【『勇記』の過去〜衝突〜】
『ごめんね、お待たせっ!』
美妃が戻って来てしばらく沈黙が続く。重い空気の中、美妃が先に口を開いた。
『ねぇ勇記、さっきはごめんね。』
『あー、別に気にしてないよ。』
『さっきはね、なんだか少しカッとなって。』
『うん、だから気にしてないって。』
『良樹は今ようやく自分のやりたい事見つかってその夢に向かって計画立てて努力し始めててさ、勇記ほどの関わりは私にはないけど頑張ってる良樹の姿を頼りないって言われてなんだか私、、、』
『だから気にしてないって言ってるだろ!!』
しばらく沈黙が続き勇記が口を開いた。
『美妃、、良樹の事どう思ってんの?』
『え?どうって?』
『疑ってるわけじゃないけど、最近良樹とすごい仲良いじゃん。前はあんまり話さなかったのに。』
『、、、疑ってるの?』
『だから疑ってるわけじゃないって。』
『なら、、この際言うね。良樹とは大学入ってからよくごはんも食べるし遊びにも行くしたまに私の家にも泊まりに来るぐらい仲良しになったよ。けどね、私もそんな馬鹿じゃないからその辺はちゃんと割り切ってるつもり。勇記の親友ならなおさらしっかりしたいって思ってるから信じて。』
勇記は美妃と目を合わさないまま
『美妃を疑えば良樹の事も少なからず疑ってるって事になってしまう。2人とも俺にとって大切な人。だからもう絶対疑わない、信じるよ。本当ごめん。』
美妃はにっこりと笑顔を作り勇記の顔を両手で持つと
『なーかーなーおーりっ!』
そう言って美妃は公園のど真ん中で勇記にキスをした。
『おい、いつも外じゃしないっていってたのどこのどいつだこら。謝れほら。逆立ちしながら土下座しろ。』
『なによそれー!もう一生してやんない。マヌケ!』
『ん、このおかず美味しい。』
『もーー!私の話無視しないでよー!』
こうしてふざけたり一緒にご飯食べるのが勇記にとってなにより幸せだった。
『ゴメンゴメン。ごちそうさまでした、お弁当おいしかったー!!』
『そお?お口に合いましてそれはなによりです。ならいきましょうか!』
久しぶりに1日デートできたのもつかの間、あっという間に時間は過ぎ勇記が地元へ帰る時間になった。
『楽しかったよ美妃!また来るから元気だせよ!』
『私も楽しかった!またお弁当作ってあげるから楽しみしてて!』
そういって2人はわかれた。
だが勇記は帰ったふりをし美妃にサプライズでプレゼントをあげようとしていた。今日は2人が付き合い始めて5年目の記念日。美妃が家に着いた頃を見計らって勇記は動き始めた。その後勇記は忘れかけていた不安が現実になる瞬間を目の当たりにする事になる。