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グッドゲームクリエーター~VRゲームとらぶる開発記~  作者: ありんす
4thG デスサバイバルオンライン編
41/82

紳士

 全員の視界が暗転して、ロビーサーバーからゲームサーバーへと移されると、そこは青空の広がる孤島であった。

 丘の上に立った遼太郎の視界には、緑豊かな自然と民家がポツポツ、更に奥には白い煙を吐く煙突が数多くのびた工業地区と都市が合体した市街地が見える。

 後ろは海で、どうやら島の一番端に転送されたようだった。

 周りを見渡してみるが岩城たち知りあいの姿はない。

 中空を撫でてマップを表示させると、そこには青いマーカーが自分を含め四つ示されており、どうやら仲間の居場所を知らせるビーコンが表示されているようだった。


「一人少し離れてるな。残りの二人は近そうだけど……。あっ、そういや椎茸さんが最初にリュックを確認しろって言ってたな」


 リュックを下ろし、中を確認していく。

 武器は勿論のことだが、このタンクトップにパンツ姿を早くやめたい。

 そう思うが、中から出てきたものは


・シルクハット

・ネクタイ

・レザーグローブ

・包丁

・革靴

・手榴弾×1


「うん、はずれだなこのリュック」


 銃すら入ってない時点ですでにお察しだろう。

 それに服は入ってないくせにネクタイと帽子だけ入っている。一応ステータスがあがるようなので遼太郎は装備できるものは全て装備することにした。


「…………なんでネクタイ装備したらシャツ消えるんだろ。バグかな」


 なぜかネクタイを装備すると着ていたシャツが消えてしまい、裸ネクタイにシルクハットといかがわしさマックスの姿になってしまった。

 これなら初期装備の方がマシではないだろうかと思う。


「完全に変態紳士姿じゃないですか……白パンツがまずいですよね。皆こんなものなのかな?」


 遼太郎は首を傾げながらリュックをひっくり返すと、黒い野球ボールサイズの手榴弾がでてきた。


「まともなのが手榴弾だけって、それどうなんです……。あれ、ピンどこだろ?」


 通常手榴弾には遅延発火装置を起動させる為の安全ピンが存在するのだが、それがない。

 これではいざというときどうやって起爆させるかわからない。


「ん~ピンのないタイプの爆弾なのかな?」


 と思っているとリュックの一番底に銀色に光るピンが見えた。


「あ~これこれ、これが抜けちゃったら爆発し……」


 既に手榴弾のピンが外れていることに気づき遼太郎は青ざめる。


「うわああああああ!」


 驚いて放り投げると、ピンの抜けた手榴弾は丘の上をコロコロと転がり落ち、民家の前に停められている車の真下に入り込む。

 そこを運悪く別のチームが車で移動しようと乗り込んだところであった。

 直後、車の真下に潜り込んだ手榴弾は車ごと大爆発を巻き起こした。

 チュドーンとマンガみたいな爆発音と共に車が吹き飛び、遼太郎は遠目から「うわー、凄いことになってんな……」と他人事のように呟いた。

 プレイヤーの網膜にRYOUTAROさんが4人キルしましたと表示される。

 それを見た全プレイヤーはいきなり4人同時キルだと……、と戦慄する。

 遼太郎は丘を下りると、爆発して黒焦げになった車の周りにバックが散乱していることに気づく。


「あっ、こんなところにバックが」


 彼はそれが今しがた自分の爆弾で吹き飛ばしたプレイヤーの遺留品だと気づいていなかった。


「あんまり良いもの持ってないな。服も……燃えちゃってるなぁ。とりあえず弾は全部いただいていこう。仲間と合流した時に分けてあげられるようにしてと……後は刀かこれ?」


 鞘に入った、刃紋の美しい刀を引き抜く。


「かっこいいなこれ。でも長物は扱いが難しいし、こういう銃で撃ちあうゲームの近接武器って大体不遇の存在なんですよね。まぁこれもいただいておきましょう。なんかレアっぽいし」


