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聖戦学院  作者: 雪兎折太
19/56

聖戦学院 19話 迫る双影

謎の生物に深手を負わされ撤退したブラッドレインは、ルクス達征伐メンバーの所へと命からがらたどり着いた。

そのまま意識を失ったブラッドレインの処遇を決めることになり・・・

きしゃり。

きしゃり、きしゃり。

乾いた足音が、もう誰もいない廃墟に小さく響く。

かりかりかり、かりかりかり、と金属が軽く擦れるような音がする。

音の主である「それ」は、考える。

あの女はどこに行ったのだろうか。

信じられない出力のエネルギーを確認してからどこにも見当たらない。

あの数でそう遠くは逃げられないはずなのに。

探しに行こうにもこの黒い柱は邪魔だ。

燃料庫が爆発したかと思えば次は竜巻だ。

ああ、なんと腹立たしい。

きしゃり、きしゃり。

乾いた足音が響く。

煩わしい。

さくりさくり、と肉も無く骨と皮だけになった人間を、何かを探すように弄る。

もう男なのか女なのかもわからないほど無残な姿になった死骸。

それでも「それ」は何かを探す。

当人にとってその行動は、果たして時間潰しのものなのか。

それとも「それ」が識っている自らの名前に基づく行為なのか。

きしゃり。

音にならない喜びの声が自ずと出る。

見つけたのだ、探していたものを。

口を大きく開けて、丁寧に運び、食す。

とくん。と一際大きな鼓動の音。

美味シイ、と「それ」は喜ぶ。

その喜びを邪魔するかのように、唐突に吹いた風に乗った、薄い黄色の砂煙が「それ」を包む。

「それ」は煩わしそうに腕を振り回し、砂を目に入れまいとする。

大量の鮮血がついた爪が、砂塵の中から差し込む太陽の光を受け独特の輝きを放つ。

苛立ちを覚えた「それ」は、しかしもう砂煙を払うことはせず、またゆっくりと歩き始める。

喰イタイノカ?違ウ。

思考する、自分の求めるモノを。

殺シタイノカ?違ウ。

思考する、自分が求めたモノを。

答えの見えない自問に不機嫌そうに唸りながら、一歩一歩足を進める。

乾いた足音が、不意に湿った何かを踏みつける、ぐちゃっ、という音に変わる。

人ならざるモノの死骸。「それ」の手にかかったもう一種の犠牲者。

先程の衝撃で飛んで来たのだろうか。

大して気にも留めずに、死骸を踏みぬく。

ぐぢゃっ、と死骸が弾け飛び、残っていたドス黒い血液が辺りに撒き散らされる。

廃墟のビルの端に向かって「それ」はゆっくりと歩き、立ち止まる。

時間にして三分、黒い竜巻が消えようとしていた。

口からこぼれた吐息は嬉しさを孕む。

あの女から、血を、肉を、内臓を、***を引きずり出す。喰う。そして殺ス。

どんな悲鳴が、どんな顔が、どんな姿が拝メルのダろうか。

そんな期待を膨らませつつ、「それ」はビルから飛び降りる。

「それ」は人間でも、精霊でも、もはやモータルでもない何かとなってこの新宿を徘徊する。

身体から溢れる霧を纏い、ただ視界に映る生物を殺すモノ。

「それ」がまだ知ることではないが、この都市に新たな訪問者が訪れる。

もしそれを見たならば、すぐさま蹂躙が始まるだろう。

