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聖戦学院  作者: 雪兎折太
31/56

聖戦学院27話 (中編) 霧の向こうに繋がるために

(27話の中編です)

「第三射撃用意!!撃てええええええっ!!」

高らかにかけられた号令は、七色の流星を呼ぶ呼び水となって空を駆ける。

数拍遅れて何本もの色鮮やかな矢が虹のような軌跡を描き飛翔する。

あるいはそれは炎であり。

あるいはそれは氷であり。

あるいはそれは風であり。

あるいは、それは大地の怒りであった。

四大元素、八大粒子。

人類が生み出し形作った様々な暴威が結集し、一塊の箒星となって空を舞う。

それを決して満足げでは無く見つめる男がいた。

「まだだ・・・こんなものでは足りない」

男の名は嵐山秀和。

滝宮学院三年生、弓術科のトップであり。

前線部隊の指揮を務める、戦闘班班長である。

虹のような色彩を生み出しているのは、彼が指揮する前線部隊だ。

戦闘班だけでなく、前線支援班、索敵班の一部も纏めて作られた急造チームであり、弓術科はおろか弓を射たことすら無い学生も少なくない。

だが彼は僅かな時間であっという間にその学生達に弓を教え込み、一流とは行かないまでもこの戦いに参加するには十分すぎる程の、星の産み手とすることに成功した。

「一手たりとも奴に動かせる隙を与えるな!ひたすら限界まで撃ち続けろ!」

そう声を飛ばしながら、自らも矢に光を込めて、自慢の大弓に番える。

弓道というよりアーチェリーに使うような大きな弓だが、彼は元々アーチェリーをやっていたので、その構えは実に様になっていた。

限界まで弦を引きしぼり・・・さらに引き・・・弦がギチギチと音を立てて悲鳴をあげてもなお引きしぼる。

一人で何発も射て数をこなす里村とは違い、彼の弓は一撃必殺。

当然狙うは的の中央、赤い丸を射抜き貫くつもりで、更に弦を引く。

矢が力に呼応するかのように一際大きく光り、刹那。


パシュンッッ!!!


と大きく音を立てて矢が弾け飛ぶ。

弦が矢を飛ばす際の余波が秀和の周囲に強く流れて軽い砂埃を上げる。

その衝撃の強さを際立たせるかのごとく、音速にも迫る速さで矢が飛翔し、他の流星を追い越し一条の光を伴って、霧の殺人鬼の元へ着弾する。

部隊の者が射た矢が夜空を泳ぐ流れ星だとすれば、彼の矢は月をも砕く巨星。

大地に大きく亀裂を残してもなお斃れぬ敵へ、一言だけ言葉を送る。

「流石だな」

果たしてそれが憎まれ口だったのか、それとも心からの賛辞だったのか、それを知る者はいない。

未だに豪雨とも言うべき矢の雨が降り注ぐ中、彼は次の巨星を放つべく自らの弓に新たな矢を番えた。

















時は、僅かに遡る。

「精霊との・・・臨時契約?」

そう疑問を呈するのは、さらりとした短い黒髪を揺らす少年、天道寺ルクスだ。

彼に声をかけられた相手は、質問者を背に乗せたまま軽く頷いて答える。

「ああ。といっても時間は限られるし、使える力もほんの一部だ。だが今のお前さんがある条件をクリアすれば、俺が力を分けてやることも不可能じゃねえ」

こくり、と無言で頷く少年の姿勢を見て、どこか乱暴さと優しさを兼ね備えた口調の相手・・・精霊は言葉を続ける。

「今からお前に一つの質問をする。嘘をついても直ぐにバレるし、かといってどんな答えでも正直に言ってハイ終了って訳でもねえ。お前さんが本当に俺好みの答えを、考えを持っているか。それを改めて問わせてもらう」