 遼太郎が死体漁りに夢中になっていると、後ろから接近してくる敵プレイヤーに気づかなかった。

 殺気を感じ後ろを振り返ると、そこにはナイフを振りかぶったタンクトップのプレイヤーの姿があった。

 まるで追剥を追剥が後ろから襲うシュールな光景である。

 まずいと思った瞬間、更にその後ろからパンパンと乾いた音が響く。

 遼太郎を刺そうとしていたプレイヤーは前のめりに倒れた。


「大丈夫?」


 見るとそこには黒光りするハンドガン片手に持った雪奈と桃火の姿があった。

 どうやら二人とも初期装備でハンドガンが入っていたらしい。


「ありがとうございます。二人とも合流してたんですね」

「うん、そうだよ。ボクと桃火、遼太郎君はチームみたいだね。後一人は知らない人みたいだけど」

「そうなんですか?」

「頭の上に13って数字が出てるでしょ? これが同じ人は同じパーティーだよ」

「なるほど」


 言われて初めて桃火と雪奈の頭の上に数字が浮かんでいることに気づいた。


「とりあえずそこの民家に入るわよ。こいつの仲間がいるかもしれないし」


 桃火に促されて三人は姿勢を低くしながら近くの民家へと入る。


「後もう一人は近くまできてるね」

「多分合流しようとしてるんでしょ。迎えに行った方がいいわね。ここ開けてるから遠距離武器を敵が持ってたら一方的にやられるわ」

「あ、あの……」

「さっきの敵銃持ってなくて良かったね。持ってたら遼太郎君いきなりアウトだったよ」

「あ、あの……」

「そういやあんたリュック何入ってたの? あたしたちの方はそれぞれハンドガンくらいしか入ってなかったわ」

「ボクは回復薬が多く入ってたから被ダメしたら治してあげられるよ」

「あの!」

「なによ」


 遼太郎が強い口調で言うと、ようやく早口で喋っていた二人が向き直る。


「あの、なんで二人とも水着なんですか?」


 そう二人はタンクトップ姿ではなくなり、かわりに露出度の激しいビキニ水着姿だった。

 これではサバイバルしにきたというよりバカンスに来たと言われた方がしっくりくる。


「あんたが裸ネクタイしてるのと同じ理由よ……リュックの中に入ってたの」

「水着のくせに意外と防御力がね……高いんだよ。炎無効だし」


 二人は恥ずかし気に視線をそらす。


「と、とりあえずこういう民家の中にも武器とか服があるらしいから、手分けして探索しましょ。それが終わったら仲間を迎えに行くってことで」

「わかったよ」


 遼太郎たちは民家の中を探索すると、いくつかの武器や弾薬を見つけることができた。


「弾ばっかあったわね」

「多種多様な弾だよね。ハンドガンの弾には困らなさそうだけど」

「こっちにはグローブとサバイバルブーツががありましたよ」

「ナイス、服は?」

「服は……なかった」

「服ってもしかしてレアなの……」


桃火 プレイヤーID TOUKA

頭 なし

胴 レッドサマービキニ(炎無効化)

手 レザーグローブ

腰 ツールベルト

足 サバイバルブーツ

メイン 9ミリハンドガン

サブ なし

スキル パワーアームLV1(武器重量を半減する)


雪奈 プレイヤーID SETUNA

頭 なし

胴 ホワイトサマービキニ(炎無効化)

手 レザーグローブ

腰 ツールベルト

足 サバイバルブーツ

メイン 9ミリハンドガン

サブ なし

アイテム 回復薬×3

スキル シックスセンスLv1(半径10メートル以内の敵の影が見える)


遼太郎 プレイヤーID RYOUTARO

頭 シルクハット

胴 ネクタイ

手 レザーグローブ

腰 メンズベルト

足 革靴

メイン なし

サブ  包丁

スキル マグネットパワーLv1(対象物に磁極を付与。磁極が付与された対象物を引き寄せる、反発させる磁力アクションが使用可能)


