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聖戦学院  作者: 雪兎折太
3/56

聖戦学院3話 早すぎた真実

毎日投稿と見せかけて不定期投稿、

オルタです。

こちらは聖戦学院、その3話となります!


前話ラストで襲撃の放送が流れ、学生たちは一転して恐怖に陥りました。

そこで悠はルクスに 答え合わせ をすると言いだし・・・?

悠が語る真実とは、襲撃者の正体とは、

そして、その真実にルクスは耐えられるのか。

無力な少年という肩書きは何処へやら、未だ全く普通の少年ルクスが織りなす学園異世界ファンタジー(舞台は現実)。

聖戦学院、3話です!


(ひょっとして、前書き邪魔かもしれない。)

「答え合わせ?何をする気だ、桜木。」

「決まってるだろ、こいつに本当のことを教えるんだよ。現地でな。」

「なっ・・・正気か桜木!?まだ入学して3ヶ月しか経っていないのだぞ!それに危険だ、武器も持たせずに素人を前線に出すつもりか!?」

「このシステムはおかしい。俺がそう思っただけだ。あんな理不尽な思いを先延ばしにしちゃいけねえ。

それに、奴らが現れたらすぐに戻す。絶対に死なせはしない。」



呆然としている僕の横で、二人がまた何やら言い争っているが、正直今の僕にそれを聞いている余裕はなかった。

目の前に広がっているのは、恐怖し、絶望し、泣き叫ぶ上級生たちの慟哭する姿と、それに怯え、これから何が始まるんだと恐れる1年生たちの姿。

恋人の名前を叫ぶ者、死にたくないと泣きじゃくる者、全てを諦めただ狂った様に笑う者。

正に、地獄のようだった。

それにしてもさっきのアナウンスでは、襲撃、と言っていたが、一体この学院を誰が襲撃するのだろうか。

恐らくは悠に教えてもらった、軍が戦う相手だろう。

つまりは、大変革後の異質なる生命。暴虐の獣。

授業では、確かモータル(死すべき者、いずれ死ぬ者って意味だったような)と呼んでいた。

「馬鹿なことをするな悠。それより一緒に来い、下級生達を寮へ避難させねばならん。」

悠と里村先輩の方を見ると、早くしろ、と、まだ少し震えてはいるものの、やや落ち着いたのであろう里村先輩が、悠に1年の避難を促していた。


学生寮は全校生徒が寝泊まりする場所であり、防衛設備も学院の中で一番整っている場所だ。避難場所にはこれ以上のところはない。


悠は顔こそ酷く青ざめているものの、里村先輩の方を見ずにハッキリと答える。

「悪いが避難は一人でやってくれ。俺はこいつと一緒に正門へ向かう。」

「はい!?」

「桜木!!」

驚愕の声を上げる僕と里村先輩。食堂は混乱した生徒たちで溢れかえっており、里村先輩の言う通り早めになんとかしないとパニックで大変なことになってしまいそうだ。

だと言うのに、悠はその仕事を放棄し、あろうことか僕を何者かに襲撃された正門へと連れて行こうとしている。

まさか、こんな時にまで授業をしようというのかこのダメ教師は!?

反対しなければいけないのに関わらず、そんなことを考えていた僕は全く反応できなかった。

ものすごい速さで伸びてきた悠の手が、乱暴に僕の腕を掴む。呆然としている僕にたった一言。

「振り落されんなよ。」

「おい、待て桜木!?桜・・・っ!」

「ちょ、ちょっと待ってっ・・・!?」

僕たちの制止も聞かず、僕の腕を引っ張りながら、

悠は食堂を文字通り「飛び」出した。


「うおおおおあああああわはああああああ!?

