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プロローグ
空は光を拒むように雲を喚び、薄暗い雲からは今にも涙が溢れ出しそうで、
いつしか風は、凪いでいた。
心は底無しの暗闇のように空虚を産んで、その空虚を自責の鎖が絡め取る。
永劫に続く牢獄に、時空ごと囚われたかのような感覚だった。
誰も、望んでなどいなかった。
いや、違う。それはただの気休めで、少なくとも私が望んでいなかっただけに過ぎないのだ。
現実は、甘くなどなかった。いや、これも違う。甘かろうが辛かろうが、それが現実。
現実は現実でしかない。
甘いなどと、辛いなどと、定義すること自体が罪深い。
そう、これは罰。罰だ。
私は私を、決して逃がさない。定言的な罰を。罪を理由にしない、当為の罰を。気休めには蓋をして、私は延々と、この、手の感触を忘れることはないだろう。
この日、私は最愛の相棒を殺したのだった。