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第1話:序章《エピローグ》

(白だ。ビックリするぐらい白だ。)

 目が覚めたら目の前は明らかに雲ではないただただ白い空。いや、もしかしたら天井かもしれない。その場合途方もない程高い天井だが。


(とにかく、現状把握のため起き上がるか…)

 身体を起こすと、白。

 無限に続くと思う程の白い空間が続いている。右を見ても白。自分が座っている場所も白。


(何なんだ…、ていうか気持ち悪い…。)

 余りにも真っ白な空間、境界面がなく何処までも白い空間に吐き気を催す自分。思わず目を詰むってしまう。


「やあ、現状確認中かな?」

「っ!?」


 後ろから唐突に聞こえる声に思わず肩を震わせ振り返る。そこには端正な容貌をした8歳ぐらいの男の子が胡座をかいて微笑んでいた。


「あらあら、まだ理解してないのかな?」

「…あー、うん。まぁ、えっと」


 普段は隙などみせない自分が見に見えての狼狽。しかも明らかに年下の前で。


「あ~、じゃあ取り敢えず礼儀正しく挨拶から。ごほん。どうも神様やってるアッラです。」

「…。」


 数秒固まる自分。数秒にも満たない思考タイム。直後姿勢を正す。


「初めまして。いつもお世話になっております。枝西佳護(えにしかご)です。」

 これに面食らう自称神。

「まさか状況を理解している訳でもないのに信じてくれるとはね。嘘だとは思わないの?頭可笑しい人の戯言かもしれないよ?」

「現状を鑑みるに人間の常識を超えております。もしできたとしても私に此処まで大掛かりなドッキリの様なことをする人物を思いつきませんので。」


 ここでまたしても面食らう神アッラ。しかし直ぐにニヤリと見た目も相まってイタズラ小僧の様な顔をする。


「いやいや、調べてみて悟い人の子だとは思っていたが予想以上だ。いやはや僕のミスで実に惜しいことをした。これが人類の損失という奴か。ところで何でそんなに畏まった話し方なの?普段はそんな喋り方じゃないよね?」

「お褒めに預かり恐縮です。この喋り方はあなた様が神様だということが嘘偽りでないと信じ、敬う相手だと判断したまでです。…僅かに落ち着かない心を落ち着かせるという目的もございますが…。」


 ますます顔をにやつかせる神。自分が此処に呼んだ者でここまでの逸材がいただろうか?否、決していない。

 そう思う程、自分の犯したミスが重大な物だと思いしらされる。罪を償いたくとも自分は神、裁ける存在など居はしない。

 その時、早々に考える事を放棄した枝西佳護は神様って日本語なんだなー。と考えていた。


「ご丁寧にどうも。正直な所もポイント高いよ。でもそんなに畏まらないで欲しいな、僕の性で君に迷惑かけちゃったんだから。」

「というと?」

「君、終業式の後何をしてた?」

 その瞬間、思い出す─────




「あー、やらかした。」

 それに気づいたのは放課後になって県立図書館にて面白そうな本がないか探していた時である。

 家に居ても母親がぼーっとテレビを見ているだけなあの空間に居ても何もする事がないため自分が晩ごはんを作る時間になるまで図書館に籠るのが小学校一年生の時からの平日休日関係なくの日課である。

