春の番人
掲載日:2026/04/25
コロン様のイラストを元に書きました。
雪融けは、春が大地から冬を剥がした証。
寒気から解き放たれた山々と木々は、雲を割る陽光を受けて雪を洗い流した。
混じりけの無い冷たい水が河川を下りながら世界を潤し、流れに逆らって昇る魚たちは故郷を目指す。
太陽の下の温もりの中で鳥が、獣が、人が道を行き交い、獣臭あるいは薫風を吹かせ命が巡る。
昼は膨れて伸び、夜は縮んで狭まる。
その分、影が濃くなり闇は深淵に染められた。
春の本質は混沌。
生死で世代が回る。
誕生、死亡、成長、衰退、開始、終局。
季節の巡りが生む摩擦で、摂理が曖昧になる。
濃い影の底の深淵が蠢く。
混沌の季節が曖昧にした『死』が、覆る。
悔恨、羨望、憎悪、絶望、呪詛が『死』に輪郭を与えた。
暴力の形をしたソレは、芽吹く命に向けられる。
だが。
『曖昧』を正す番人がいる。
番人の運命は牡牛座。
一対の角は厳かに光り、鎮魂の歌を鳴らす。
摂理は法則に従い、『曖昧』は正され、秩序が取り戻された。
番人は春に芽吹く命に微笑みーー