これが、精霊との契約。

臨時とはいえ自然と漂う緊張感に少年は身を硬くする。

いつもなら気を楽に、と言う精霊も、今回ばかりは真剣な面持ちを崩さずに低空飛行しながら問いを投げる。


「お前さんは、この戦いで、いや、いつか戦いの中で死んでもいいと、思ってるか?」

「お前さんの、願いはなんだ?」















「今までは思ってた。死んでもいいって」

時を戻して、戦場の手前、五人の知人が彼を囲む中で少年は言う。

「でも、思ったんだ。強く、強くなりたいって」

力だけでなく、身体だけでなく。

心、精神のあり方。

戦士としてでも、勇者としてでもない。

ただの一人の人間として、強くなりたいと。

「誰かを守れる強さも、敵に立ち向かえる強さも欲しい。けどそれ以上に、自分の心を強くしたい」

誰にも頼らず、誰かを守れて。

誰にも頼らず、敵に立ち向かえる強さを。

そう、願ったのだと。

少年は語る。

その瞳に、決して急造のものなどではない、名前の通り光を込めて。

「・・・そっか」

茶色のポニーテールを僅かに揺らし、真っ先に彼の隣へ駆け寄っていた少女が、口を開く。

「目標、見つかったんだね」

「うん・・・あんまり実感はわかないけど」

照れながらか、おぼろげな願いを恥じながらか、躊躇いながら言う少年に、少女は微笑みかける。

「確かにまだあやふやなところはあるけど、それでもあなたの立派な願い。誰にも否定する権利は無いし、あたしがさせない」

はっきりと言う少女と、仄かに顔を赤くして小さく俯く少年の様子を、桜木と里村、そして安村は何も言わずただ見届けていた。

「まあ未来の話は、現在のあいつをぶっ飛ばしてからにしねえか?」

話を切り替えるべくそう言ったのは、レインだった。

「ヨルムンガンド、ルクスはお前を何割使える?」

「三割だな、臨時契約でここまで使えるとは中々だぜ」

上機嫌と申し訳なさを混濁させたように言う精霊に、レインは軽く頷き露出の多いスカートを短く翻して殺人鬼の方へ視線を向ける。

動きを止めるべく休む間も無く放たれ続けている爆撃の嵐が、彼女の瞳に鮮やかな色彩のコントラストをもたらす。

「あいつ相手にさっきまでのルクスじゃ、確かに分が悪いな」

そう言いながらも彼女の顔には笑みが浮かべられている。

「だが今なら、十分に戦えそうだぜ。一度ボロボロにした相手だ。ただ逃げられた会長殿とは違って向こうも慢心するはずだ」

「無茶だ・・・!」

彼女の意を肯定するように、そして桜木の制止を振り切るかのように、ルクスが一歩前に出る。

「無茶だとしても、僕はやる」

「死にに行くようなものだ。・・・覚悟は出来ているのだろうな」

悠の言葉を代弁する里村の声を聞き、ルクスはあるものをポケットから取り出して二人の前へ進み、止まる。

その手には、永江から預かった霧払いが握られていた。

「悠、先輩、あとでいっぱい謝ります。だけど今は、僕に・・・」

「分かってるよ。今はもう何も言わねえ」

「ああ・・・歯がゆいが、君に頼むしか無いらしい」

二人の口調からは、隠しきれない悔しさが滲み出ていた。

それでも桜木はルクスを信じるとばかりに霧払いを受け取り、その眼を真っ直ぐ見据えて言う。

「だが行くからには絶対ヘマするんじゃねえぞ!?」