 現在中学一年生、本当にやることがないんだなと自覚する。まあ楽しいからいいか、とさっき気付いた忘れ物を取りに行くことにする。


 枝西佳護はボッチである。中学生になって早8ヶ月、今だに友達ができない。小学校の時はけんちゃんという友達がいたが、けんちゃんは私立に進学。所為ボッチ状態である。

 別に佳護の性格に問題があるわけではない、問題は見た目だ。

 目付きが鋭く、気の弱い人は怯えてしまう。たが、それは一要因でしかない。

 問題は身体中、顔や腕などに見られる殴られた痕である。誰も自分から見るからに危険地帯な場所に突っ込まない。教師ですらそうだ。腫れ物扱いであった。


「まさか、終業式に手提げを忘れるとは…」

 基本的にしっかりしている自分がこんな失敗をするとは、しかも終業式に。

 そう思いながら自分の教室にたどり着く。だが終業式の日でしかも放課後になって大分経っているのに声がする。


「…っせぇ!」

「ゴふっ」


 微かに聞こえる声からあまり明るい雰囲気ではない。扉の窓から見ると知らない生徒がクラスメイトを蹴っていた。

「なるほど。よし。」

 見るに苛めの現場に出くわしたようだ。蹴っている生徒はおそらく上級生、正直なぜこんな状態なのか分からないが迷惑極まりない。他所でやれ。

 ガララ

 驚いた顔をする中にいる二人、こっちを見るなり一人は落胆一人は嫌な笑みを浮かべる。


「あー、先輩。何が有ったか知りませんが、ていうかどうでもいいけど、うちのクラスでみっともない真似しないでくれませんか?」

 完全なる煽りである。これにまたしても二人とも驚いた顔。次の瞬間一人が怒りの形相でこっちまでくる。

「おい一年、お前何様な訳?」


 後ろのもう一人に目で合図して逃げるよう促す。しかし傷の痛みで殆ど動けないっぽい。

「何、無視ってんだよ。」

 クラスメイトの傷はかなり痛そうだ。上級生は先ほど以上の形相で俺の胸蔵を掴み、さっきまでクラスメイトがいた窓際まで押さえ付けられる。


「お前、ただで帰れると思うなよ。」

「さっきからセリフが小物臭いですね。先輩。」


 瞬間、思い切り殴られた。背中に窓についてる落下防止用のレールにあたる──がそのまま外れて勢い殺さぬまま空いていた窓から落ちた。

「はっ?」

 身体が空中に放り出され、すぐに重力が降ってくる。

 殴った上級生がニヤついてるのが見える。少しずつ、だが確実に景色が変わっている。


(───あぁ、死ぬのか)

(さっきの奴大──ネ丈夫かな怪──ロス我手当─ブスてやりたかっ──モカモたな。話したことなかったけどちょ─キエロ─っと心配───)





 ─────そこで意識が飛んだはず。

「つまり、私は死んだのですね?」

 自分に降りかかったことを思い出す。まさかこの年で死ぬとは思わなかったがそれなら目の前に神がいるのも納得だ。


「んにゃ。死んでないよ?」

 まさかの否定、なら何故自分は此処にいるのだろう。ていうか頭からいったと思ったがよく死ななかったものだ。


「落ちる寸前僕が、人形と君を入れ換えて此処に呼んだからね。」

「人形?」


 人形なんかで人の死が偽装できるものなのだろうか。


「まぁ、あらゆる神話の最高神たる僕が造った人形だからね。魂が入ってないこと以外普通の人間と変わらないよ。」


 成る程、神話では人間は泥で造った人形というのを本で読んだことがある、神様なら簡単に造ってしまうだろう。


「なぜ、その様な手間をされたのですか?」


 またまた驚いた顔をする最高神様。


「君は本当に面白いなー。死にたかったのかい?」

「いえ、人が死ぬ度そのようなことをするとは思えないので何故自分だけこのような措置をとったのか気になりまして。」

「正に、その話が今回の肝でね。さっき僕があらゆる神話の最高神って言ったよね?僕はそれ故に存在する全ての世界の調整役なんだ。君は本当は80歳まで生きる予定だったけど原因不明の不具合で先の件さ。正直対処が間に合わなくてこの様な処置になった。本当にすまない。」


 そう言うと深々と頭を下げる神様。

 今日色々あったが自分が80歳まで生きる予定と言われたことが一番驚きだった。絶対早死にするタイプだと思ってた。


「でも助けてくれたではないですか。ですが人形と入れ換えたというこは私は元の世界に帰れないんですよね?」

「そう言ってくれると助かるよ。君の考えてる通り悪いけど君を帰してあげれない。勝手で申し訳ないが色々と不都合なことが起きるからね。」

「別に大丈夫ですよ神様も色々と大変なんでしょうし。それでも助けたってことは何かあるということですよね?」

「ああ、ここからが本題と言ってもいい。君、異世界に興味ない?」

「…!!」


 さっきから気になっていたセリフがあった。神様は「存在する全ての世界の調整役」と言っていたということは異世界があっても不思議ではない。

 そして佳護は毎日通っていた図書館でライトノベルもかなりの量読んでいた。


「まさか…。」

「そう!君の世界は文明が進みすぎて戻すと色々と厄介だけど、君を送りたいのは剣と魔法、人間以外の種族や魔物もいるファンタジー世界!!」


(ヤバい、凄く面白そうだ。元の世界に帰るよりよっぽど魅力的だけども心残りが一つ…。)


「家族のことかい?」


 やはり神様、喋ってもないのに自分の内心を言い当てられてしまった。


「言い方は悪いが君の家庭は破綻しているよ。両親二人とも君を守り育てる所か依存してる。13歳の子供の家庭としては間違ってると僕は思うよ。」


 まあそうだろう。自分でもあれは破綻していると思う。


「確かに母親はいつもテレビをぼーっと見てるだけで昼御飯も私が作りおきしておかないと食べないし、父親は基本的に優しかったけど急に殴りだしては終わると泣きながら謝ってくる訳の分からない家庭と思いますけど、やっぱり家族なんですよ。異世界に行く代わりと言ってはなんですが、たまにで良いので見守って頂けませんか?」


