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グッドゲームクリエーター~VRゲームとらぶる開発記~  作者: ありんす
2ndG ギルドホワイトナイツ編
30/82

中の人

 時は流れて、あのメタルビーストの再起をかけたアップデートからはや三カ月が経過した。

 グッドゲームズカンパニー第三開発室は遼太郎を主体にした第二のパッチをリリースし、ようやくアップ後のドタバタが解消した頃にあった。


「ふぅ、今回も死ぬかと思ったでゴザル」

「いっそ殺せでふ」

「何言ってんすか椎茸さん途中で力尽きて、最後の方死んでただけじゃないっすか」


 開発室内で岩城と椎茸、高畑は缶コーヒー片手に開発での思い出を話す。


「ほんとあいかわらず無茶苦茶でふ。こっちが貯金してたの全部吐き出してやっと今回も仕上がったでふ」

「それもこれも全ては平山殿の思い付きによるせいでゴザル。ただでさえ、カーバンクルシステムでひぃひぃ言ってるところに」

「あのー小隊システムってあったら嬉しいですね、と言いながら既に姫と矢島殿に話を通して仕様書切ってきてるところがタチ悪いでゴザル」

「まぁでも今までメタルビーストって有象無象で敵にぶつかっていってたから、確かに超強いプレイヤーが横から経験値エネミーをぶんどっていくのは問題だったでふ」

「そういう奴はネットで晒されたりしますけど、所詮ネット掲示板の晒し情報見てる奴なんて少数ですからね。小隊システムってようはパーティーですよね?」

「さよう、そもそもメタルビーストはアーケードの対戦格闘に近いアクションゲームであるから、仲間とつるんで敵を倒しにいくという概念がほとんどなく、ほぼ全プレイヤーが個人個人ソロで戦うのが主流でゴザル」

「正直ギルドもシステムだけは作ってたけど、つるんでやる意味ないってユーザーには言われてたでふ」

「ディフェンダーやSJサポートジャマーなんかはMMOでいう盾やヒーラー、バッファー的ポジションですけど、結局は個人技でしたもんね」

「さよう、拙者らもそのように調整していたというのに」

「そういうアウトロー区域はそのまま残しておいて、小隊で進めるエリアとか、小隊で倒すボスとか、小隊VS小隊とかあると面白くないですか? でふ」

「そ、これを前回のパッチリリース直後に思いつくところが恐ろしいでゴザル」

「おまけに小隊にはやっぱメカニックとかいますよね? こう戦うのが得意じゃなくても陰でサポートできる役割とかあると、更にとっつきやすくなるんじゃないですかっすもんね」

「あれは確信犯でゴザルな。多分小隊じゃなくて先にメカニックを思いついてからそれを生かす小隊を考えたでゴザルよ」

「でふね」

「平山ちゃんたまに本気で開発殺しにかかってくる時ありますもんね」

「まぁそれがプランナーの役割と言えば役割でゴザルが、それを止める姫のチェックが最近ザルすぎて平山殿の意見ならなんでも通るみたいになってるでゴザル」

「矢島さんもなんか2.0以降微妙にザルでふよね」

「それ俺も思ってたっす。怒鳴るのとかはあんま変わってないっすけど、企画に関してはあんま突っ込まなくなったっすよね? ねぇ矢島さん?」


 後ろで聞こえないふりをして休憩している矢島に話を振る高畑。


「あいつはただのド素人だが、ケツの拭き方は覚えさせた」

「あっ、珍しい矢島さんが人を褒めてるでふ」

「別に褒めちゃいねーよ。いつまでたっても仕様書はきたねーし、すぐ穴だらけ企画書持ってくるし、第二のデザイナーは入り浸って来るし、真田女史はすぐふて腐れるし、第二のリーダーはすぐ怒鳴り込んでくるし、第一のリーダーはこえぇし」

「後半ほとんど平山殿関係ないでゴザル」

「あいつに引っ張られて来てんだから関係はあんだろ」

「確かに」

「ああ、今平山ちゃんどうしてんのかな?」

「そうでふね……なんだかつい最近のことなのに凄く懐かしい気分になるでふ」

「彼が退社して早一週間でゴザルか……」

「なんだかんだで静かになっちまったな」

「彼が台風の目だったってことは間違いないでふね」


 全員が遼太郎のことを思い浮かべ、懐かしい気持ちになる。


「彼が生き返らせたメタルビースト、しっかり拙者らが引き継いでゲームを運営していくでゴザル」

「そうでふ、二度と間違いのないように頑張っていくでふ」

「そうだな」

「そうっすね」


 四人はこれからの意気込みと決意を固める。


「あの遼太郎さん辞めてませんからね」


 瞼を閉じる四人を半眼と三角形の口で見つめる麒麟の姿があった。


「ていうか目の前でゲームやってるじゃないですか」

「いや、一応打ち切りエンドというのも用意しておかないとダラダラ続けるのもあれかと思いまして」

「何言ってんですか、まだまだ私たちの戦いはこれからですよ」

「結局それもエンディングでふね」

「まだ解決してないこといっぱいあるんですから、このままエンディングなんていかせませんよ」

「解決しないって、結局姫様って平山ちゃんと付き合わないんですか?」

「ふわあああああっ!」


 麒麟は持っていたバインダーを盛大に投げ飛ばした。


「そういうんじゃありません!」

「えっ違うのでゴザルか、拙者もてっきり」

「ぼくもでふ」

「俺も」

「や、矢島さんまで……。違います私が言ってるのはゲームのことです。新しいシステムが入ってまたユーザーからバックきてるんですから。それに遼太郎さんまた天城さんとこ行って悪だくみしてましたよ」