「我々も最善を尽くす。決して君の努力を無駄にはしない。させない。・・・絶対に」

里村も強く言い残して、桜木とともに走って行く。

永江を探し、霧払いを完成させるためだ。

彼等が信じると決めたならば、答えなければなるまい。

少年は胸に名前の通りの光を灯し、小さく息を吸って顔を上げる。

「それじゃあ」

さく、さく、と足音を鳴らして、少年が殺人鬼の元へと足を進める。

その様子を、天野も、安村も、レインも、じっと見つめることしか出来なかった。

数歩進んだ所で軽く振り向き、にこりと微笑んで声高に叫ぶ。

死線へと舞い踊る自分の、その決意を鈍らせないために。


「行ってきます」






















赤い爆撃。

青い爆撃。

寒暖の波動が次々と肌を撫で、僕がこれから行く先が並みの世界では無いということを知らしめるかのような感触を、ただ何も言わずに受け止め、駆け抜ける。

「気をつけろ、近いぞ」

左腕に巻きつく精霊の言葉に心の中で返事をし、それを示すかのごとく背中の剣の柄に手をかける。

身体に痛みはある。

けれど、それ以上にやらねばならないことがある。

もう死ぬつもりはない。

だから、本気で生き残る為にこの剣を振るう。

「この霧・・・これが全部ジャック・ザ・リッパーなんだ」

「嬢ちゃんの推測が正しければ、な」

口から出たその言葉は、自分でもどこか怯えていたのが分かる。

それを汲み取ってヨルムンガンドが励ますように笑いかける。

「大丈夫だ、俺様がついてるんだぜ?死神ブラッドレインの相棒ヨルムンガンド様がよ」

「・・・もう我って言わないんだね」

苦笑しながらどうにか冗談で返せるようにまでは、心が落ち着いたらしい。

深呼吸して、息を整える。

遠くで安村会長が命令を出したのだろう、もう眼に悪そうな光の雨は止んでいた。

いよいよだ。

言い聞かせるように心の中で呟く。

そしてーーーーーーーー


それは、立っていた。


「・・・おや、戻って来ルとは」

もう殆どノイズがない、人間の女性にしか聞かない声で、霧の殺人鬼は僕に声をかけてきた。

「さっきまで、中々動ケませんでした。あれが人間の底力というか、実力みたいナものなのでしょうか」

肩をすくめながら語るその様は、まるで人間のようだ。

その容姿と、手にこびりつく鮮血を除けば。

「そうでもないよ。本気の人間は、もっとすごい」

「ほう?・・・貴方はそれを見せられルと?」

馬鹿馬鹿しいと笑いながらも、警戒は解かずに腕をリズムよく小さく揺らす。

僕を、いつでも殺せるように。

「さてね。それは戦ってみないと分からないんじゃない?」

しゃりん、と音を立てて剣を抜く。

刃を瞳に入れたジャックが、より一層殺意を増してこちらを見据える。

「・・・ワタシも舐められたものです。一度手傷を負わせた相手にここまで言われるとは」

くっ、くっ、と笑い声を零しながら、一歩。

前に踏み出した。

「それを本気で言っているのなら・・・本当に馬鹿げていまスね。少し力の質が変わった程度でワタシを殺せると?」

「へぇ、分かるんだ」

挑発してのではなく、純粋な感嘆。

それをどう受け取ったのかは分からないが、爪を構えてジャックが叫ぶ。

「あは、アハハハハ!!本当に馬鹿だ!!貴方は!!!」

呼応して、一気に殺意のボルテージが上がっていくーーー!!


