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第2話 水色の再会

高校生になり、僕と奈津美は別々の高校に進学した。

自慢じゃないが勉強が大っ嫌いだった僕は背水の陣で挑んだ受験を猛勉強の末、なんとか県立のまあまあの学校へ入学できたのだった。


奈津美とは家が直ぐ近くだったし別に何の問題もないと思っていた。


甘かった。


問題は自分自信にあった。青春真っ只中の高校ライフ。

同じクラスになった童顔の女の子に一目惚れしてしまったのだ。


その頃はまだ携帯なんてまだ流行る前でポケベルやPHSが主流で、校舎の公衆電話にはポケベルにメッセージを入れる学生の列が休み時間ごとに出来ていた。

奈津美にメッセージを入れる為、毎日列んでいたが、日を追う毎にその回数が減っていった。

一目惚れした童顔の麻以子に心が移っていたからだ。

あからさまに減っていく僕の愛情を察知して奈津美は傷ついていった。


これ以上は奈津美との交際は出来ないと感じ、ある日にやっと

「お前の事は好きなんだけど、今1番好きな人は同じ学校の娘なんだ・・・」

っと意味のわからない卑怯な別れの言葉を奈津美に浴びせた。

しかも電話で。


「わかった。」

泣きながら震えた声で奈津美は答えた。



電話を切った後、罪悪感が襲うが直ぐに覆いかぶさるようにスッキリとした気持ちが体全体に広がった。


こんなに傷つけて別れたのに結局は麻以子とも長続きはしなかった。



高校生活は勉強以外は有意義に過ごしていた。

バンドを組み熱中したり、節操の無い奴と思われるかもしれないけれど、恋愛も何回もした。

付き合った人はちゃんと本気になっていたし真面目にはしていたが、それでも何故か長続きはしなかった。

高校の友達とも遊んではいたが何故か僕の地元は中学の繋がりが強く、高校2年生の終わりには中学の友達とよく集まって遊ぶようになっていた。

中でも親友の裕司とはしょっちゅう一緒にいた気がする。(勝手に親友と思っているだけかも)

裕司は頑固者だが真面目で責任感の強い奴なので尊敬しているし、何より信頼している。

僕がいい加減な所が多いもんでよく叱られていた。



中学の仲間と遊んでいれば当然、奈津美と再開することになる。

それを期待していた部分も多少あったのかもしれない。

自分で簡単に別れておいてまた会いたいと思うなんて厚かましいにも程があるけれど、たしかに奈津美に未練があったのだ。


友達からの情報で奈津美には彼氏がいる事は知っていた。


僕と別れた後、すぐに付き合ったらしく長く付き合っているようだった。

そして、望み通り再会することになる。


中学の仲の良かった男女グループで集まる事になり、高校3年生の春、2年ぶりに奈津美と言葉を交わした。


何を話したかは覚えていない。

酷い事をしたバツの悪さもありあまり多くは話さなかったせいもあるが、それ以上に久しぶりに会った奈津美が綺麗になり大人の魅力を帯びていたのが僕の頭を真っ白にさせた。化粧が上手くなり、髪は明るいブラウンに染め、大人びた体型になっていた。


何故か少し、いや大分ショックというか切ない気持ちになった。


そこで連絡先を交換してその日は別れたが、奈津美への気持ちがまた戻ってきてしまった。


そしてそんな僕を奈津美は邪険にはせず、毎日のように連絡を取り合うようにしてくれていた。

奈津美の恋人の事は気になっていたが、彼女は恋人とは別れて僕ともう一度やり直したいと言ってくれていた。


しかしある日突然電話で、

「今の彼氏の存在が私の中でとても大きい事に気付いたの。 彼はずっと私だけを愛してくれていて、そんな彼を見放すわけにはいかないの。 ごめんね。 ダイちゃん。」

これだけ言い残し電話を切られたのだった。

(今更だけど、僕はダイちゃんと呼ばれていた。)


心の底からショックだったが、よく考えてみれば自業自得というか、過去に自分が奈津美にしたことを思えば諦めるしか無いことだった。

その日うちに僕は裕司の家に行き、裕司に一晩中慰めてもらったのだった。

アルコールにも頼ったりして。

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