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幼馴染と封筒

始めての投稿で初心者丸出しです。

初心者らしく頑張るのでよろしくお願いします。

「おにーいちゃーんっ」


よく晴れた空の朝。妹の笑顔とともに起こされた。

シンプルな木造ベッドで寝ていた俺、桐崎真聡(きりざきまさと)は目を覚ました。最上級の笑顔とともに俺を起こしてくれたのは妹の桐崎玲花(きりざきれいか)

よく整った顔立ちに腰まで伸びている髪。少し大きな目に鮮やかな桃色をしている唇。俺の妹には勿体無いくらいの美少女だ。

そんな彼女がベッドの横にこちらを伺うよな様子で眺めていた。


「お兄ちゃん、今日から学校でしょ?いいの?時間。」


妹の心配そうな顔を見て思い出した。今日は中学三年生の始まりの始業式だった。けど一つ疑問が思い浮かんだ。


「ていうか、お前はいいのか?お前も今日から学校だろ?」


ふんっと自慢げに鼻を鳴らした妹は、もう準備しましてあるからと余裕の表情を見せ、部屋をあとにした。

出来のいい妹に感心しながらも着慣れた制服に腕を通す。

自分の部屋から出て、階段を降りてリビングに行く。うちは共働のため、朝早くからいないことが多い。

お金が不足しているというわけではなく、両親共に今の仕事が好きらしく、もう何十年と同じ仕事をしている。

ちなみに父は家のデザイナー。母は女性誌の編集者をしている。食事の際に仕事の話をする二人の様子を見ていると、仕事に対する情熱が俺にも感じられる。

そんな母が朝早いから作り置きして置いてくれた朝食を口に頬張り、学校へ行く準備をした。

玲花はもう行ったらしい。残りの学校生活を楽しめるようなクラスになることを願って、俺は家から飛び出した。





約一ヶ月ぶりの学校が終わった俺は家への道を満足げな顔で歩いていた。

誰もが気にするクラス発表で俺もどきどきしていたが、かなり満足のいくクラスになったのだ。

気分がいい時の表情はわかりやすいもので、口笛まで吹いていた。

なんせ今年で中学校生活も終わりを迎える。その大切な一年が棒に振るなんて事になったらたまったもんじゃない。

黄昏た空はもうすぐ秋だというとこを物語っていた。風は肌寒くなりつつ、木々の葉の色に徐々に落ちている。

俺は秋が好きだった。暑い夏を乗り越え、徐々に涼しくなるこの空気がたまらなく気持ちが良かった。

すると人影が目に入った。誰かは一目見ただけでわかった。

名前は結城楓(ゆうきかえで)

肩にかかる程の長さの艶やかな茶のストレートヘアに自分と同じ中学校の制服。そして何よりも校内一番とされるその美貌。細い眉毛に頼りがいのある薄い赤色の瞳。きりっと細い輪郭。

