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第10話:発見《サーブ》

 そうこう考えていると部屋に着く。

「それでは神水晶に手で触れてください。」

「は、はいです!」

 神水晶に触れるティア。その姿はさっき程の爆発を思い起こさせる。


(見てるだけだと何も起こった様に見えないが…。)

 その考えを裏切るように突然神水晶に変化が起きる。

 ポーンポーンポーンポーンポーン

 急に神水晶から音が鳴り出し、赤、黄、赤、黄と色を変化させながら光りだした。

「っ!?ギルド長を呼んできますので少々お待ちください!」

 変化に対して驚きながらも部屋を出ていくキリア。面倒な事になったんだなと諦めにも似た感情を胸に抱きながらその姿を見送る。


「ティア、何か頭に文字みたいなのが流れてないか?」

 状況について行けずキョロキョロと辺りを見渡す不安げな少女に声をかける。

「はっ、はいです。一つだけ頭の中に文字が浮かび上がってるです。」

(職業候補は一つだけか。)

「なんて書いてある?」


「【賢者】って書いてあるです。」


(なるほど、逃げ出したい。)

 賢者とは以前加護に聞いたSランクの職業である。そしてSランク以上の職業が発現した場合、"国に報告する義務"がギルドにはあるのだ。


「カゴ様…賢者ってあの賢者様の事です?どういう事なんですか…?」

 どうやら自分がその職業になれる事を認識していないらしい。

(ていうか賢者って有名らしいけど何だ?)


 賢者:あらゆる魔法を使いこなす職業。スキル『魔眼』『知識の書庫』、そしてオリジンを一つ得る事ができます。


「ティア。お前は今日からその賢者様だ。お前は賢者になる素質があるってことだ。さぁなろう。すぐなろう。」

「へっ?へっ!?」

 どうやら言われても理解まで追い付いてないらしい。

「驚くことはない。ティア、お前は天才だとさっき言っただろう?だから騙されたと思ってなってみよう。」

(オリジン!オリジン!)

 先程までの逃げ出したい衝動などすっかり忘れて賢者になるように薦めだす。頭の中はどんなチートが生まれるかだけが占めていた。


 片言の様に賢…者…賢者…と呟きながら少女は淡い光に包まれていた。

 どうやら職業に就くことに成功したようだ。ステータスにも賢者と書かれている。


 コンコン

「失礼します。」

 そんな怪しい勧誘染みた光景が終わるとキリアが戻ってきた。

「邪魔するぞ。」

 キリアの後ろには立派な白髭に服では隠しきれない数多の傷を持った老人が現れた。一目でただ者ではないと解る。


 ステータス

 名前:ゼコーズ

 種族:人間

 筋力:B- 敏捷力:C- 精密力:E 動体視力:C 魔力:F

 職業:重戦士 英雄

【スキル】

 剣術Lv7

 盾術Lv6

 斧術Lv4

 格闘術Lv6

 聖武術Lv2

 魔武術Lv1

 索敵

 鑑定

 解放

【加護】

 なし

【オリジン】

 なし


(ダブル持ちの英雄様ね…。)

「お待たせしたした。こちら我が都市ポーリの冒険者ギルド長、ゼコーズさんです。」

(ここって都市ポーリって言うんだ…。村なんかにしては栄えてるはずだ。)


「初めまして、カゴと申します。こっちはティア。」

「はっ、初めましてです。」

 やっと戻ってきたようだティアは慌てて返事をする。

「おお、お前が期待の新人か。よろしくな。で、そちらがSランク以上の職業を出した少女か。」

 こちらの実力を測る様な目線を送るゼコーズ。カゴは笑顔で、ティアは狼狽で返す。


「ふむ…成る程な。それでどの職業が出たか教えてくれるか?」

 拒否はできない。ここに来る前にサインした書類に話さなければならないという記述があったからだ。

「賢者ですね。」

「なんと!18人目の賢者かっ!!しかも獣人とは…長生きすると何があるかわからんもんじゃわい。」

(やっぱ獣人の賢者とか規格外だろうな~。ていうかSランクって言う割には18人もいるのか。)

 ─過去から現在までに確認されているのが18名ということです。現在ティアさんを含め3人います。─

(ごめん訂正。凄すぎるわ。)


「それで新たな賢者殿はどうなさる?」

 少しゼコーズの喋り方が畏まる。それだけ賢者という職業が強大なのだろう。

「えっと、どうとはどういうことです?」

「いや何、Sランクの職業を持つ者は国から保護される事ができるんじゃ。その場合多額の謝礼金が送られる代わりに国に従事する必要があるがな。」

(つまり国が後ろ楯になって金やるから国のために働けって事か。)


 二人の会話には口を挟まず様子を見守っていたが、ティアはどうしたら良いか解らないのかこちらを見つめている。

「ティアの好きにすれば良い。」

 そう言うとティアは下を向いて考え出した。

「…もし国に保護された場合、ティアはどうなるです?」

「その場合、基本王城に住んで活動することになるな。賢者殿はまず魔法を使いこなす為に高位の魔法使いによる教育で教養を身に付ける事になるだろう。」

「…ティアは国の保護をうけません!カゴ様にお礼を全然できてないです!」

(どうでも良いが語尾のですは絶対じゃないのか。)

「本当に良いのか?俺は気にしないぞ。」

「ティアはカゴ様の為に働きたいのです!」

「そうか。」

 ティアが良いならそれで良いだろうと思い結論づける。


「坊主、賢者殿を従えるとはどんでもない奴じゃな。」

「いえ、ただの偶然の産物ですよ。」

(あまり注目されずに過ごすのはもう無理っぽいな。)

「はは、よし解った。国への報告はさせて貰うがもう行って良いぞ。」

「それでは失礼します。」

「はっ!失礼しましたです。」

 あまり長居しても良くないと判断し、そそくさと出ていく。追いかけるようにして遅れたティアも部屋を出ていく。


「奴は間違いなく化けるじゃろうな…。」

今日は順調に行け23時に第11話を投稿します。

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