 神様は微笑みを浮かべる。


「君は実に死ぬには惜しい人間だよ。分かった。ずっとは無理だけど出来る限りのことはしようじゃないか。さて異世界に行くにあたって欲しいものはあるかね?」

「欲しいもの?」

「ああ、欲しいものと言っても物体はあげれない。そもそも此処には物がないからね。君みたいに異世界に行った人は最強の魔法の力をよこせーとか、絶対無敵の鋼の肉体をよこせーとか言ってきたよ。」


 言われて周りを見る、確かに何も無さそうだ。

 それよりも、

「私みたいな人が他にも?」

「あはは、君みたいに原因不明の不具合っのは200年に一回ぐらい何故か起こるんだよねー。でも君みたいに理解が早くて落ち着いてる人間は一人も居なかったよ。大抵混乱に陥ったり怒鳴り出すからね。」


(確か昔読んだ本に5秒に9人死ぬって書かれていたから9×12×60×24×365×200でだいたい113億5296万分の1人に選ばれたのか俺。)


「ならその世界の情報を下さい。」

「情報?」

「はい、その世界で今後生きていくならその世界の常識や知識はお金に変えられないぐらい貴重です。」

「アハハハハ、君はやっぱり最高だ。」


 その後、色々な事を教わった。

 これから俺が行くのはエーナスという名前の魔物がいるライトノベルとかによくある剣と魔法の世界、エーナスには人間・獣人・エルフ・ドワーフ・魔族の五つの種族に別れており、世界の4/5は人間で人間、獣人、エルフ、ドワーフは四大国と小国に、魔族は東の果てに一つの国に住んでいる。魔族は他種族と敵対しており魔王なんかがいる。ついでに人間側にも勇者がいるらしい。

 エーナスにはステータスと呼ばれるものがあり普通は見ることはできない。筋力、敏捷力、精密力、動体視力、魔力がステータスに存在して0という意味のG~A,Sと続く、+が付いていると成長しやすく、-が付いていると退行しやすい。

 職業と呼ばれるRPGの僧侶や魔導士などのような物があり人によってなれる物が違う。ギルドや教会でなることができる。

 他にもステータスは【スキル】【加護】【オリジン】の三つの能力があり、

 スキル:才能、もしくは努力で誰でも得ることができる能力

 加護:身体能力の補助や特異な力を得るなど様々。

 オリジン:その者独自の絶大なる能力。

 とこんな感じだ。

 通貨は

 銅貨

 小銀貨(=銅貨10枚)

 銀貨(=小銀貨10枚)

 金貨(=銀貨10枚)

 白金貨(=金貨100枚)

 銅貨1枚で安い堅パン一つぐらい。普通の宿一泊で小銀貨3枚程度。日本円感覚だと銅貨1枚で100円かな。


「こんなものかな?」

「はい、だいたい聞きたいことは聞けました。あとはその場その場で何とかしてみます。そういえば言語や読み書きはどうすれば良いでしょうか?」

「あー、それじゃあそこら辺の知識なんかも込みで何とかしとくよ。」


 何とかと言われても釈然としないが、神様本人が言うのだから間違いないだろ。


「あと、本当に何かいらないの?何でも言ってみてよ僕にも出来ないことはあるけど。」

「えっと…、ならエーナスの人より身体能力が劣っていると思われるので鍛えた分だけすぐ成長したりできると助かります。」

「ふむふむ。」

「あと、できれば魔法も使ってみたいです。」

「オッケー了解。」


 どうやら全然許容ラインだったようだ。ちょっと欲張り過ぎたかなって思ったが大丈夫そうだ。


「あの神様にも出来ないことって何なのでしょうか?」

「ん?そうだねえ、僕は身体能力ぐらいなら自由に弄れる。例えば運動する時良く解らない動きをするトロい子がいるだろ?でもどんなに身体能力を高くしてもその子はトロいままなんだ。どんなに身体が凄かろうと結局は使う人の才能や性質に依存するってことさ。」

「成る程。」


 これはどの世界で生きていようと、もしかしたら重要なことかもしれない。


「もう大丈夫かな。なら早速行くかい?人目は避ける必要があるけどある程度なら飛ばす場所を選べるよ。」

「なら、差別が少なくて治安が良いところが良いですね。」

「了解。ならティファーシ王国に飛ばすね。」


 神様が言い終えると身体が急に光だした。多分移動の準備をしているのだろう。


「あ、そうそうエーナスには神や神獣とかいるから気をつけてねー。」

 …そういうのはギリギリに言わないで欲しい。

 何だか光が強くなる度だんだん眠くなってきた。

「あと、もう一個!その力僕にも有効だから使────


 完全に眠りに落ちた。

どうも初めてまして神無です。

この度は読んで下さってありがとうございます。

一度創作活動をしてみたかったので思いきって書いちゃいました。

ガチルーキーなので誤字脱字や意見などございましたらお教え下さい。ただペースの変更などは難しいです。それと魔物の名前や特徴を教えてくれると有難いです。

それでは次回もお時間があればお読み下さい。

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