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グッドゲームクリエーター~VRゲームとらぶる開発記~  作者: ありんす
4thG デスサバイバルオンライン編
42/82

神の脅威

「囲まれてるよ!」


 雪奈がシックスセンスを使用すると、周囲にアサルトライフルを構えた四人のプレイヤーの影が見えた。


「リョウタロー家に戻って! 隠れるわ……」


 桃火が叫んだ直後、足元に何かが転がって来た。それが手榴弾だと気づき、桃火と雪奈は窓を突き破って外へと脱出する。その直後手榴弾が爆発して、体が大きく吹き飛ばされた。


「はい、残念でした綺麗なお姉さんたち~」


 桃火たちが吹き飛ばされたのは運悪く敵プレイヤーの目の前で、額にアサルトライフルの銃口を突きつけられる。


「バイバ……嘘、後ろかよ」


 勝ち誇っていた敵プレイヤーの脳天にナイフが突き刺さり、虹色のスプラッシュをまき散らしながら前のめりに倒れた。

 頭にナイフが刺さり、虹色の血だまりの中で倒れている姿はどう控えめに見てもグロかった。


「一体何が?」


 困惑する三人をよそに、一人、また一人と敵が倒れていく。

 まるで見えない暗殺者の手にかかっているようも見える。

 直後網膜にZINさんが4人キルしましたと表示される。


「ジン? 近くにいるのかしら」


 三人はおのおのハンドガンとフライパンを握りしめて、ごくりと生唾を飲み込む。

 まるで見えない狩人に襲われるホラー映画のようにも思えた。


「なんかこんな映画あったわよね。見えない敵に襲われる奴」

「プレデターでしょ」

「そうそれ」


 どうやら取り囲んでいたプレイヤーたちはZINというプレイヤーにやられたようだが、四人をいとも簡単に屠ってしまった姿なきプレイヤーに遼太郎たちは武器を握りしめる。


「あっ、あそこ!」


 雪奈が指さした先に、長い髪をポニーテールにした十代くらいの少女が、別段隠れるわけでもなく投げたナイフを回収しにやってきたのだった。

 その無警戒さに驚いたが、雪奈は彼女の頭に13の数字がついていることに気づく。


「あれ、彼女もしかしてボクたちのパーティーじゃない?」

「ほんとね」

「ありがとうございます」


 遼太郎が無遠慮に近づくと、少女は同じチームであることがわかっていたようで、小さな笑みを浮かべた。


「そなたらが余の仲間か」

「よ?」

「余?」

「よよよ?」


 全員がいきなり面食らっていると、少女の装備が充実していることに気づいた。

 こちらは水着や裸ネクタイだと言うのに、彼女は頭に赤のベレー帽、両手には刀身が振動しているナイフを持ち、服装は上下ともにモスグリーンの迷彩服で、どこぞのヤマネコ隊とか特殊部隊で登場してきてもおかしくない風貌であった。


