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期間限定勇者は  作者: 夕闇 夜桜
サーリアン国・王都~王都近郊編
3/50

第三話:魔法と剣の使い方を習う


 さて、マジでどうしようか。

 魔法はともかく、剣はマジで誤魔化しが利かない。

 とはいえ、お姫様ーーエレンシア殿下がじっとこちらを見てるから、魔法での加減もしにくくい。チッ。


「……ふぁ」

「ハルナ! もっと真面目に練習してください! 足手纏いになりたいんですか?」


 少しばかり欠伸をすれば、そう言われたため、ささやかな抵抗をする。


「……『火炎展開』、『雷鳴展開』、『氷結展開』」

「ちょっ、何ですか」

「珍しい。召喚されてまだ日が浅いのに、使い始めで『属性展開』まで得られるなんて、才能があるのかね」

「はは、どうなんでしょう」


 『属性展開』。

 各属性に存在する、その使い手が使える最大魔法数の魔法陣をその場に表示し、展開する。

 そして、それぞれを展開する時の呼び名も属性ごとに違う。

 私が使える属性で説明するのなら、火属性は『火炎展開』、雷属性は『雷鳴展開』、氷属性は『氷結展開』ということになる。

 もちろん、『属性展開』は魔法がある程度使えるようにならないと、展開する事は出来ない。


「凄いな、鷺坂(さぎさか)さん」


 基礎よりワンランク上の魔法を使いこなせるようになった桐生(きりゅう)君たちに言われてもなぁ。


「いや、でも、これかなり魔力持っていかれるから」


 そう、『属性展開』は得られる情報の代わりに、かなり魔力を消費する。

 とはいえ、今の『属性展開』だけで消費した魔力はほんの少し(・・・・・)。だから、そんなに私にダメージはない。


 その後、魔導師からは「『属性展開』できるなら仲間の面倒も見てあげな」という面倒くさい役目を与えられた。

 でも、やることがないのは事実なので、彼らの面倒を見ることにした。


   ☆★☆   


「重っ!」

「こんのっ!」

「無理して持とうとすると、身体が使い物にならなくなるぞ。特に腰」


 剣の訓練の時間になり、エレンシア殿下に案内されて訓練場に来たのはいいけど、とりあえず剣を持とうとする二人に、思わずそう言ってしまう。

 ちなみに、これは仲間の騎士に言われたこと。


「とにかく、まずは体力をつけなければ!」


 と、訓練場を走らされたのは今では良い思い出である。


「鷺坂はいいのか?」

「んー? やっておいて損はないとは思うけど、人には向き不向きがあるから」


 準備しない私に気づいたのか、鷹槻(たかつき)君に聞かれたので、そう返す。

 私は確かに剣も使うけど、別のも使えるから問題ないんだけどね。

 あと、栗山(くりやま)さんは魔法に集中する事にしたらしく、剣の訓練については後から追いかけるとのこと。


「そういう君はいいの? やらなくて」

「そうだな」


 私の隣から離れて、「体力作りからだな」と言わんばかりに、先に走っていた二人に加わっていく。

 すると、それを見ていたのか、騎士団長だか隊長だか分からないけど、それっぽい人が近付いてくる。


「お前は走らないのか」

「必要ありませんから」


 それを聞いてどう思ったのか、模擬剣を目の前に突き出される。


「ふむ。かなり余裕のようだが、持てるのか?」

「余裕、といいたいところですが、あの二人を試した剣で言われても困りますね。持たせた理由なんて、体力や腕力、姿勢とかを見るためでしょう?」

「気づいとったか。あの二人は気づかなかったみたいだが」


 さて、それはどうかな。


「気づいていながら気づかない振りをする。貴方こそ、一番試したいのはあの三人じゃなくて、私じゃないの?」

「……何者だ、君は」

「言うと思います?」


 でも、サービスぐらいはしてあげよう。


「誰も見てないときに、お手合わせしてみましょうか。そうすれば、私が何者なのか(・・・・・)は分かると思いますよ」


 私が何者かは教えるつもりはない。

 それでも、この国の勇者は彼らだから、その分頑張ってもらわないといけないかもしれないが。

 その間、私はサポート要員と化していよう。


 その後、限界まで走り回った三人に、飲み物を差し入れながらご苦労様と声を掛ければ、何でお前は走ってないんだ、と目で見られたけどスルーした。

 三人も体力が残ったままの私を相手にする気はないのか、結局そのまま解散となった。


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