人も、モータルも、精霊も、それ以外の命も。

「それ」の前では平等となり、奪われていく。

「それ」は歩く。まだ見ぬ獲物を求めて。

霧の立ち込める新宿の街。

かつての華やかさは影も形もなく。

ただ死臭と絶望と恐怖が立ち込めるこの都市に訪れた者は全て等しく滅びるだろう。

いずれこの街は覚えることなる。


かつてこの国ではないどこかで、ある大都市を今と同等に深い恐怖に包んだ、ある殺人鬼の名前を。




















鯖ついたビルが立ち並び、その窓から覗く者は誰もいない。

僕達以外の人の気配も、それ以外の気配もまるで感じられない、新宿。

元の華やかな面影を僅かに残しつつ、ほぼ寂れ果てた大都市の中で皆は、僕の腕に抱かれた一人の少女を取り囲む。

少女の名はブラッドレイン。死神と呼ばれ恐れられたモータル狩りだ。

彼女の視界に入ったものは、人間であろうと全て血の嵐に変えられると言う恐ろしい噂とともに世を渡り、挙句僕達まで襲撃した少女が今。

空から降ってきて、重傷を負って倒れている。

そんな映画のような非現実的かつあまりにも突然の出来事に騒然とし、征伐のエキスパートである三年生達や生徒会長までもが驚愕を露わにする。

彼女の衣服は滝宮を襲った時のものとは違い、上はそれぞれ左だけ長袖の黒いトレンチコートにトレーナー、下はこれまた黒いロングスカートだった。

どれも至る所が破れて素肌が露わになっており、目を覆いたくなるほどの血が流れ出している。

悠達が遠くに隔離した大剣も、かつて見た禍々しさはかけらも無くなり、代わりにまるで古戦場での激戦をくぐったきたかのように思わせる程の、多くの傷跡が残されていた。

当の彼女は一言二言だけ微かに呟いた後、意識を失っている。

「とりあえずシェルターに連れて行きましょう、新宿で何かあったのかも知れません」

ブラッドレインを抱えたまま周りの皆に提案するが、その殆どは保護に否定的なようだ。

「放っとけばいいんじゃないの?」

「でも生きてるみたいだし、一応手当だけでも・・・」

「馬鹿野郎、もし襲われたらどうすんだよ」

ヒソヒソとブラッドレインのどう処遇するかが囁かれる。どうやら例外的に救護班の面子だけは保護自体には賛成的なようだ。

同じ班の顔見知りを見やると、悠も里村先輩も永江先輩も、複雑そうな顔をして相談しているが、唯一天野さんだけは沈黙を守っている。

しかしそんな喧騒もたった一言の言葉によって静まることとなる。

「全員退がれ、私が殺る」

僕が受け止めたブラッドレインに安村生徒会長が異常なまでの殺意を放って近寄る。

今までの優しさは何処にも無く、むしろ別人だと言われた方が納得のいく雰囲気を纏っていた。

「ま、待ってください!新宿で何かあったのかもしれません、それを聞かないと」

「そうです!何か有用な情報が得られるかも知れません!」

「会長・・・アンタ人を殺す気ッスか!?」

「決定権は私にある」

僕達の制止を耳にせず、生徒会長は自らの影を膨張させて一本の巨大な槍へと変化させる。

「なんで!?どうしてそんな事が出来るんスか!?アンタ一体どうしちゃったんスか!!アンタはそんな人じゃない!!私の目の前では一人足りとも死なせはしないって、いつも言っていたじゃないッスか!なのに!!!」

