【『勇記』の過去。〜違和感〜】
地元から遊びに来た勇記を良樹と美妃は、ランチや有名な観光スポットなどこころゆくまでもてなし気が付けば時刻は夕暮れ時になり3人は美妃が一人暮らしをしているアパートへ帰る事になった。
『今日は良樹と美妃のおかげで本当楽しかったなー。あそこのランチもすげーうまかったしあの場所から見る景色鳥肌立つぐらい綺麗だったわ!さすがやな先輩。(笑)』
からかいながら良樹に肘を当てて言うと
『やば、俺ちょい腹が、、美妃!ちょっと先に便所貸して!』
『なんか悪いもんでも拾って食べたの?待ってね。勇記、悪いんだけどちょっと先に家行くからここのコンビニで待ってて。』
『なんだよ、それならコンビニですればいいじゃん。』
『あ、、ほら、良樹ちょっと潔癖症みたいなとこあるから。』
『ふーん、分かった。なら待っとくわ。急いで行かないと、、、、出るぞ。(笑)』
『そんなこと言わないの!ならすぐ迎えくるからね。』
勇記はこの時からなんとなくだが美妃に違和感を感じ始めていた。
『今までずっと一緒にいるけど良樹が潔癖症とか初めて知ったな。美妃と良樹最近よく一緒にいるし、女から見ると潔癖症ってことか?んまぁいっか。』
この時は自分の一番信頼できる親友、良樹が美妃と一緒にこっちにいる事で少し勇記は安心していた。だがそれも少しずつ、その安心によりり後悔することになる。
2人を待つためコンビニで雑誌を立ち読みをしている勇記。すると、窓の外から視線を感じ顔を上げると美妃が目の前に立ってガン見していたのでたまらず勇記は、店内で
『うわっ!!!』
と声を出してしまった。恥ずかしさを隠す様に外に出て美妃の所へ向かい、
『ゴツン!!!』
『くぉぉぉらっ!美妃!驚かすな!心臓に悪い!』
『いったぁぁぁぁい!!!いいじゃん久しぶりに会えたんだから馬鹿な事したってさー。もう勇記きらーい。』
クルッと向きを変え美妃は走りだした。
『あっ!待てよ美妃!』
意外に美妃の足は速く土地勘も慣れない為、勇記はすぐに追い付けず、美妃の家に着いてしまった。美妃はそのまま急いで家に入っていった。
『みーーきーー。お前の好きなお菓子買っておいたから許してく、、、』
勇記も初めて美妃の家に上がり真っ暗闇の部屋に入ろうとすると、
『パンッ!!パンッ!!!』
『うおっっっ!!また美妃驚かしたな!だから心臓に、、、』
『ハッピーバースデーイ!!いぇーーーい!勇記おめでとーー!!』
『え?なに?俺今日誕生日?』
電気が付き真っ暗闇の部屋が灯りにてらされるとそこには、サプライズで部屋中に飾り付けがしており机の上にプレゼントらしき物が。
『どう?俺のさっきの演技賞物のトイレの芝居!なかなかだったろ!全部はこのため。そう、今日は勇記の誕生日!!!』
『ごめんね勇記、さっきは一人にして。これ私からのプレゼント!良樹も色々手伝ってくれたんだよー!』
『そーか、俺今日誕生日なんだ。就職してから忙しくて思いっきり忘れてた。』
『ねぇ、プレゼント開けてみてよ!』
美妃にせかされて袋を開けると
『あっ!これ俺が好きなメーカーのマフラーじゃん!欲しかったんだよこれー!よく見つけたなー。本当ありがとう美妃!大事に使わせていただきます。このご恩は一生忘れません。』
『勇記さ、メロンパンの時といい私にご恩たくさんありすぎて全部覚えてないと思うよ(笑)』
『あー、それはー、あれだよ、良樹が悪い。うん。』
『えー!俺に来る!?』
久しぶりに前の様な和やかな雰囲気で勇記は3人で最高の誕生日を過ごした。自分が感じた違和感の事も忘れて。