「すまない。余は少し人とは違った生活を送っていてな、若輩ではあるのだがこのような不遜な喋り方が板についてしまい直すことができない。許すがよい」

「なんかお姫様? ぽいね」

「姫というより王様っぽいけどね」

「ジンだ。漢字の神という字を書く。よろしく頼む」


 遼太郎は差し出された手を握り返す。


「よろしくお願いします」

「あの、神さん?」

「この場で余に敬称は不要だ。ゲームの中にいる以上余は一兵士でしかない。見たところ皆余より年上と見受けられる」

「そ、そう?」

「凄い桃火ちゃんが自分より変な人に会って困惑している」

「桃火より酷いって相当だよ」

「うっさいわね。その、神はなんでそんな装備が充実してるの? 背中にアサルトライフルまで背負ってるでしょ?」

「課金だ」

「か、課金……」

「身もふたもない……」


 雪奈たち三人が、そっかー課金かー、課金ならしょうがないなーと金の強さを一番よく知っている為、遠い目をする。


「と言ってもスキル以外は大した装備ではないのだ。撃たれれば普通に死ぬ」

「そうなんですか?」

「そうだ、これを使うがよい。余は根っからの近接狂。さきほど課金して手に入れたものだが、遠距離武器は得意ではない」


 そう言って神は背負っていた強そうなアサルトライフルを渡そうとする。


「ちょ、課金武器なんて受け取れないわよ! あたしたち今あったところなのに」

「そうか? パーティーを組んだものは皆喜んで受け取ってくれたのだが」


 残念だとアサルトライフルを背負いなおす。


「なんか全く嫌味のないスネ〇みたいな子ね」

「彼の方がまだお金の価値を理解している気がしますが」


 ふと彼女の視線が遼太郎の持っている刀に気づく。


「なっ!? そ、それは!」

「えっ? どうかしましたか?」

「カタナブレード、本当に実在していたのか!?」

「そんな珍しいんですかこれ?」

「余はそれが欲しくて救援ボックスに課金をし続けたのだ!」

「救援ボックスって何ですか?」

「多分ガチャよ」

「あぁ……そういう」


 遼太郎の目が一瞬で死んだ魚の目になる。


「欲しいならあげますよ?」

「なっ!? そなた、このカタナブレードがどれだけの価値があるか知ってて言っているのか!?」

「いや、知らんけど……」

「近接最強兵装で、銃弾すらも切り裂くことができるのだ」

「へーそれは凄いですね。桃火ちゃん撃ってみて」


 遼太郎はカタナブレードを抜いて構えると、桃火は間髪入れずパンっと軽い音をたててハンドガンを撃つ。

 すると彼の腹に命中しHPゲージをギューンと減らす。


「痛い! 嘘つき、全然無理じゃないですか!」

「至近距離で撃たれれば切り払うことは無理であると、少し考えればわかるであろう」


 ゲームクリエーター平山遼太郎、年下の少女にゲームの当たり前で呆れられる。

 無駄に回復薬を一つ減らしながら、遼太郎はカタナブレードを神に譲渡する。


「すまない。そなたに最大限の感謝を」


 少女はゆっくりと目を閉じ、頭を下げた。


「なんか武士みたいな女の子ね」

「ネットゲームはいろんな人がいるからね」


 神は三人を一瞥すると、着ていた迷彩服を脱ぎだした。


「ちょ、えっ、何してるの!?」

「そなたたちだけ水着というのもあれであろう。余も水着は持っているからそちらに着替える」

「いや、別にそんなことしなくていいんですよ!?」

「なに、どのみちそなたらと行動を共にしていれば迷彩服などなんの役にも立たないだろう。それよりも余は仲間意識というものを大切にしたい。形から入るというやつだ」

「いや、確かにそうなんだけど」


 少女はあっという間に水着に着替え終わると、遼太郎たちと同じように水着に刀とゲームキャラの主役として通用しそうな格好へとかわる。


「うむ、これで良い」


 神は満足げに頷くと、ようやく四人揃った遼太郎チームは島の中央へと向かう為に、民家の前に止まっていたジープに乗り込み、遼太郎の運転でその場を後にしたのだった。


神 プレイヤーID ZIN

頭 レンジャーベレー

胴 アーミーサマービキニ(炎無効化)

手 レンジャーグローブ

腰 ミリタリーハーネス

足 レンジャーブーツ

メイン カタナブレード

サブ 振動ナイフ

アイテム アサルトライフル

スキル クロックアップLv3 (3秒間キャラクターを加速させる)




 その頃、チームが分かれた麒麟と岩城たちはマンションの探索を行っていた。


「おっ、こんなところにマグナム銃があるでゴザル」

「マグナムはやっぱ男のロマンっすね」

「こっちにはサブマシンガンが二つあったでふ」

「最初に入った施設としては非常に良いアイテムばかりでゴザルな」


 あっはっはと盛り上がる岩城たちを尻目に、麒麟はしゃがみこんで大きくため息をつきながらのの字を書いていた。


「なんで私だけこっちなんですか……」

「あ、あぁ姫、恐らくなんでゴザルが」

「多分あの二人、ゲームが始まる直前に俺たちとのフレンドを切ったと思いますよ」

「ぼくたちとフレンドを切れば、必然平山君と一緒になるでふ」


 麒麟は「なん……だと……?」と唸る。


「私もそうすれば良かったーーー!!」

「シーーッ! 姫、大声をあげてはいけないでゴザル」

「くそぉ、そうですよね、普通そんなうまく別れませんもんね。姉さんも天城さんもさすがゲーム屋、そういうところには一瞬で気づくんですね……。あぁーーー気づかなかった私がどうせマヌケですよーーー!! この日の為にたまった仕事必死で終わらせたのにーーー!!」


 麒麟はガンガンと自分の頭を壁にぶつける。


「姫様たまにぶっ壊れるっすね……」

「ひ、姫、もう一戦するときに今度はシャッフルすればいいでふ」

「いいです。それならそれで、遼太郎さんの敵となったからには徹底的にやってやります。なんならラスボス的存在に……」


 その時ターンと長い銃声が響いて、麒麟はなんだろうと首を傾げると目の前の高畑がバタリと倒れた。


「高畑さん!」

「た、高畑氏! 高畑氏がまだ何にもしてないのに死んだでゴザル!」

「対面のビルにスナイパーでふ! 匍匐で進むでふ!」

「でも高畑さんが!」

「奴はもうダメでふ、捨てていくでふ!」

「諦めるの早くありません!?」


 言われて全員がマンションの中を匍匐で移動する。


「これだから銃って嫌いなんですよ。さっきまで喋ってた人が次の瞬間死んでるとか、マンガやアニメにしたら全然面白くないですよ!」

「しかしこれが現代戦でゴザル」

「ぼくも常々ヘッドショット一撃即死はどうかと思うでふ」

「そこはリアリティをとるか、ゲームをとるかのどっちかでゴザルな」

「豪華なムービーを使ったミリタリーゲームやホラーゲームがリアリティがあって良いとかレビューで見たことありますけど、それは設定に引き込まれてるだけで、普通回復薬一つで人間一瞬で回復しませんから! リアリティなんてありませんから!」


