第15話:虐殺《イミテーション》
「このくらいで良いか。」
ポーションが一杯になったのと錬金術がLv2になったのを確認した後、入れ物に蓋をしてこぼれない様に溶接する。どうせ土製だ、簡単に取り出せる。
丁度自分が昔やった火柱の様な物を頭上に上げているティアを眺めつつ自分も魔法に移行する。
今まで加護が使った精霊魔法はそれぞれ火、水、風だけである。魔導師ギルドの時、全属性の精霊を防御壁にしたがそれでは今後に差し障る。
(精霊にはどんな属性がある?)
─火、水、風、木、地、雷、光、闇、無に別れており最上位の精霊の中に稀に混沌があります。─
「木の精霊様、今ここに大いなる力をお示しくださいませ。」
そう言うと目の前の土が盛り上がり芽が出て一気に成長し根を張りながら巨木になる。
「雷の精霊様、今ここに大いなる力をお示しくださいませ。」
目の前の巨木を裂くようにして雷が天上より落ちる。20mに及ぶかと言う巨木は中心からぱっくりと割れ圧倒的熱量により割れ目から燃え盛り、焦げ臭さを回りに与える。
「地の精霊様、今ここに大いなる力をお示しくださいませ。」
火の勢いが増し、近くの木に燃え移ろうとする割れた巨木に周りの土が波のように襲いかかり、木と火を丸ごと飲み込む。
(単純な語りかけだとこんなもんか。あと光、闇、無があるがそこは追々だな。あとは)
「水と火の精霊様、流体を冷却し大いなる力をお示しくださいませ。」
他の木なども巻き込んだ土の山は一瞬にして氷の凍てついた世界へと化す。
「こんなことも出来るかなっと。」
山を飲み込み終えた氷はそのまま体積を上へと増やし六角形のクリスタル、単結晶の立派な氷像を形作る。
「やっぱり火の精霊には熱を下げる能力もあったか。」
出来た氷像を風の精霊魔法で粉々にして後は自然の力で融解するなり蒸発するなり任せる。
「おーい、ティア。」
そんな天変地異さながらの現象を起こしながら、先程から勢いが止まらない魔法の成長をしている少女を呼ぶ。
呼び掛ける直線、災害の様な竜巻が巻き起こるも逆回転の風を起こして周りの被害を抑えていたりもしていたが気にしない。
「はっ、はいです!」
「魔法のぐあいも確認できたみたいだし次は実践だ。」
「解ったです。」
こちらの呼び掛けに気付いて従順な犬の様に急いで駆け寄り元気な返事をする。
「それじゃああっちだな。」
加護で確認しながら近くにいるゴブリンの集団に向かう。しばらく進むと6体のゴブリンが視認できる。
「あそこにいるゴブリンを倒してみろ。火は森に燃え移るから厳禁な。」
「はいです。」
声を潜ませながら会話をするとティアが少し前にでる。
「水、水…、熱を下げて…。」
目を瞑りながら意識を集中させるとティアの周りには氷の礫が無数に出現する。
(なっ!こいつ俺の見てやり方覚えたのかよ…流石は"賢"者と言う所か。ちょっと腹立つな。)
氷の礫は一気に加速し一体のゴブリンに風穴を空ける。
「Gyagya?!」
直ぐ様仲間の異変に気付くが遅い。用意されていた他の氷の礫も一斉にゴブリンに空洞を作っていく。
「Gog─」「Gy─」
完全に声を上げる前に全てのゴブリンを死に追いやった。
(やっぱこんな世界だと小さな女の子でも生き物殺すのに抵抗感はないもんなんだな。)
「ていうかティア?超エグいんだけど。」
討伐…いや一方的な虐殺を終えた惨状を見るとそこには穴、穴、穴、穴、穴、穴、穴、穴、穴、穴。無数の穴が小さい体躯のゴブリンに空いていた。勢いが強かった性か中身や血は見た目の割には余り出ていない。
「い、いやこれはその…。」
「それとさっきの俺の奴から見て盗んだろ?」
「いえ、その、カゴ様がやってるの見てカッコいいなと思いまして…出来るかな?と思ったらその…できたです。駄目だったです?」
怒られたと思って不安そうな目をする少女が面白くなってきたので笑いながら頭を撫でて元気付ける。
「はは、いや何、流石はティアだな。これからも色々できる様になってくれ。」
「はいです!」
その後、ゴブリンの魔玉を回収しようとしたら全員さっきの攻撃で破損していた。
「手加減は覚えような?」
「…はいです。」
どうも、いつもいつもカゴの名前が加護とかぶって面倒くさいなと思いつつ、いや私はこれが良いんだ!と面倒な性格をしている作者です。
実はさっき確認したらこの作品が評価されてまして夜中にも関わらず声を上げそうになりました。
ありがたい事です。今後もこれを動力元にして頑張りますので応援よろしくお願いします!
…それと大学前期試験のある25日前後はほぼ100%投稿が滞ってしまうと思いますが、ご了承下さい。