「だったらお望みどおりにここで殺してあげましょウ!・・・かつて殺した、愛しいあの人のように!心臓を!肺を!臓を!バラバラにして食べテあげましょう!!!」


「来るぞ!」

針のように突き刺さる精霊の警告が、僕の意識を完全に戦闘用のそれへと音を立てて切り替える。

それと同時に目の前まで迫る殺人鬼の、挨拶がわりとも取れる爪の一閃を、白銀の軌跡で迎え撃つ。


新宿での、最後の戦いが、始まった。



















「聞こえた!?始まったみたい!!」

「ああ、直ぐにでも行動を起こしたいところだが・・・肝心の永江がまだ来ていない」

戦場から、遥か後方。

一人の少女が、霧の殺人鬼と少年の戦いを見守る二人の学生を見上げながら、自らの大剣に背を預ける少女の治療をしている。

少女の名は、霧島奈緒。

救護班の班長であり、保健室長代理であり、戦場で負傷した学生や遭難者の治療のエキスパートだ。

いつものように怪我人を治す手慣れた動作で、死神と呼ばれた少女の全身に広がる傷を一つ一つ治しながら、二人の言動にそれとなく耳を傾ける。

その様子を見て、治療を受けていた少女が声を低くして言った。

「お前も心配か?」

「え?」

話しかけられるとは思っていなかったのだろう、少女はぴくりと身体を震わせ、初めて怪我人の顔を見る。

怒られる、と思ったが、怪我人であるレインの表情には怒りなどなく、むしろ穏やかな笑みすら浮かべていた。

「あいつならきっとやるさ。あたしに一撃あたえかけたんだぜ?それもまだペーペーの頃によ」

快活にそう語る彼女の瞳には、会って間も無いはずなのに、そうとは思えない、何かの情のようなものがひっそりと浮かんでいた。

「それでも私には信じられません。作戦とはいえ一年生一人に危険種の相手を任せるなんて」

事務的にそう告げる。

それは、紛れも無い本心だった。

彼女の言葉に苛立つでも反発するでもなく、レインは静かに告げる。

「確かにお前の言う通りだ。普通のやつならあいつの相手は務まらない。それはあたしがよく分かってる」

けど、と区切り、そして自らの左腕を顔の前まで持ちあげて、見る。

「普通なら、な」

その腕には、蛇の鎖は、僅かにも巻き付いてはいなかった。

















おいおい、マジかよ。

胸中で思わず感嘆の声を漏らす精霊をよそに、一人の少年が殺人鬼の刃を受け止める。

僅かに押される程度で食い止めた少年、ルクスは力任せに身を捻り、腕に力を込めてその凶爪を押し戻す。

これなら、あるいは。と精霊は思う。

油断や慢心を生まねばならないということは、少なくとも勝ちを確信させる状況を作らなければならない。

それも手加減の一切ない戦いだったと、もはや余力の尽きた状態だと相手に認識させなければならないわけだ。

ただの演技ではなく、命をかけた戦いを、シナリオ通りに進まなければならないことの難しさは、ブラッドレインと共に数多の戦場を渡り歩いたヨルムンガンドには、それこそ簡単な教科書の中身を読み解くよりも、簡単に理解できる事だった。

それも戦闘経験が豊富とは言えないどころか、まだ実戦すら片手で数える程度しか経験してないであろう少年が、そんな大層な真似出来るはずが無い。

普通なら抱くその感情が不思議と現れず、口には出さないものの自分でも不可解だったのだが。

「リミット」が効いてるとはいえ、ここまで演じられるもんかね、普通!?

それは、ヨルムンガンドの力の一つ。

契約者の引き出せる力を制限する、実戦では殆ど役に立たない能力。

かつて滝宮を襲撃したレインも、同じ能力を使っていた。

リミットというのも彼自身がそう呼んでいるだけの仮の名前であるが、その名通りの役割を今、水を得た魚の如く発揮していた。

そんなことを考えている間に、ルクスが攻めに転じた。

距離を取り始め、様子を伺おうとする殺人鬼の元へ、全力で飛び込む。

馬鹿、それは悪手だーーーーー!!