誰が見ても美女以下のランクは付けれないという少女。そんな彼女とは実は幼馴染で家がとても近い。幼いとろはよく一緒に遊んだものだ。

しかし楓は家の玄関先に立ったまま何かを手の持ってそれを見つめている。何をしているのかと近づいた時にようやくこちらに気がついた様だ。


「あっ、真聡くん。久しぶりだね。」


不安げな顔をしていたようだが、すぐさま笑顔を作り出した楓に戸惑いながらも返事をした。


「久しぶり。けど何でいつまでも立ってるの?家に入ればいいのに。」


「それが何か変な手紙が来てて.....。」


変な手紙?どんなものかと思い、不安げな楓の手から手紙を拝借する。

真っ赤な封筒で何やら怪しげなマークのシールが貼られていた。校内一番の美女にラブレターを送る強者でもいるのかと思ったが、それにしては悪趣味な色だ。

女子に届いた手紙の中身を見るわけにいかないので、そのまま楓の手に返した。


「どうせラブレターとか大したことない手紙だろ。なんせ校内一番の美女だからな。」


からかった口調で言うと、


「余計なことは言わなくていいの!」


と少し照れた様子で頬を赤く染めながら言った。


「ともかく俺は帰るから。じゃあな。」


「うん。じゃあね。」


何をしたわけでもないが、笑みで言われた別れの挨拶は嬉しかった。

楓の家の前の道路を渡ったところに桐崎家の家はあった。

けして立派というわけではないが、白と赤で塗られた壁やヨーロッパを思わせる茶色の瓦。自分で言うのもなんだが、なかなかの家だと思っている。

父がデザインしたらしいがなかなかのセンスだ。

玄関先まで歩み寄ったところでポストの中身を確かめる。塾の勧誘、新しくできた店舗の紹介チラシなどの中でひときわ目立つ封筒があった。

真っ赤な封筒で中心に怪しげなマークのシールを見つけた。どう見てもこれは先程楓の家にきていた物と同じだ。

シールは髑髏の横顔を、正面から見た龍が今にも食らいつこうと口を開けていた。どう見てもラブレターや塾の勧誘などではない。

重い木造の扉を開けて、とりあえず家に入った。背負っていた鞄を床に置き、封筒にの中身を確認する。

中身は一枚の紙。見出しには英語の筆記体で「Spartoi」と書かれていた。

Spartoiと書かれた紙を読むとますます状況の理解が難しくなった。


「桐崎真聡様へ 貴方は数多くの受験者の中から選抜されました。本日午前0時に迎えに参ります。手間を省くため、自室の窓を開けておいて下さると助かります。 Spartoiスタッフ」


まったく理解できない。自分が何かの受験に受けた覚えはないし、なによりSpartoiなんて聞いたことも無い。

最近はやりのなんとか詐欺というやつか。 一応まずSpartoiというのが何なのか調べるため、リビングに置いてある、家族共通のノートPCの電源をいれた。塾や会社なら、公式サイトくらいはあるはずだ。起動するまでの間に制服を自分の部屋に持って行き、手洗いを済ませた。

既に起動していたノートPCの前の椅子に腰をかけ、インターネットを開く。

手紙に書かれた単語を見ながら、なんとか検索するとこができた。一番上に出てきたサイトをクリックすると、パッとそのサイトが開いた。

調べてわかったとこはまずSpartoiというのはギリシャ語で「スパルトイ」と読むこと。そしてスパルトイはギリシア神話にあらわれる戦士であり「蒔かれた者」を意味するらしい。

なんのことだかさっぱりだ。だが妙だ。これと同じ封筒が楓の家にも届いていた。一応楓に連絡を取るか?だが、たかが同じ手紙が着ているだけ。悩んだ結果連絡は取らないことにした。どうせ誰かが面白がってやってるだけの悪戯か、変な宗教の勧誘などだろう。

それにこんなことで楓に連絡を取るなんて恥ずかしい。

深く考える必要もないと勝手に決めつけた俺は椅子から立ち上がり、PCの電源を切ってから自室に向かうことにした。



母の作った手料理をペロリと完食した俺は自室のベッドに大の字に寝そべっていた。

小さなため息とともに机の上に置いてある一通の封筒に目をやった。

気にしないと自分に言い聞かせながらも、つい視界に入ると気にせずにはいられないのだ。

現在の時刻は22時45分。普段ならけして寝るような時間ではない。が、このままでいるといつ眠れるかわかりやしない。だから、いつまでも気にするくらいならさっさと寝てしまおうと俺は思った訳だ。

普段なら使わないステレオの電源を入れ、別の部屋に聞こえない程度の音量でお気に入りの曲を流した。音楽を聴きながら寝るとリラックスできるというが。

本当かどうか何てこの際どうでもいい。少しでもあの封筒から意識が逸れてくれれば。

曲に耳を傾け、今日あったことを順に思い出して行く。

登校の途中で遅刻しまいと急いでいたら、トラックに引かれそうになったこと。クラスが発表された時の興奮。そういえば楓とも同じクラスだったな。この封筒をどうしたか聞こう。

きっと楓ならいい相談役になってくれる。今年で最後の中学校生活がどのように楽しめるかと密かにあれしよう、これしようと頭の中で想像を膨らませながら、俺はようやく眠りについた。



寒々しい風の音が聞こえる中、カチッと窓の鍵が外れた音とともに5人の人影が真聡の部屋に忍び込んだ。


「おい嘘だろっ?こいつ寝てるぜ?ちゃんと手紙は渡したんだろうな。」


「もちろんですよぉ。私がそんなミスをするとでもぉ?」


「確かに手紙は届いているようだぞ。中身も確認済みだ。」


「くっくっ。こりゃ相当のバカだね。」


「まぁいい。予定通り、こいつを連れて行く。起こさなくてもいい。あと一人も予定通りだ。」


了解と口を揃えた4人はその場を一瞬にして消え去った。

あと1人はどこも言語かもわからないような単語が書いてある札を腰のポーチから取り出し、ぶつぶつと何かを呟いてからその札をベッドの上に貼り付けた。


「あいつら、ちゃんとやってるかな。」


正直信用していなさそうな顔をした彼もまた風のごとく立ち去った。部屋には再び静寂が訪れた。


これから少しずつ投稿していきたいと思ってます。よろしくお願いします。

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