大粒の涙をこぼしながら悲痛な叫びを上げる永江さんの声は、しかし安村生徒会長に届くことはなかった。

それどころかゆっくりと槍を構えて狙いを定める。

矛先は彼女の心臓。その巨大さ故に放たれただけで五体が吹き飛ぶのは明白だった。

「射線上に立つな。君も死ぬぞ、天道寺君」

冷酷に淡々と告げる彼の表情は、ただやるべき作業をこなしている機械のように無感情だった。

そしてどうやら僕は、いつの間にか生徒会長とブラッドレインの間に立ちふさがっていたらしい。

丁度、彼女を槍から庇うように。

「もう一度言う。そこから退くんだ、天道寺君」

再度の警告にも答えない。自分の立つその場所を退かない。

いや、動けないと言った方が正しいか。

別に影の槍に怯えているわけじゃない。

ただ、彼女とヨルムンガンドの真意を知りたいから、ここで彼女を見殺しにしたくないだけだ。

それすらも建前や口実なのかも知れないが、今はどうでもいい。

ただ、じっと、立ってその場を微塵も動かない。

影の槍は穂先をドリルのように回転させ、僕を威嚇する。

その間にも影は一本、また一本と数を増やし、気がつくと十本の影槍が総じて僕等を狙っていた。

「・・・これが最後だ、次はない。そこをどけ」

手を振り上げた生徒会長に、無言で拒絶の意を返す。

それを受け取った生徒会長は冷酷に、あるいは嬉々としてその手を振り下ろす。


「退くのはそっちの方だ・・・クソガキが」


僕と生徒会長を含むその場にいた全員が、突如響いた人ならざる者の声に、再び驚愕し身体を凍らせる。

横になっているブラッドレインの衣服の左袖から、ぬっとボロボロになった蛇鎖が現れる。

突然弱々しく、しかしはっきりと言葉を発したのは、ブラッドレインと共にいたその蛇鎖の精霊、ヨルムンガンドだった。

「君もいたのか・・・だがそんな身体で言われても全く怖くはない。精霊を殺すのはなかなか手間だが、彼女諸共この場で消えてもらおう」

再び影槍を放たんとする安村先輩に、ヨルムンガンドは傷ついた身体に応えないように音量を下げつつ語りかける。

「いいか人間、こっから先はマジでやめとけ。じゃねえと手前ら全員殺されちまう・・・。脅しなんかじゃねえぞ、本気だ。マジもんの「死」がこの先にはある!」

「・・・黙れ。その口を閉じろ、精霊」

それでも彼は口を開く。

「その女を連れて一度テメェらの学院に戻れ!!体勢をもっと整えるんだ!!じゃなきゃあの・・・・・・あのバケモノには、ガッ!?」

不意に言葉が途切れたのは、安村先輩が蛇鎖の頭を踏みつけたからだ。

それでも蛇鎖は口を閉ざさない。閉ざせと言われても開き続ける。

「いい、か・・・お前達だけ、でも・・・逃げろ!シェルターの中、にいる、奴らは、無事・・・ガッ!ガッ・・・お、前達が、なんで来たのかはわからんが・・・・・・今は、退け・・・ガアッ!?アグ・・・ッ・・・!」

ヨルムンが必死に危険を伝えようとしているのは誰の目にも明らかだった。

その態度を見て、先程まで保護に否定的だった面子も少しずつ賛成派に傾き始めている。

「か、会長、どうかその足を・・・」

救護班の三年生の一人が、恐る恐るといった風だがついに生徒会長に意見しようとした。

だが。

「アガァッ!!ガッ・・・・・ギガッ・・・・ッ・・・!!!」

ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンバキッ!ガギッ!

