ランドバイソンVSバトルコング
遼太郎とグレースの搭乗する鋼鉄の雄牛と、アントニオの搭乗する鋼鉄のゴリラがお互いを見据えあうと、市街地フィールドに乾いた風が吹く。
「それじゃあカウント行くぞ! 勝負は一回きりだ! 延長は認めねぇ!」
トニーが両者の通信ウインドウを開き、戦闘のカウントをとる。
「5、4、3、2、1、0!!」
ビースト形態のランドバイソンが先に動き、猛スピードで市街地へと突き進んでいく。
バトルコングは同じくビースト形態で肩に搭載されたミサイルポッドを連射しながら追いかける。
「通常二足のビーストは四足のビーストには追いつけないようになってます。市街地の中心に向かって下さい」
「OK!」
背後から迫るミサイルを無視し、錆びて朽ち果てた市街地をランドバイソンは突進していく。
しかしあまりにも入り組んだ地形は、小回りの利きにくい重装備ビーストにカテゴリーされるランドバイソンではスピードが出にくい。
同じく重装備のはずのバトルコングはカーブを曲がるときに側面に装備されたスラスターを使用しており、ありえないほどの直角のカーブを可能にしており、みるみるうちにランドバイソンとの差を縮めてくる。
「ほら、ケツ振って逃げろ逃げろ!」
バトルコングは全ての兵装を一気に解放し、凄まじい火力を見舞ってくる。
目の前の巨大なセンタービルが倒壊し、ランドバイソンの頭上に残骸が降りそそぐ。
グレースはそれを迎撃する為、背中に装備されたランチャー砲を操作する。
だが、遼太郎はスロットルを無理やり上げてランドバイソンを加速させた。
「NO! なぜです!?」
「迎撃している隙に追いつかれます! それに迎撃しなければビルが道を塞いでくれます!」
確かに間一髪通り過ぎたセンタービルの残骸は道を塞ぎ、バトルコングを遮っていた。
しかし間髪いれずに残骸は粉々に吹き飛んだ。
バトルコングの重破砕機のようなアイアンナックルが残骸を吹き飛ばしたのだった。
「これだから重火力機は」
「NO、ミーたちもそのカテゴリーです」
「やるのは好きですけどやられるとたまりませんね。とにかくカーブを多く曲がって下さい!」
ランドバイソンは次から次に市街地を曲がり、機体をこすりながらも無理やりにでも曲がっていく。
対照的にバトルコングは直角カーブで滑るようにコーナーを曲がって来る。
「ふん、どうせスラスターのガス欠狙いだろうが、そうはいかないぜ。さっさと決着をつけてやる」
バトルコングは肩部のミサイルポッドを連射すると、爆煙が視界を遮る。
驚いてランドバイソンが止まるが、遼太郎はグレースのかわりにアクセルペダルを踏みこむ。
間一髪今までいたところにビーム砲が撃ち込まれ肝を冷やす。
「操縦桿を離さないで下さい! カンストしたバトルコングの一撃は重すぎて、恐らく二発、最悪一発でこちらは機能停止に追い込まれます」
「それならなぜもっと機動力の高い機体にしなかったのですか?」
「レベル1の機体で機動力重視の機体だと100発撃っても重装甲のバトルコングは落ちないんです。一番火力の高いランドバイソンでも一斉射撃を当てないと恐らく落とすことはできません」
「クソゲではありませんか!」
「レベルカンストしてる機体にレベル1が勝ってしまう方がバランスとしては問題です!」
リアルな爆発が目の前で起こり、そのあまりに迫力のある爆発にグレースは手で顔を覆ってしまう。
「最新のゲームとてもリアルで、とても怖いデース」
「お願いですからスティックは離さないで下さい!」
遼太郎は叫ぶがグレースはことあるごとにスティックを離してしまう為、その度に機体が大きく揺れ、何度も建物に激突を繰り返してしまう。
コクピットが揺れるたびに二人の体は大きく揺れ、特に隣で立っている遼太郎の揺れは激しくグレースのおっぱいに何度もダイブする。
「あぁ、もうここにいてくだサーイ!」
遼太郎は彼女の股下にしゃがまされ、頭におっぱいを乗っけながらゲームを続ける。