ゆ、悠!?と、飛んでっ、飛んでる速い速い速いはやいはやいハヤイ!!!」

「お前は言ったな、何で軍や猟師じゃ駄目なのか、って。」

虚しい叫びとなった僕の声を完全に無視し、悠は廊下の空中を縦横無尽に移動しながら、先ほど図書室での会話を思い出させてくる。

全身に猛烈な空気抵抗が掛かっている状態で、僕は必死にその声を聞き、かろうじて返答する。

「いいいい言ったけけけけどどどど」

食堂を抜け、2階廊下、踊り場、1階廊下、と、

本来通行禁止である校舎出入り口まで僅か2分ーーーこの学院の迷宮ぶりを考えれば異常な早さであるーー

で駈け抜け、急停止。

襲撃者とやらに会う前に風と衝撃で死にそうになった。胃の中は豪快に回っており、あと少し止まるのが遅れれば口の外まで逆流していただろう。

もうちょっとゆっくり飛んでくれ、と心の中でぼやいた後に呼吸を整え、顔を上げる。

周りにはまだ他の生徒はいない。アナウンスの通り準備をしているのだろうか。

しかし、そんなことよりも重大な事実が僕の頭を打つ。


違っていた。僕の知っている外の風景と。


僕は入学前にこっそりこの学校に見学に来たことがある。

その時は追い返されたが、その時は確かに普通の外見、普通の入り口だったはずだ。

勿論正門もすぐ近くにあった。それどころか入り口から

そのはずなのに、今僕の見ている校舎の外は。

何もない広大な草原だった。

ざっと目視で計算しただけでも5kmはあるだろうこの草原は、何も知らない僕笑うようにゆらゆらと草木を揺らしている。

ゆっくりと、前に歩く。1m、2m、3m、5m、

そこで止まる。

歩いた感触、土の柔らかさ、雑草の硬さ、僕の知っている草原と、なんら変わりない。

しかし、それ以外には一切ない。

花も、木も、動物も。ただ空間としての役割を果たすためだけの場所のように、他の存在を否定しているかのように。

ところどころに黒っぽい変なものがあるが、恐らく岩か何かだろう。岩だけあるのも変な話だが、それ以前のことがおかしいので、気にも留めない。

空を見ると、雲が近くにあるように感じた。空気も若干薄いような気もする。

いや流石にこれは錯覚だろう。だが目の前の草原はどうしようもなく、事実と認めるしかない。

ここは本当に僕たちがさっきまでいた学院なのか?

と、思わず振り返ると、そこには確かに大きな校舎があった。


まるで、僕達を逃さないように囲まれた檻のような学校が。


「悠、これはどういうことだよ、僕たちは・・・」

「おっと、その前にルクス、3つ質問だ。」

僕の言葉を遮り、悠はまるで試練でも与えるように僕に問いかけてくる。

「一つ、お前はこの学院の中にどうやって入った?」

その表情はいつになく真剣で。

「そ、そりゃあ正門を通って・・・」

「二つ、なんでこの光景を誰も知らなかったと思う?」

その声色はいつになく厳格で。

「わからない・・・窓には普通に外の景色が見えていた!!」

「三つ」

その言葉はとても重く

「あそこにあるものは」

残酷な真実を

「なんだと思う?」

ゆっくりと


「・・・人間の死体だ。」

突きつけた。


「した・・・い・・・?」

悠の指の先にあったのは、さっきまで岩か何かだと思っていた黒い物体。

あれが人間の死体で、何者かに殺害され、あんな形にされ、埋葬もされずに放置されているのだと。

悠は告げた。

「なんで・・・?なんで人間の死体が?どういうこと?ここは学校じゃなかったのかよ!?」

「学校だ。紛れもなくな。」

下級生の避難を終えたのか、いつの間にか里村先輩がそこにいた。

僕の慟哭を聞いた先輩の顔は悲しそうに僕のほうをじっと見つめ、憐れむように、されど避けられない現実を突きつけた。

全部、隠されていたことなのだ、と。

「「政府」は私達を直属の軍になどしようとはしていない。そもそも「政府」に軍などない。」

「「政府」の軍が無い?じゃあ僕達は何のために!」

「騙されてたんだよ、俺たちは。」

「化け物と戦うことを、この学院に入ったその時から義務付けられるのだ。」

「おかしいと思わなかったか?なんでこの学院から一歩も外に出させてもらえなかったのか。」

「そ、それじゃあ、つまり・・・」

つまり。

僕たちは、戦わされるためにここに入れられた、ということなのだと。二人はそう言っている。

「で、でも親は!?子供を軍属にしたい親なんていないよね!?」

僕の両親は、この学院に僕が入るのを、最初のうちは反対していた。何もできない僕が入っても、軍に入ったあと死ぬだけだと。

僕も最初はそれを受け入れていた。

「ああ、そんな親などいない。そう、我々に親などもういないのだ。」

「えっ・・・」

「みんな親はいたぜ。だがある日突然この学院に入れと命令してきた。」


僕の両親も。

僕の親も、突然人が変わったかのようにこの学校に入れと強制してきた。今でもその鬼気迫るといった表情を覚えている。

だが、別に嫌がる理由もなかったので僕はこの学校に入学した。

確かに思い当たる節はある。この瞬間、一つの答えも脳内に浮かんだ。

だが、それを言葉にしまいとして、二人に反論する。

逃げるために、その先を肯定したくないために。

「言ってる意味がわからない・・・親はいるけど親はいない?矛盾してるじゃないか!」


ありえない、と半ば泣き叫ぶように言う。

もうやめてくれ、言わないでくれ。

これ以上僕に真実を突きつけないでくれ。

そんな願いも聞き届けられず、ゆっくりと悠は告げる。



「殺されたんだよ。「政府」にな」




「政府」が、僕たちの親を殺した?