何度も何度も生徒会長がヨルムンガンドの頭部を踏みつけ、踏みつけ、踏みつけ、そして少し下の鎖の一部に狙いを定め、踏み砕く。

狂ったかのように何度も繰り返し、ひたすら相手の沈黙を強いらんと足を上げ、落とす。

「黙れと言っている・・・黙れと・・・・・・黙れとおおおおオオオオオ!!」

痛みに喘ぐヨルムンガンドはしかししっかりとこちらを見据えていた。

だが、その目線さえも生徒会長が恐怖という影で塗りつぶしてしまう。

最後に一際強く踏み潰すと、微塵も動けなくなった蛇鎖から目線を僕達の方に向け、いつも通りの冷静な口調で告げた。

「今聞いたこと、見たことは全て「忘れる」ように。怠ったものには特例処置が施される。これは私の権限による決定だ」

純粋な狂気と恐怖に辺りの空気が凍りつく。


特例処置。

生徒が学院に大きな害をなした際に、反省と見せしめの意を込めて行われる罰則だ。

しかしこれは建前であり本当は学院の意思に背く邪魔な学生及び教師に対して、死よりも恐ろしい罰を与えるものである。

その罰の詳細は「知らされていない」。

逆にそれが未知なる罰への恐怖となって学院全体の人間に平等に振りかざされる。


「忘・・・れ・・・?」

それよりも、僕は今会長が言った「忘れろ」というのが理解できない。

この状況で「見なかったことにしろ」などと言っても結局はみんな覚えているはずだ。

はい忘れましたなんて言っても全く意味のないことは彼も分かっているはず・・・。

それに。

かつて、生徒会長から聞いたことがある。

「特例処置というものがあるだろう?私はあれを好かんのだ。私達はあんなもので縛り合う関係であっては絶対にならない」と。

そう言っていた会長が突如このようなことを言い出す筈がない。

いや、まだ会ってあんまり時間が経っていないのにそこまで信頼するのもどうかと思うが、少なくともあの時見た会長の眼には確固たる決意が込められていた。

「どうした、早くしたまえ。それともここで死よりも辛い目にあうか?」

繰り返し早くしろと脅すが、僕には何を強制しているのかがよく分からない。

天野さんも同様だ。訝しむような目線を辺りに巡らせ、会長の言葉の真意を探ろうとしている。

だが僕達二人以外の全員はその意味を分かっているようで、顔を青ざめてうずくまったり怒りに震えたりと様々な反応を見せている。

「チッ・・・やっぱ、り、テメェ、も・・・か・・・・・・ガッ!!」

満身創痍となりながらも舌打ちし、悔しそうにつぶやくヨルムンガンドが、突如自らが飛んできた方角を見やりカタカタと震えだした。

「遅、かった・・・・・・いや、今からで、も俺、が、なんとか、すれば・・・・・・!!」

「何をゴタゴタと・・・もういい、死ーーーーーー」

そこまで言って、不意に生徒会長の身体が上下に分断された。

斬られた身体からこぼれ落ちていたのは人間の血では無かったのだが、そんな事は僕達にとって些細な事だった。

何故ならその奥にはもう一人、影の刀を持った生徒会長の姿が見えたからだ。

「えっ・・・!?」

「なっ・・・!?」

理解が追いつかない僕達に、生徒会長を両断した何者かが叫ぶ。

「全員撤退だ!!そこの一年はその少女を抱えて逃げろ!今すぐに!!記憶改竄などしなくてもいい!!」

あまりにもぐるぐると状況が変わりすぎて、皆の対応が若干遅れる。

その様子を見やった闖入者は苛立つように、両断された生徒会長のものと全く同じ「影」を触手のように変えて伸ばす。

それは一瞬で僕達の身体に巻きついたかと思うと乱暴に持ち上げ、凄まじい速さで元来た道へと引き戻される。

「説明は後でする!今は一秒でも早く新宿からーーーーーー」

「避けろッ!!」

謎の男の言葉に被せるようにヨルムンガンドが叫んだ刹那、男がその場から後ろに飛び退きその勢いを利用して僕達を投げ飛ばす。

直後、その場に何者かが彗星のように飛来し、次いで鋭い刃のような強風が巻き起こった。

空中で体勢を整え着地すると、さっきまで男がいた場所に立っていたのは、大きな猿に見える奇妙な「なにか」。

「遅かったか・・・」

きしゃり、と足音が鳴り、含む全員がその音の方を見やる。

忌々しく呟いた謎の乱入者は、微動だにせずその場所を動かない。

ヨルムンガンドも動かずにその鋼の目線をじっと謎の「なにか」に向けている。

次第に辺りからそよ風以外の音が消え、まるで時が止まったかのように錯覚したその時。

一人、動いた。

いや、あれを一「人」と言って良いのだろうか。

「黙レ」

ばね仕掛けのように唐突に起き上がると。

「黙レ・・・黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レエエエエエエエエエエエエ!!!」

身体を真っ二つに両断されたはずの安村生徒会長が、突如狂ったように叫び出す。

上下に分かたれてなお動き、獣のように手を地につけ這いずり、血走った眼を大きく見開くその姿は、もはや人間とは形容できるものではなくなっていた。

もしこの世に不死者というものが居たとしたら、それは眼前にいる者のことだろうとさえ思う。

彼の分かたれた半身の両方から血液の代わりにこぼれているのは、ドス黒いと形容してもなお足りないほど黒い、影。

その影は僕達を差し置いて一直線にヨルムンガンドの方へと向かいーーーーーーーーーー間に立っていた「なにか」の身体を貫こうとした刹那、「なにか」の姿が一瞬搔き消えたかと思うと、影の群れは既にバラバラになって落ちていた。