知らせようと彼の脳内に語りかけるべく、魔粒子に言語の情報を載せた所で、気付く。

それと同時に振り上げられたジャックの長い腕が、敵対者を地に落とさんとかざされる。

「っ!!」

息を飲んで、強く左腕に力を込める。

合図だ。

鎖の実体を現世に投影させ、彼の遥か後ろを目がけて投擲槍もかくやと言う速さで空を穿つ。

ガチリ、と空気と自らを固定させ、尻尾にあたる左腕を思いっきり引っ張る。

少年の身体はあまりにも不自然に後ろに飛び、ジャックの腕は虚空を割いて地をえぐる。

こいつ、上手い。

彼は確信する。

少年の動きは素晴らしい、達人のものとは決して言えないものの。

滝宮の一年生、それも戦いをあまり知らないとはとても思えない動作と精霊使いに、舌を巻かずにはいられなかった。

勿論、これは少年自身の実力ではない。

ヨルムンガンドとの臨時契約により、普段の彼と比べて、筋肉、反応、戦闘に必要な技術全てが明らかに強化されている。

それを含めてなお、彼は少年に言葉を贈る。

「やるねえ、お前さん」

それは心からの賛辞であると同時に、ちょっとした皮肉も込めていた。

何故、これ程の力を持っていながら。

強くなりたいなんて、願ったのか。


















動きが違う。

僕は数度の衝突の中で、自分と、相手の動きの変化を、自分で言うのもなんだが敏感に感じ取っていた。

身体の変化。

思考のスピード。

かけられた力の上限。

相手の油断。

同時に、警戒。

・・・こうも早く考えられるのも、ヨルムンとの臨時契約のお陰だろう。

心の中で呟き、振るわれる鉄棒のような腕を、鉄鎖を使って回避する。

フェイントが上手く決まったのを確認してから、剣先に光を集めて小さな球となし、ジャックの頭目がけてアンダースローの要領で剣を振り、飛ばす。

その感触は軽く、しかし放たれた光球は小さな刃となって螺旋を描き、殺人鬼の眼前まで僅かな時間も無く迫る。

その波を僅かに身体を傾かせて回避し、お返しとばかりに霧を濃縮させて四本の槍を形作り、カタパルトの如く掃射する。

だが僕の眼はしっかりと四本の槍を見据えている。

二本が横並び、その後の二本は時間差!

そうなれば自然と身体が動く。

V字を描くように、二本。そのまま振り下ろして、一本。後の隙を突くべく穿つ一本は、そのままの姿勢で頭上を通ってもらった。

「これが精霊の力・・・」

息を整えながらも、感嘆のため息が零れる。

「やるねえ、お前さん」

左腕から、精霊の賞賛が軽く飛んでくる。

微笑みだけ返して目線を合わせる。

無論、ジャック・ザ・リッパーに。

「そろそろ限界のはズ・・・仕留めさせてもらいましょうカ」

まるで眼と眼があうのを待っていたかのように口を開く。

「限界、ね」

時間にして約一分。

その間、何度も何度も奴の爪を受け、時には防ぎきれず身体に届かせたこともあった。

身体にかかる制限の影響が無ければ、そう思うが仕方のないことと割り切って剣を構える。

互いに本気を出させない為、僕の力に制限をかけるということは事前にヨルムンから聞いていた。

それでも欲張って力を込めると湧き上がる、形容しがたい脱力感のようなものには、どうも慣れそうにはない。

それでも、出し惜しみをする殺人鬼の相手をするには、十分だった。

額に浮かぶ汗を払い、こちらを仕留める狩人となり飛来する深緑の影に、再び刃を突きつける。

腰を落として踏み込みながら、大きく身体を回転させ、勢いをつけた大振りの一撃を放つ。

だが。

それは届かなかった。

「なっ!?」

不意に、ジャックの身体が霧散し消え失せる。

死角を警戒するよりも早く、僕の背に酷く鋭い痛みが走る。

「ーーーッ!!?」

倒れそうになる身体を無理矢理立たせて、振り向きざまの斬撃を負けじと放つが、そこに殺人鬼の姿は無い。

「これは・・・」

歯を食いしばりながら頭の回転を止めないようにするが、途端に感じたぞくりという感覚に引きずられるように、左腕を空へと伸ばしていた。

慌てて飛び出した蛇鎖が空を噛み、身体が宙へと舞い上がる。

「貰いまシた」

「やべぇ、避けろ!!」

二つの声が重なった時には、僕はもう地に堕ちていた。

お、終わらない・・・!?

あとがきとなります、オルタです。

前後編と言ったな、あれは嘘だ。

まさかの中編・・・自分でもどんだけ引っ張るんだと思います。

さて、精霊ヨルムンガンドとの臨時契約を交わしたルクスとジャックのとの一騎討ち。

臨時契約とは読んで字の如く、一時的に精霊と契約してその力を行使することです。

ぶっちゃけ簡易融合みたいなもんです。

ていうかルクス、一般人だったはずなんですけど、どんどん強くなっちゃってますね・・・

色々と大丈夫なのかな、コレ。

なんて不安も抱えつつ、次回本当に本当の決戦です!

楽しみにしてくれていたら幸いです。

オルタでした。

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