戦わせるために?ああやって死なせるために?

草原の方を向くと、その何もない、他の存在を否定するかのような空間は、僕にさっきとは全く違うイメージを植え付けた。


即ち、戦場。


「「政府」の連中は、俺たちを学院に引き入れるためには親が邪魔だと考えた。だからまずは洗脳から始めた。」

「どんなことを吹き込まれたかは知らぬがな。ともかくそのせいで親は本心から我々を学院に送りたくなったのだ。」

「里村は遠視の使い手でな。前に外の世界を見てもらったことがある。」

「そこにあったのは、我々の両親の死骸と、破壊された家だった。」

「・・・冗談でしょ?」

「冗談でも嘘でもない、現実だ。」

「受け入れろ。お前はあいつらに騙されてたんだよ!!」

嘘だ。

「証拠は?信じろって言われてもそんなこと、信じられないに決まってる!」

「ルクス!」

母さんと、父さんが。

「ありえないよ。そんなの絶対ありえない!」

「信じてくれ!騙されてんだよお前は!」

ぞろぞろと他の上級生たちが到着する中、僕はそれを気にもとめず涙ながらに叫ぶ。

「母さんも、父さんも、死んでいない!!!

嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!

何もかも、全部!嘘なんだあああああっ!!!!」




「グオオオオオアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」





僕の慟哭に呼応するかのように、遠くから何者かの咆哮が聞こえた。

それを聞いた上級生達は、各々の武器を構え出す。

剣、弓、槍、盾、杖、様々な武器を構えながら、

それぞれじっと声の主がいるであろう方角を見つめている。

ある者は険しさ、

ある者は恐れ、

ある者は決意でその顔を彩ながら。

一体何が現れると言うんだ、それが僕らに押し付けられた「もの」なのか?

皆が見る方角を僕も凝視し、そして認識してしまった。


遥か遠くで各々の身体を揺らしこちらに近づく、この世のものとは思えない怪物の軍勢を。



授業や悠との会話で存在自体は知っていた。

大変革後の世界の生態系に、既存の生命を破壊して現れた歪なる存在。


狼がいた。

全身の毛を赤黒く染めた、殺戮に飢えた獣が。

鳥がいた。

冷気を纏い空を駆ける、冷酷な狩人が。

異形がいた。

あれを命と認識するなと脳が警鐘を鳴らす。

混沌がいた。

今すぐ逃げろと体が悲鳴をあげる。


そして、それらのすぐ後ろに咆哮の主。

その体躯は文字通り巨大。それを見ただけで、

ただの人間の及ぶ相手じゃないことは遠目でもすぐにわかった。

爬虫類か?両生類か?魚類か?哺乳類か?鳥類か?

それらの問いを全て否定するかのように、

その容姿はかつてのどの生命とも類似せず、あれは文字通りの魔物ではないかと考えてしまうほど異質だった。

それでも僕らはあれを知っている。

御伽噺、創作話、神話、ゲーム。

ファンタジーものならあらゆる所に現れ、その名前、その容姿は知らない人はいないだろうあれの名は。


「ドラゴン・・・・・・・・・・」


西洋の竜、邪悪と破壊の象徴。

英雄に打ち倒されるべき怪物が、

僕たちを、殺しに来たのだ。


数多の絶望を引き連れて・・・

お読みいただき、本当にありがとうございました!

オルタです。

なんだか書いててダoガooンパみたいだなこの学院と思ってしまうような設定になってしまいましたが、原案ではもっと中二中二してたので、これでいいかなと…ハイ、安定の自己満足です。この後書きもです…


さて3話、如何だったでしょうか?

色々文法的におかしなところや、ストーリーの矛盾や不自然さなどもあると思いますが、

そこはどうか厳しくご指摘いただけると有り難いです。

勿論、そのようなミスは私も無くすよう努力いたします。たうぜん、たうぜん、です。

これ以上長くなってもアレなので、後書きはここまでとなります!

有難うございました!

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