「ダマ・・・・・・?」

壊れた機械のような声が途切れたかと思うと、ついで耳をつんざくような高音の悲鳴が辺りに響き渡る。

「ギーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイイイイイイイイイイイキキキキキキキキイイイイイイイッッッ!」

恐らく痛覚があったのだろう影を全て斬られ、その身を襲う激痛にのたうちまわりながらも彼は一点を見つめる。

その表情は恐怖によるものなのか、それとも狂気のあまり何も理解できなかったのか。

振り下ろされる爪を見ながら、彼は今度こそその生命活動を停止させた。

「あ・・・あ・・・」

掠れた声のした方を見ると、真っ青な顔の天野さんが、信じられないものを見たかのように細かく震えていた。

「くそ・・・ッ!」

声を押し殺しながら毒づいたのは、今僕達を捉えている影の主。

安村生徒会長と同じ姿をした彼が毒づいたのは、目の前で朽ちた生徒会長だったものに向けてではない。

その犯人がこちらを再び睨みつけていたからだ。

気づかれた・・・認識されたーーーーー!!

遅れて僕もそれを悟り、同時に理解する。

ヨルムンガンドのが告げた危険の正体。

死神ブラッドレインにここまで深い傷を負わせた犯人。

それの目線は僕達をじっと見据え、その口を嗜虐に歪ませる。

まるで、欲しかったおもちゃを与えられた子供のように無邪気に。

まるで、欲しかったコワスモノを与えられた魔獣のように。

そして、最後に僕達ははっきりと理解した。


こいつは、「死」そのものなのだと。












「それ」に呼び名があるとすれば、恐らく「死神」がふさわしい。

死神と呼ばれる彼女をも負かした彼こそが 、真に死神と呼ぶに相応しいだろう。

だがもし「それ」にまともな感受性があったならば、「それ」は決してその呼び名を受け入れない。

ならば、「それ」の名は。

いつから「それ」が自覚したのか分からないその名は。

かつてとある国の大都市を恐怖に陥れた、世界であまりにも有名な殺人鬼。

「それ」はいつからこの名前を覚えたのだろうか。

ひょっとしたらその大都市を再び半壊させた時に覚えたのかもしれない。

人を食べた時、街を歩いた時、初めて霧を出した時、そして初めて女を殺した時。

「それ」の潜在意識に植え付けられたその名前は、ある種の呪いとなって「それ」に囁きかける。

ワタシの名前を引き継いで。

ワタシの望みを叶えて。

アナタにワタシのチカラをあげる。

だから、ワタシの代わりに、女を、女を、

コロシテ。

コロシテ。

コロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテ!!!!!

だから、「それ」は殺す。

このノイズから解放されたいから。

だから、「それ」は殺す。

その先にある快楽を感じたいから。


だからそれは、自らの眼前に立ち並ぶ獲物に対して、ささやかな誇りと絶対の殺意を込めてこの名を告げる。


英国の最大の罪と死の具現。


人類史において大きな謎を孕みし殺人鬼。



その名は。



「ワタシはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーージャック・ザ・リッパー。」

あとがきとなります、オルタです。

聖戦学院19話、如何でしたか?

前回ブラッドレインを圧倒した彼の名前がようやく出せました!

世界で最も有名な殺人鬼の一人といっても過言ではないあいつです。

勿論本人というわけではありません。そこらへんの深いところもおいおい説明が入りますのでお楽しみに!


本編の方では生徒会長がフレ/ンダよろしくぶった切られたわけですが、最初はその予定はありませんでした。

ただ彼の能力上こういった展開の方が良いかな?と思い急遽設定ごと差し替えたわけですが・・・矛盾が起きないようにしっかりと過去話の確認はとっています!


さて、新宿編と言いつつまだまともに新宿の中書けていない!という状況ですが、どうかご愛読下さると嬉しいです!

願わくばまた次回!オルタでした。

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