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覚悟の末に

何とか妹の玲花と母さんの誤解を解き、楓を帰した俺はようやく安息を手に入れた。

今日も母さんの夕飯は美味しかったし、玲花の俺に対するお節介も相変わらずだった。

どこも変わらない。いつもと同じに思えた。だが...


「変わったんだ....俺。」


今日起きた信じられない出来事....あれは夢なんかじゃない。

手に穴を開けられたのも、それを治してもらったのも、スパルトイとして、力を覚醒させたのも....。

ぐっと手に力を入れ、それを少しだけ緩める。心臓の奥から力を掌に集めるイメージを描く。

するとどこからともなく、漆黒の光が集まりだす。

次にそれを一気に圧縮する!集まりかけていた光が一気に凝縮し、剣としての形を固定させた。


「これが....俺の武器....。」


蛍光灯の光を反射させ、黒光りしている。

今でも少しだけ信じられないが、自分で証明しては仕方ない。

これは現実なのだ、と一人で思い込んでいる。

剣を再び光るへと還元し、拡散させた。掌にまだ柄を握っている感触を感じる。


「俺.....これからどうなって行くんだ....」


玄道の言っていた通り、戦場で戦う、そんなことが俺に出来るのか?

今日は竜二と礼矢と戦ったが、たかが訓練。殺意も無い。けど、玄道は言った。


「これまでに死んだ奴らを何人も見てきた。」


俺もその中の一人になってしまうのか?楓もそう思っているのか?

楓は女の子。スパルトイに入った時、思ったんだ。


守りたいって。


こんなか弱そうな少女が戦場に行く?俺は逃げる?違う、守りたい。

多分そんなことを思っていたんだ。

けど、今の俺にそんな力が無い。ひよこみたいな俺が守れる訳がない。

そう思うと何故か無意識に体が動いた。机の上に置いてある携帯に手が伸びる。

ついさっき追加したばかりの電話番号にかける。


「もしもし、俺。うん。双頭門を開いて欲しいだ。え?何でって....そっち行ってから話すよ。はい、じゃ。」


携帯をベッドの上に放り投げ、着替えを始める。

着替えが終わったと同時に、俺の狭い部屋に紫の光を放ちながら双頭門が現れた。

部屋中が紫に照らされる。俺は門を走って潜り抜けた。

待ってろよ、楓。君は俺が.....絶対に守ってみせる!




小さくあくびをしながらパジャマ姿の真里亜が部屋から出てきた。


「誰ですのぉ?こんな時間に。」


目元を擦り、もう一つ、あくび。


「あっ、ごめん。起こすつもりはなかったんだけど。」


「それは良しとして、こんな時間にどうしたと聞いているのぉ。」


「これから戦闘に付き合ってもらうんだ。明日香にね。」


ぽかーんと口を開けたまま硬直するマリア。これが当然の反応かもしてない。

こう言っちゃ失礼だが、いきなりのお願いを聞いてくれた明日香が不思議だ。強くなりたい、そう言っただけで、「そう....なら来なさい。」と快く聞いてくれた明日香には感謝感激だ。


「な、何でこんな時間にぃ?」


「少しだけだけど、雑魚モンスターを狩ってくる。戦闘に慣れておきたいんだ。」


不思議そうな顔をし、首を傾げていたが、「じゃ、私も行くぅー」と言って聞かないもんだから、真里亜も同伴するとこになった。着替えてくるといい、そのまま真里亜は部屋に戻って行った。それと同時にに明日香が部屋から出てきた。

相変わらずの紅色のロングヘヤーが靡いて輝いている。俺の戦闘服よりは短いが膝までの長さのコートにミニスカート。その下に黒のレギンス。首元にはフカフカのマフラー。何処かの狙撃手のような雰囲気だった。


「どうよ?かっこいいでしょ?」


「まぁ、かっこいいよ。」


「でしょ!で、あんたは何で着替えてないの?」


俺は面目なさそうに俯く。


「すみません....まだ自分の部屋の場所覚えてなくて.....」


「あんたって子は...来なさい。」


明日香は呆れながら言った後、くるりと体を半回転させ、サクサク歩き出した。

せっせと後をついて行くと1分程で俺の部屋に着いた。壁にかけてあるハンガーに俺の服がかけられていた。

きていた私服を脱ぎ捨て、漆黒のコートに着替える。やっぱり黒は落ち着く....。

着替えが終わり、部屋を出ると明日香だけでなく、真里亜も待っていた。


「遅いじゃない。レディーを待たせるなんてなって無いわぁ。」


そういう真里亜は中に黒のセーターに下は太腿が隠れるくらいのスカート。そして首から足元までの長いマントを羽織っていた。

俺が真里亜を見ていると気がついたのか、真里亜がスカートを摘まんでまるでお嬢様のような挨拶が少しだけ可愛く見え、小さく微笑んだ。

再び双頭門の元へ行き、最終確認をする。


「今回は俺が少し戦闘に慣れたいっていうだけであって、ボスをやろってんじゃない。あまり無理はしないで欲しい。」


「新人如きが、何を言うか。あんたに言われなくても、わかってるっちゅーの。」


「まぁ、死にそうになっても私がチョチョイ

っと直してあげるわぁ。」


思い思いに自分の武器を掴む。

俺は二刀流、明日香は2丁拳銃、そして真里亜は精密な飾りが施されたワンドを。


「じゃ、行こうぜ。」


強くなるんだ、絶対に!

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