第17話:遠慮《ドレスアップ》
都市ポーリに戻ってまず宿を探す。とりあえず金に糸目は付けず風呂がある所に向かう事にした。
なにしろもう二日も風呂に入っていない。さすがに元は先進国日本に住んでいた者としてはこれ以上は我慢できるものではなかった。
恒例の加護のナビで道の開けた場所に出ると呼び込みをする声が聞こえてくる。
「いらっしゃいませ~。今夜はうちに泊まって行かないか~い。晩御飯が付いて一泊銀貨1枚!部屋にお風呂もあるよ~。」
熱心に声を呼び込みをしているこの宿の看板娘であろう女の子に声をかける。
「二人で五泊、晩御飯付きでお願いします。」
「はいはーい。二名様ごあんなーい。お客さん部屋は一緒にする?一緒にするなら一泊半銀貨1枚安くなるけど。」
「あ~、別でお「一緒でお願いするです!」」
そこまで金に困ってないし別々の方が良いだろうという配慮をしたが隣のティアが否定の声をあげてくる。
「かしこまりました~。部屋は306号室ね。晩御飯はもう食べれるけど遅くなり過ぎると食べれなくなるから早めに食べてね~。」
そのまま看板娘(仮)は奥から鍵を取ってくるとそのまま渡してくる。二の句も言えずに代金を払い部屋へと向かう。
部屋の中は綺麗に清掃されベッドが二つに簡単なお茶請けの付いたテーブルとソファとこれに風呂まで付いてくる。なるほど確かに前のボロ宿の5倍の値段というのも頷ける。
ソファに座りつつティアにさっきの事を聞いてみる。
「どうしてわざわざ一緒の部屋にしたんだ?」
「えっと…そもそもティアの為なんかにこんな高い所に泊めて貰う事事態畏れ多いです。」
「いや別に仲間なんだから気にするなよ。」
(今後も一緒にいるだろうし。)
「…あと、その。まだ一人でいるのは…寂しいです。」
ティアは目をそらしながらそう付け加えた。
(まだ親が死んで数日だろうしな…なるべく一緒にいてやるか。)
「そうか。」
一言だけ言って頭を撫でてやる。
「そんじゃ俺は風呂入ってくるから。」
一通り撫でてから風呂に向かった。
「はっ、はいです!」
やはりこの世界には液体石鹸はなく、固形石鹸だけだった。
♢♦♢♦
ティアも風呂に入った後、一階で飯を食べそのまま冒険者ギルドに向かう前に服屋に足を運ぶ。
チリンチリン
「いらっしゃいませ。どの様な服をお求めに?」
服屋に着くと髪をきちんとセットした女性が接客にあたる。
「自分とこっちの子に動きやすい服をそれぞれ二着ずつお願いします。」
「へっ?」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
店員はそう言うと服を探しにいった。
「あのティアは別に…。」
「でもお前今着てる服ボロボロだろ。」
そうなのだ今は着ているローブで隠れてはいるもののティアが現在着ている服は森で出会った時からの物でかなりボロボロだ。
かくゆうカゴも安物の布だったのかこの世界に来てから着ている服は激しく動き回った性か布がほつれている。
「まあ気にするな、どうせそんなに高くない。」
「…は、はいです。」
どこか釈然としないといった風だが一応は納得してくれたらしい。
「お待たせしました。こちらなどどうでしょう。」
店員が持ってきた服はカゴのは黒と白の質素ではあったがデザインはなかなかの服が二着、ティアは紅色と緑を基調にした可愛らしい服が一着ずつだった。
「デザインも良いですしサイズも問題なさそうですね。それに肌着も二着ずつ付けて貰って会計をお願いします。」
どうせティアに聞いてもまた何か言い出すと思い、さっさと会計をすます。
「かしこまりました。こんなに買って頂けるのでさたらサービスさせていただきまして銀貨1枚に半銀貨5枚でどうでしょう?」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて。」
お金を払い、ついでに着替えさせてもらってそのまま店をでる。
「またのご来店をお待ちしております。」
♢♦♢♦
冒険者ギルドに向かう道中、隣で歩くティアに目を向ける。
着替えの時にローブを脱いだままなので服は見える。宿で風呂に入ったおかげで白いもち肌になり、セミロングの茶髪も艶が出ている。服はさっき買ったばかりの紅色の物で彼女に良く似合っている。
自分も風呂に同じく入ったというのにここまで変化に違いがあるものかと思ってしまう。
すれ違ったオバ様方が「可愛らしい子ね~。」と話しているのを目にするが、たまに良からぬ目をする男連中がいるのは問題だ。
(まあ、ちょっかいかける気なら一生後悔させてやれば良い。)
「あのカゴ様、どうかされましたか?」
どうやら見ていたのがバレたらしい。
「いや、何も。」
(それよりどうするかな…コレ。)
ゴブリン討伐 討伐数212
ゴブリンジェネラル討伐 討伐数7
オーク討伐 討伐数59
ハイオーク討伐 討伐数6
自分のギルドカードを見ながらキリアの機能停止をまた見なければならないのかとため息を溢す。
どうも読んで戴いきありがとうございます。
実はこの物語最終話までのだいたいの内容は固まっているのですが山場の話に行くまで長すぎて良い感じの間話が思い付いてないという感じです。
なのでもしかしたら今考えてる別の物語(学園召喚物)を載せる可能性がありますのでご了承下さい。
あ、あと前回の話が個人的に面白くなかったので削除もしくは大幅な書き直しがあるかもしれません。