「ぶっ!」


 全員がコーヒーを噴き出す。


「最近大人しいと思ってたでゴザル」

「大人しいって三日くらいでふよ……」

「なんか今度は小隊連れて動ける軽戦艦が欲しいって言ってましたよ」

「あーなんか聞いたことあるっす。移動するベース基地が欲しいみたいなこと言ってた」

「それをギルドの人や小隊の人たちとパーツ集めて強化していくのが面白そうって。私既に天城さんからアート貰ってますよ」


 ピラッと恐竜やゾウの形をした新型戦艦のアートを見せる。


「なんであいつはあんなフットワーク軽いんだ……」

「てか、なんでそれ椎茸さんに言わないんですかね」

「多分昨日まで死んでたからでゴザろう。気を使ってるのか容赦ないのかはよくわからんでゴザるが」

「死んでても勝手に仕事が増えるでふね……」

「はい、遼太郎さん雪だるま作るの好きなんで、気づいたら札幌雪祭りみたいになってるから気をつけて下さい」

「そんで彼は今何してるんでゴザるか?」

「なんか最近メカニックになっていろんなギルドに入るのが趣味らしくて、以前メンテ中に入って来たギルドリーダーのところを回ってるみたいですよ」

「えっ、まだ遊んでるの?」

「遊んでるというかギルドリーダーたちはこのゲームのトップ層ですから、そういう人達に直にコミュニケーションをとるのは仕事と言っても差し支えないですよ。皆さんも暇ならゲームで遊んでユーザーさんからダイレクトな意見もらってきてください。作ってるだけじゃ足元がおろそかになりますので」

「せ、拙者徹夜明けで、この超反射神経が鍛えられるこのゲームは……」

「ならユーザーの目に優しくて徹夜明けでもやりたくなる案を考えてください」


 岩城は藪蛇だったと苦い顔をする。


「そういや開発がユーザーと遊ぶ時って開発だってバレてもいいんですか?」

「まぁ相手を詮索しないのはネチケットですが、今はアバター越しでも目と目を見てプレイしてますから、そういうプライベートな会話にもなりやすいとは思います。バレないことが一番いいですが気づかれても構わないです。ただ、気づかれても認めないで下さいとは遼太郎さんには言ってありますが」

「なるほど」

「気づかれてしまう方が身動きとれなくなりますからね」

「個人アカウントだとしても運営だとバレていると、ユーザーとバトルしたときインチキしたとか、自分だけ有利になるようにしてるとかいらぬやっかみを受けたりするでゴザるからな。知らないのがお互いの為でゴザル」

「信頼できる方なら構わないんですが、仲が良いといろいろ新情報とか聞かれたら話したくなっちゃいますからね」

「ユーザーにおろせない情報が多すぎるでふからね」

「なるほどねー。そんで今平山ちゃんどこにいるんすかね」

「EUのデルタサーバーでゴザルな。どうやらホワイトナイツというギルドにメカニックで入り込んでるようでゴザル」

「ちょっとどんなことしてるか見てみます?」


 高畑がニヤリと笑みを浮かべ、遼太郎のヘッドギアと繋がったPCのモニターをつける。


「ダメですよ。開発者でもプライベートな会話もありますし、第一ユーザーさんもいます。開発が監視してるなんて言われたら困ります」

「そりゃそうなんですが」

「でも姫いいでゴザルか?」

「何がですか?」

「EUのホワイトナイツは全員女性だけのギルドでゴザルよ」

「はっ?(威圧)」

「鬼だ、鬼がいる」

「どういうことですか?」

「いや、どういうこともなにもホワイトナイツのリーダーヴェルティナ・ブルーローズはフランスにあるローズエレクトロニクスハイスクール通称RESの理事長の娘でゴザル」

「最近多いですね、企業がスポンサーになってる学校って」

「ローズエレクトロニクスは女性のIT事業進出を前面に押し出してる映画やゲームなどを作るマルチメディア企業で、RESはその会社が100%出資している女学校でゴザル。ちなみに理事長は当然ながらローズエレクトロニクス社長でゴザルな」

「だからあの人たち昼間にログインしてたりするんですね」

「メタルビーストは最新のVR技術が使われてるでゴザルから、授業に使われることもあるようでゴザル」

「ホワイトナイツはそのRESの生徒とローズエレクトロニクスの社員で構成されてるって話でふ。彼女たちフェイスブッカやホワイトナイツのホームページ作ってるけど、みんな美人さんでふふふふよ」

「ここに限らず中国の神龍も確か龍星って通信会社だよな」

「オベリスクも、エジプトの貿易電気メーカーですし」

「テキサスファイアは確か元軍人と現役軍人が多いって話でゴザルし」

「それに日本の神威はローズエレクトロニクスに近いAI開発で有名な御剣CPコーポレーションの人間でしょ」

「えっ、そうなんですか……」

「そうでゴザル。実はこのゲームリアル企業世界大戦やってるでゴザルよ」

「素性を知らないって怖いでふね」

「実は知らずに大統領をミサイルで攻撃してたりするかもしれないっすね」

「さすがに大統領はいないと思うでゴザルが……」

「それよりホワイトナイツのことを教えてください!」

「姫必死でふね」

第二部開始するのか少し迷ったのですが、お蔵入りさせるには結構な量があるので、せっかく書いたものなので読んでいただければと思い開始することにしました。

※一部に比べると更新ペースは落ちると思います。


第二部は一部の最後に出てきていたギルドリーダーや桃火のお話などで、開発の話より開発者やユーザーとの話がメインで、ゲームをプレイする話が多くなっています。

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