「THE初期装備って感じだね」

「結構装備自体はポロポロ落ちてるみたいだけど、やっぱり強力な武器は島の中央に行かないとないのかしら」

「ともかく服だよね。ゲームのキャラが服着てないのは別に許せたけど、VRで服着れないのは許せないよ」

「二人とも見て下さい」


 言われて桃火と雪奈は遼太郎の方を見ると、彼は転がっていたフライパンを宙に浮かせていた。


「なにそれMrマ〇ック?」

「マグネットっていうスキルで物を磁石にできるみたいです」

「なんか面白い使い方できそうね」

「二人はスキルは何とったんですか?」

「あたしは岩城さんが言ってたパワーアーム。重い武器でも振り回せたりジャンプできたりするようになるらしいから」

「ボクはシックスセンスっていう近くの敵が見えるようにな……二人とも伏せて!!」


 ちょうど雪奈はシックスセンスの能力で壁の向こうにアサルトライフルを構えた三人組の姿が透けて見え、遼太郎と桃火を押し倒す。

 その瞬間凄まじい銃声と共に窓ガラスが砕け、弾丸が頭上を通過していく。

 斉射は10秒近く続き、倒れた三人の上にガラスや砕けた木片が降り注ぐ。


「わあああああ!」

 

 雪奈は耳を押さえて蹲るが、桃火は匍匐前進しながら壁際にしゃがみこむと割れた窓から冷静に敵の数を確認し、遼太郎に指で数を知らせる。

 激しい銃撃が終わり、一旦の静寂が訪れる。

 当然網膜にキル数が表示されていないので、こちらが生きていることはバレている。

 桃火はジリジリトと近づいてくる三人の敵プレイヤーを観察しながら、遼太郎に向かって指をおりながらカウントダウンする。

 

「3……2……1、0!」


 0になった瞬間桃火は窓から腕を出し、握りしめたハンドガンを連射する。

 運よく敵の一人に命中し、ヘッドショットで倒れる。

 だが、むこうはアサルトライフルを持った者が二人残っている。


「行けリョウタロー!」


 桃火の合図と共に遼太郎は頭をガードした状態で窓から飛び出したのだ。


「なっ!?」


 突如窓から裸ネクタイの男が飛び出てきて敵の二人は動揺する。

 その一瞬を逃さず桃火の援護射撃が敵の頭部を貫く。だが、残った最後の一人は既にアサルトライフルのトリガーに指をかけ遼太郎に狙いをつける。

 ダダダッとライフルのバースト音が響くと遼太郎の左足に命中し、血のかわりに虹色のスプラッシュがこぼれる。


「武器がいる!」


 遼太郎は前転しながら指を鳴らすと、先ほど使用していたフライパンが凄い勢いで遼太郎の手に吸い込まれていく。

 手品のように飛んできたフライパンを握りしめ、遼太郎は目の前の敵プレイヤーを思いっきりぶん殴った。


「なっ……バカ……な」


 敵プレイヤーは一撃でノックアウトされ倒れ伏した。

 その直後TOKAさんが1人をキルしました。RYOUTAROさんが1人をキルしましたと表示される。


「やっぱさっきの奴の仲間がいたのね」

「そうだね、倒せて良かっ……」


 そう言いかけて二人はキル数が少ないことに気づく。

 目の前には倒れて薄くなり、消えかかっている敵プレイヤーが二人。

 あと一人がいない。


「最初にヘッドショットした奴、まだ生きてる!」


 桃火が叫んだ直後、死んだふりをしていたプレイヤーが素早く起き上がり、油断した三人にライフルを構える。

 遼太郎は隠し持っていた包丁を、投げナイフの如くアンダースローで投げると、最後の一人の頭に突き刺さる。


「せ、セガールかよ」

「裸ネクタイのセガールなんて嫌でしょう」


 倒れた敵プレイヤーの最後の言葉に返答すると、遼太郎は二人に向き直った。


「今度こそやっ……てない!!」


 銃撃戦の音を聞き、数人にプレイヤーが集まって来たのだ。

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