 早口で喋る麒麟の頭上をターンターンと音をたてて大口径ライフル弾が通過していく。


「姫、どこに怒りをぶつけてるでふか」

「銃で撃たれてるのにしゃがんでるだけで回復とかしないから!」

「椎茸殿早く姫を連れて行くでゴザル! いろいろ鬱憤がたまりすぎて本当にラスボスみたいになるでゴザル!」

「ひとまずこの部屋に入るで……」


 三人が部屋の中に入ろうとした時、下からザッザと足音が聞こえてくる。


「やばいでふ、下から敵が上がってきてるでふ!」

「スナイパーで釘付けにした後突撃兵の投入は戦術の基本でゴザルな」


 部屋に入って扉をしめてたてこもるが、ここは最上階に近いマンションの一室であり、窓から飛び降りることもできない。

 このまま蜂の巣にされて終わりかと思われたが、麒麟は部屋の中で自己主張する細長い金属塊を見つける。


「これは……」




 ガスマスクを着用した三人組のプレイヤー達は指でサインをとりながら麒麟たちが立てこもっている部屋を包囲する。

 先頭に立った男がスモークグレネードを部屋の中に放り投げると、空き缶のようなグレネードが転がり、部屋中に煙をまき散らす。

 それと同時に三人組は部屋の中に突入するが


 ターンターンと長く響く音が部屋の中に木霊すると、前を行くガスマスクのプレイヤーが倒れた。


「なっ!?」


 残った一人も驚いたと同時に頭を撃ちぬかれて倒れた。

 スモークグレネードの煙が晴れると、そこには銃身の長い大型スナイパーライフルを構えた麒麟の姿があった。


「こういう普通じゃ絶対持てないライフルを持てるところがゲームのいいところですよね」


 彼女の顔はニヤリと歪み、良い得物に出会えたことを喜んでいるようだ。

 麒麟は鼻歌まじりにマンションの窓へ、そのデカい砲身を出す。


「姫、外はスナイパーがいるから顔を出しては危険でゴザル!」

「果たして本当にそうでしょうか? 仲間があっという間に全員やられて何が起きているかわからず内心心臓バクバクしてるんじゃないですか?」

「そ、そうかもしれないでゴザルが!」

「そうなると……」


 響く銃声と共に麒麟の真横をライフル弾が掠めていく。

 更に二度、三度とライフル弾が真横を通るが麒麟に命中はせず、まるで見えないバリアに守られているようにも思えた。


「このゲーム、プレイヤーの心拍数に応じてターゲットサイトが広がるようになってますから、動揺してる状態で長距離スナイプはまず成功しません。そして無駄撃ちしてくれたおかげで、位置はつかめました」


 麒麟がライフルのスコープを覗き込むと、今もターンターンと音を響かせて当たらないライフルを連射しているガスマスクのプレイヤーが見て取れた。


「さようなら」


 麒麟がライフルのトリガーを引くと、薬莢がはじき出されライフルの銃口から硝煙が漏れる。

 それと同時に対面のビルから狙撃していた敵プレイヤーは頭を撃ち抜かれて、そのまま落下したのだった。


「一応私もゲーム屋ですから、それなりには自信ありますよ」


 麒麟はスナイパーライフルを肩に抱くとニヤリと笑みを浮かべた。


「今度ライフルで女の子を射抜くと好きになられてしまうおバカゲーでも作りましょうか」

「姫、それもうあるでふ」

「先人の考えを追い抜くのは難しいですね」

「新しい、誰もやってないは大体先人が考え付いたけどあえてやらなかったものがほとんでゴザルからな」

「なぜ王道が面白いかという理由ですね。さて、これで遼太郎さんのハートでも射抜きに行きましょうか。撃ち抜いたら本当に好きになってしまうアドオンでも出ないですかね」

「それ普通に犯罪でゴザルよ」


麒麟 プレイヤーID KIRIN

頭 サーマルスコープ

胴 防弾ベスト

手 レザーグローブ

腰 ミリタリースカート

足 レンジャーブーツ

メイン 大口径スナイパーライフル

スキル ハードバレットLv1 (リロードした弾丸の貫通力上昇)


岩城 プレイヤーID ROCKMAN

頭 ヘルメット

胴 防弾ベスト

手 レザーグローブ

腰 ツールベルト

足 レザーブーツ

メイン マグナム

スキル ロングバレルLv1 (射程向上)


椎茸 プレイヤーID DOKUKINOKO

頭 ヘルメット

胴 防弾ベスト

手 レザーグローブ

腰 ツールベルト

足 レザーブーツ

メイン サブマシンガン

スキル ソナーLv1 (周囲の敵の足音、心音が聞こえるようになる)


高畑 死亡


※アドオン ゲームの拡張機能

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