第13話:火球《アブノーマル》
「それじゃあティアの訓練を始めるぞ。」
「ティアの特訓です?」
ティアが項垂れていた顔を上げて問いかける。
「ああそうだ。賢者と言っても最初から強い訳じゃないだろ?取り合えず、魔眼で自分のステータス見てみろ。」
ステータス
名前:ティア
種族:獣魔族
筋力:F 敏捷力:D 精密力:E+ 動体視力:D 魔力:??
職業:賢者
【スキル】
赤魔法Lv1
青魔法Lv1
緑魔法Lv1
紫魔法Lv1
白魔法Lv1
黒魔法Lv1
精霊魔法Lv1
死霊魔法Lv1
結界魔法Lv1
抽出魔法Lv1
召喚魔法Lv1
古代魔法Lv1
魔力操作Lv1
索敵
伝心
教授
伝承
魔眼
知識の書庫
【加護】
なし
【オリジン】
時空魔法Lv1
「すっ、凄いです…ティアが、ティアが魔法をいっぱい覚えてるです…。」
(やっぱ魔導師ギルドの時の事気にしてたのだろうか。)
目をキラキラさせながら自分のステータスを凝視しついるティア。しかし急に顔が困惑に変わる。
「じゅう…ま、ぞく?」
自らの種族の項目で目が止まり、困惑が益々強くなっていく。
「…獣人と魔族のハーフだそうだ。」
「そんなことがあるですか!?」
(俺に言われてもな…。)
自分の出自を聞いて驚愕を顕にする。
「でも…少し納得です。母様は父様の話をあまりしてくれませんでしたし、獣人のはずのティアが賢者になれるわけないです。」
少し落ち着いたのか過去を振り返るティア。
「それでティアは何か思う所でもあるのか?」
魔族は他の種族から忌み嫌われており、魔王までいるという。ティアがどう思うかは解らない。
「…別にないです。びっくりしたですけど、ティアは山暮らしでしたから魔族が嫌いとかないです。それに…半分魔族のおかげでカゴ様のお役に立てるです!」
ティアはそう言うと顔を上げてそう答える。
「そうか。なら特訓をするぞ。」
「はいです!」
最初は驚きはしたもののティアの顔には苦悩などの感情はなかった。
「とりあえずティアには色魔法とオリジンを中心にレベルがある奴のレベル上げをして貰う。」
「色魔法とオリジンですか…オリジンは一体どんな能力か解らないです。」
(そっか魔眼は異世界からの祝福と違って詳細は分かんないのか。)
「ティア、あそこに見える折れた木があるだろ?あそこに移動したいって念じてみろ。」
ティアが起きる直前にオークが薙ぎ倒した木を指差しながら言う。
「分かったです。」
むむむ、と声が聞こえそうな程木を見つめて唸るティア。するとまるで神隠しにでもあったかの様にその場から消え失せた。
「カっ、カゴ様~!」
すると先程自分が指差した木の横にティアは立っていた。
(便利だな~時空魔法。)
時空魔法:時間と空間を操る魔法。
Lv1ダイレクト:見えている場所や思い浮かべた場所を繋げる。扉の様に繋げたり、そのまま移動することも可能。
自分の居る場所に近くにあった木の枝を地面に突き刺した後、ティアの居る場所に行く。
「どうだった?」
「すっ、凄いのです!凄いです!!気付いたら此処にいたです!!」
興奮気味に言うティアに微笑ましい物を感じながらも次の指示をする。
「そんじゃティア、さっき俺達が居たあそこに木の棒が刺さってるだろ?今度はあれを見ずに頭の中で思い出しながら移動してみろ。」
すると今度は目を閉じた後すぐに先程の場所に瞬間移動すると一瞬でこっちに戻ってくる。
「凄いな。」
そう言いながらティアの頭を撫でると嬉しそうな声をあげる。
「よし次は色魔法だ。取り合えず赤魔法からいってみるか。」
自分の能力に興奮して止まらないティアに次なる指示をだし、一端止める。
「は、はいです!ファイヤーボールの詠唱なら知ってるです。」
(詠唱何てあるのかよ…記憶力の低い俺には無理だな。けんちゃんなら楽勝だろうけど。)
「すぅーはぁ。…火よ我が手に集えファイヤーボール!!」
両手を前に翳して詠唱をする。取り合えずの練習なので魔法の杖は使わない。
詠唱を言い終えると掌から直径10mはあろうかという火の塊が出現する。
(俺の知ってるファイヤーボールじゃねぇ。)
今回は短めになりました。