「こんな早くに使うつもりはなかったのですが。R2トリガーを押しながら▽ボタンを押してください!」
グレースが言われた通りにボタンを押すと、ランドバイソンの背面に装備された11門のランチャーから眩い光を放つ照明弾が発射される。
「チィ、子供だましが!」
アントニオはほんの数秒であったが視界がゼロになり敵の姿を見失ってしまう。
「バカな、あの巨体を見失っただと? チッあのメカニックだな……。小手先だけは得意な野郎だぜ」
バトルコングはゆっくりと歩き出す。重装甲重武装にした弊害として、レーダー類は非常に弱く、ほんのわずかなジャミングですら敵を見失ってしまうのだった。
バトルコングはランドバイソンに気づかず、前を通りすがっていく。
数秒して何もない場所からランドバイソンの姿が浮かび上がる。
「なぜこちらに気づかず行ったのデスか?」
「透過装甲というこちらの姿を見えなくするオプション装備を使用しました。ですがこれは使い切りでもう使えません」
「では、どうするデスか?」
「僕の予定ではバトルコングのスラスターユニットに入っているガスをなくしてしまうはずだったのですが、これでは恐らくガスが切れたとしても追いつかれてしまいます」
「NO、それはなぜデース?」
[お前がすぐ操縦桿から手を離すからだ]
戦闘の様子をモニターしていたトニーからの通信が入る。
[アントニオはその辺グルグル回ってるが、戻ってくるのは時間の問題だ]
「まずいですね。グレースさんスティックだけは離さず、目をつむらないでください。リアルですがこれはただのゲームのエフェクトです。熱を少し感じるかもしれませんが、それも作りものですから実際に怪我をするなんてことはありません」
「し、しかぁし、条件反射で顔を覆ってしまいマース」
[すまねぇジャパニーズ、グレースは子供のころからタレント業をしているから、顔の傷は命とりになる分、半ば反射的に顔を守っちまうんだ]
「そうでしたか、困りましたね」
[グレース、バイクにはノリノリで乗るくせに、なんでゲームになったらダメになるんだ]
「バイクは目の前で爆発なんておこりマセーン!」
「ごもっとも……バイク? バイクに乗られるんですか?」
[ああ、こいつバイクで事故ったときはハンドル離さなかったんだぜ]
「あれは体が固まってただけデース」
「確かにライダーシートの方が手を離しにくい設計になってますね……。パイロットシートをバイク型に変更しましょう」
「そんなことできマスか?」
「本来は高機動型ビーストのシートなんですが、そっちの方がグレースさんにはあってそうだ。確かにあっちの方が姿勢的にスティックを離さない設計になっているし……」
遼太郎は一度コクピットからグレースと一緒に外に出ると、すぐにタブレットを使用してランドバイソンのセッティングをかえていく。
「アクセルハンドルの遊びをかえて、キーコンフィグはマニュアル操作からセミオートに変更して、グリップの設定とギアチェンジペダルに操作を分散させて、ロックオンはシステムアシストと網膜センサーに切り替え、武装の選択はギアチェンジやってしまおう」
凄まじい勢いでセッティングを行う。
その最中ズンズンと音をたてて何かが近づいてきているのがわかる。言わずもがなアントニオのバトルコングである。
「へへ、見つけたぜ。二人仲良く外に出て何やってんだか。なんでもいい、仲良くゲームオーバーだ!」
バトルコングのミサイルポッドが発射される。
「出来ました、中に!」
遼太郎はグレースをコクピットに引きずり込むと、すぐさまコクピットハッチを閉める。
直後爆発が機体を揺さぶる。
「オーッこれならいけそうデース!」
バイクシートに騎乗すると、グレースは大きなお尻を遼太郎に突き出す。
遼太郎は後ろからグレースの腰に手を回して二ケツ状態でシートに座る。
「アクセルとスロットル、武装の切り替えは僕がやります! グレースさんは操作だけに集中してください!」
「イエッサ!」




