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期間限定勇者は  作者: 夕闇 夜桜
サーリアン国・王都~王都近郊編
6/50

第六話:少し時間を巻き戻して


仲間の魔導師視点です




 サーリアン国・王都近郊。


「そろそろじゃないか?」

「そうだね」


 王都を前に、騎士であるウィルに言われ頷けば、周囲を確認し、木々の合間に移動する。

 そして、慣れた手付きで魔法陣を展開するのだがーー


「あれ?」

「どうしたの?」

「反応がない」


 何度喚び掛けても、反応は無し。

 さすがに周辺警戒していたフィアーナ殿下も、こちらの異変に気づいたらしい。

 こんなことは今までに無かったから、どう判断すれば良いのか分からない。


「何かあったということか?」

「んー……」

榛名(はるな)のことだから、逃げ出したってことは無いとは思うが……」


 向こうと行き来できるのなら引き受ける、と言った榛名なのだ。だから、彼女がそう簡単に召喚拒否するとは思えない。


「そういえば、この国も勇者召喚したみたいだけど、そっちに居るってことは無いわよね?」

「……」

「……」


 思わず無言になった私たちは悪くない。

 否定は出来ないけど、その可能性があることも確かなのだ。


「登城、するか?」

「もし、本当に召喚されていたら、居るかもしれないしね」

「あくまで確認よ。そう、確認」


 うんうんと三人で頷きあった後、溜め息を吐く。


「……とりあえず、行きましょうか」


 そんな殿下の一言に、私たちは移動を開始した。


   ☆★☆   


「ん? 君たちは……」

「イースティアの、勇者? 何でここに?」


 登城するために、王都に入った私たちは、そこで偶然か否か、イースティア帝国の勇者一行と会った。


「ああ、そうだ。ノーウィストの勇者一行」


 思い出したかのように言われる。


「それで、肝心の勇者様が見当たりませんけど、どうなさったの?」


 そう尋ねてくるのは、“永久詠唱(エターナル・スペル)”という二つ名を持つ魔導師、クリスフィア・フォード。


「あそこ」


 私が代表して城を指差す。


「珍しく別行動中? 誰か一人は一緒かと思ったんだけど」

「いつも一緒に居るわけがないでしょう? 一人で居たいときだってあるのだし」


 相手の言い方に反応したフィアーナ殿下が、そう言い返す。


「別に、俺たちは君たちの行動に文句を言うつもりはないよ。これまでと目的も変わらないしね」


 目的、ね。


「そうですか。そちらは今から登城するんですか?」

「だね。一応、挨拶はしておかないと」


 思わずウィルとフィアーナ殿下が顔を見合わせる。


「俺たちも同行しますよ。うちの勇者を回収しないといけないので」

「別に構わないよ。俺たちも久々に会いたいし」

「……」


 ウィルの言葉に、俺たち、とは言っているが、どこか嬉しそうに笑みを浮かべるイースティアの勇者。


「それでは、行きましょうか」


 こうして、フィアーナ殿下の一言により、私たちノーウィストの勇者一行とイースティアの勇者一行は登城するために、城へと向かうこととなった。

 ねぇ、榛名。もし、(そこ)に居るのなら、どうか大人しく城に居てくださいね?


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