジャヴ、という言葉がある。
記憶と無記憶の狭間、そこにある光景を見た時に起こる、見たことあるような、ないような、という混乱。
つまりは既視感のことである。
だが、あたしの場合、目の前の光景にこの言葉は当てはまらない。
何故ならあたしは、はっきりと覚えている。
そして同時に、あの時と「違う」と認識できている。
「はああっ!!」
格闘家のような掛け声とともに、槍が振るわれる。
先ほどまでの短い槍ではない。
長さは二メートルもあろうかという巨大な槍が、重さなど微塵もないかのように素早く空を引き裂く。
「っ!」
違う。
元より空を狙ったのではない。
槍の軌道の上、嘲笑うように飛ぶ少年を狙ったのだ。
入れ替わるように、少年が剣を振り下ろす。
重力の力を加えての一撃を、彼女もまた嘲笑うようにふわりと避ける。
・・・遅い。
この一幕にかかった時間は、二秒だ。
あたしの目にもはっきりと捉えられたその光景は、あたしに言わせれば、遅いのだ。
何故なら数秒前。
その倍の速さで打ち合っていたのだから。
ルクス君の力は、当然ながら何も変わっていない。
魔粒子の量も、魔法の腕も、剣の腕も。
ただ。
「スイッチ」が入ったかのように、彼は激怒している。
あまりにも強い怒りが、無意識のうちに彼の動きにあった無駄を、次々とカットしていったのだろう。
今の彼には殆ど無駄がない。
そのため素人目で見れば、「強くなった」と感じるのだ。
「ルクス君・・・」
誰に言うでもなく呟くあたしを、二人はちらとも見ずに殺しあう。
回転を重ねて放たれた光の斬撃を、血の長槍が容易く受け止める。
螺旋を伴い放たれた鉄をも砕く一撃を、まるでドッヂボールの玉を避けるかのように軽く、少年の身体が身を揺らす。
互いに、譲らない。
ルクス君の攻撃は、正直クレアに当たっても致命打になるかどうかは怪しい。
少なくとも二、三撃は当てなければ、動きを鈍らせることすら不可能だろう。
対してクレアのそれは、全てが一撃必殺。
かつてレインと戦った時と同等か、それ以上の力の奔流が、容赦なく振るわれていた。
一瞬の観測で、永遠に続くとまで感じたこの死合の中で。
遂に、ルクス君が仕掛けた。
溢れんばかりの光を右手の剣に流し、レインの持つ大剣を彷彿とさせる擬似刀身を作り出す。
呼応するように、クレアの周りの血液が、彼女の持つ長槍に吸い寄せられて、ルクス君の大剣に勝るとも劣らない大きさの投擲槍を作り上げた。
「クレアアアアアアアアアアアアッ!!」
「天道寺ルクスウウウウウウウウッ!!」
互いの雄叫びが交差する。
禍々しい光と鮮血が、辺りの空気をも飲み込む勢いで膨れ上がる。
「まだだ」
あたしがそこからのルクス君の言葉を聞き取れたのは、それこそ奇跡だろう。
「まだ足りない」
「力を貸してくれるのか?」
いけない。
ルクス君は今、絶対に「あれ」と話をしている!
止める!!
止めなければ!!
「あれに接触しては駄目って言ったのに!!」
いつしか声に出ていたが、もはや気にしない。
彼が契約を果たす前に、この戦いを終わらせる。
けどあたしだけでは無理だ、彼女の手助けを借りなければ。
「お願い、来て・・・!」
懇願し、祈り、ただただ叫ぶ。
「お前の力を貸せ、アマテ・・・」
彼が戻れない道に足を踏み入れるよりも、早く。
あたしの相棒の名前を、世界に響かせる!
「来て!ツクヨミーーーーーッ!!」
月光が、照らす。
あたしを、ルクス君を、クレアを。
「・・・っ!?」
「なんです・・・!?」
互いに刃を下ろし、辺りの状況を把握しようとして。
「ぐっ・・・!?」
とさり、と突然ルクス君が膝をついた。
「・・・無理に「引き出しを開けた」からそうなるのじゃ」
何かの反動であることを分かった上で言っているのか、あたしの相棒たる精霊は、なんとも言えない表情を浮かべて静かに、されどこの場の全員に聞こえる声で言う。
「すまぬ、妾がしくじらなければ、このような事態にはならなんだ」
悲しそうな眼差しで少年を見つめるツクヨミは、すぐに凛とした表情へと変わり、狼狽えるクレアを真っ直ぐに見据えて、高らかに宣言する。
「この戦はこれでしまいじゃ。抗うならば我が九の刃、全てが貴様の魂を奪うと知れ!!」
あとがきとなります。オルタです。
クレア無双かと思いきやルクス無双?
いやいや、スキルが一時的に増えただけでパラメータは変わってないのです。
さて、ツクヨミさんがついに姿を表しました。
ええ、あんまり重要なことではない気もします()
ですが、ずっと姿を隠してきたツクヨミを表に出してしまった美月。
・・・これからどうするのでしょうか?
それではこの辺で、オルタでした。




