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期間限定勇者は  作者: 夕闇 夜桜
サーリアン国・王都~王都近郊編
8/50

第八話:事情を説明する


 さて、所変わって自室である。

 目の前にいるのは、ウィルたち仲間とイースティアの勇者一行ーー向島(こうじま)君たち。

 ちなみに、部屋には案内された後らしい。


「とりあえず、ここに居てくれて助かったよ」

「もう、本当にごめんなさい」


 そもそも、私が他の召喚に引っかかるというミスさえしなければ、ウィルたちもここに立ち寄る必要はなかったのだ。


「で、何で自分が勇者だって話さなかったの」

「話せるわけないよ。別々に召喚されたり、ウィルたちと行動していたならともかく、一緒に召喚された上に、肝心の召喚者から『さっさと他国の勇者が魔王を倒せば』云々を聞かされたら、言えるわけないじゃん」


 特に、あちらとこちらを行き来している私に反論できない。


「何それ、俺たちにも対する嫌味? っていうか、完全に嫌味だよね」

「何事も、すぐに出来るわけがないのにね」


 向島君が不機嫌そうに、クリスさんが溜め息混じりに言う。


「それで、榛名(はるな)から見た彼らはどうなんだ?」

「やっぱり、召喚されてから、まだ日が浅いからね。実力的にはまだまだかな」


 けれど、これからの経験次第では、強くなる可能性はある。


「とにもかくにも、合流できて良かったよ」


 はい、と勇者装束一式をララから渡される。


「本当だよ。あと、あの場では言わなかったけど、ラクライールの奴がわざわざ襲撃予告をしてきた」

「ラクライール? ……ああ、四天王の一人か」

「けど、それを信じていいの?」


 思い出したように言う向島君に、フィアーナ殿下が尋ねてくる。


「嘘言った可能性もあるとは思うけど、桐生(きりゅう)君たちの事も考えると……」

「強くなる前に潰す、か?」

「その可能性も捨てきれない」


 全員で溜め息を吐く。


「もし仮に襲撃が本当であったとしても、俺たち全員で王族とあいつらを守るのに無理があるぞ」

「それに、現時点で貴女をノーウィストの勇者と知らない以上、この件でバレる可能性もあるわよ?」

「それについては構わない。タイミングの問題だって誤魔化すから」


 向島君とクリスさんが肩を竦める。


「さすが、星王生。頭の回転が速いな」

「それに、私の使用属性が解呪されてないのも問題だし」


 向島君の言葉をスルーしつつ、そう告げる。

 属性制限の『呪い』は、ララやクリスさんに見て貰ったが、二人ともお手上げ状態だった。


「光属性は桐生君も使えるから、向島君と合わせても二人になるけど……」

「だが、高位の光属性を使えないのなら意味がない。はっきり言って、四天王を相手にするなら、同じ勇者でも鷺坂の方がマシだ」

「言ってくれるね」

「強敵を相手にするのに、組むなら実力も実戦経験もある奴の方がいいだろ。それに、お互いのことはよく知ってるしな」


 そこまで言われるような実力も全然足りないとは思うけど、確かに組むなら彼らが良い。


「もし、私のことがバレたらフォローは頼むよ、イースティアの勇者様」

「同じ勇者として引き受けた。ノーウィストの勇者様」


 小さく溜め息を吐いて言った私に、向島君が同じように返してくる。


「ウィルたちも、お願いね」

「分かってる」

「まあ、もしそれで納得してもらえなければ、“永久詠唱(エターナル・スペル)”として、私が何か一言言うわ」

「それでも、聞かないようなら、最終的に私が権力を使うことも念頭に置いておくとしましょう」

「……」


 何やら大変なことになったし。


「えっと、何かごめんなさい」

「いいの。ノーウィスト(うち)の勇者をバカにした罰ってことにするから」

「ついでに、イースティア(うち)もね」


 互いに黒い笑みを浮かべるフィアーナ殿下とクリスさん。


「まあ、何だ。国王の様子から見るに、大丈夫そうだから大丈夫なんじゃねーの?」


 そう言いながら、肩を組んでくる向島君の腕を外しながら返す。


「陛下が良くても、側近がうるさいからなぁ。ここ」

「あ~。確か榛名は、女ってだけで馬鹿にされたもんね」

「でも、あの人。あの後、陛下にこっぴどく怒られたみたいだけど」

「……ぶ、部下が、他国の勇者を侮辱すれば、怒るのは、無理ないと思う」


 下手をすれば、戦争になるもんね。


「上に立つ者なんだから、もう少し考えてから物言えってんだ」

「本当だよなー」


 向島君が同意してくるけど、元の世界を思い出したんだろう。


「あ、そうだ。ララ、私、別の召喚陣を通ってきたわけだけど、行き来は可能?」

「陣によるかな。見てみないと何とも言えない」


 ララの言葉に、そっかぁ、と返す。


「じゃあ、そろそろ俺たちは行くから。長居したな」

「気にしないで。桐生君たちに怪しまれなければ問題なしだから」


 立ち上がりながら言う向島君にそう返せば、「お前、もうあいつらに話せよ。ゆっくり話も出来ない」と言いたげな目を向けられた。


「それじゃ、榛名。私たちも行くから。また後でね」


 ララがそう言えば、私を除く全員が完全にこの部屋から出て行った。


「……勇者、ね」


 とりあえず、私も出来る範囲のことぐらいはしよう。


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